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髙橋建築

お知らせ,断熱・気密

お客様の依頼を受けて、大手ハウスメーカー住友林業の家の断熱調査を行いました。とても素敵なお家です。お客様のこだわりが詰まっています。耐震性も素晴らしいですし、設備機器などもとても良いものが入っていました。ご主人様が選ばれたという家具もとても素晴らしいものです。

チークの 木のブロックが素敵ですね。そんな素敵なお家なのですが、断熱性能に疑問を持ったお客様のお話です。

公表すべきか?

たびたびこのように、ハウスメーカーで建てた方の相談や修理などさせていただいておりますが、お客様のプライバシーもあるので、まったく公開しないでおりました。ハウスメーカーの悪口を言っているように思われても得ではないですし。しかし今回は、お客様が これから建てるお客様のために、公表をしてほしいといわれました。これから建てる人たちが自分と同じような思いをしてほしくないとのことです。そのため公表をいたします。あくまでも中立的な立場として、暖かい家づくりに携わってきた1級建築士としての見解です。

依頼の経緯

このお客様から電話があったのは、10日くらい前のことでした。お話を伺うととても詳しく、プロの方かと間違えるくらい。もしかするとその辺のハウスメーカーの営業より詳しいでしょう。プロ顔負けの知識です。

昨年夏に家を建てたのだが、期待よりも寒い気がするし、思ったより光熱費がかかる。ということ。
暖かく、光熱費の安い家に建てたつもりとのことでした。
現在の建てたばかりの住宅は床断熱なので基礎断熱にしてみたら暖かくなるのではないかとお考えになりどのようにしたらよいのか?とおっしゃっていました。

私は適切なアドバイスがしたいと考え、まずおうちの状況を把握したいと思いました。
そのため、まずは図面、温熱計算書、エネルギー使用量を送っていただきました。

お客様はが、「ハウスメーカーのとても高価な最先端の家だから寒いことはないだろう。と思っていた。」というのが印象的です。
皆さん、勘違いされるところです。大手だから安心というのは、必ずしも正しくないのです。特に「暖かい家」に関しては大手はとても遅れています。

この住友林業の家の性能

あくまでも住友林業が計算した温熱計算書の数値です。

仕様書、温熱計算書など見てUA=0.47W/㎡Kと書いてありました。
HEAT20の5地域のG1グレードをクリアーしています。
G1グレードというのは簡単に説明すると起きて家にいる間は暖房しているけど、夜寝るときや家にいないときには暖房を切る。人がいる部屋を暖房する。という在宅時暖房という設定です。寝ているときは暖房を切りますから普通の状態では朝起きた時が一番寒いということになります。その時の最低の温度がおおむね10℃を下回らないくらいの性能。というのがG1グレードです。
詳しくは下記リンクを見てください。
http://www.heat20.jp/grade/index.html

朝起きた時が10℃しかない。というのは少し寒いですね。起きる前に早めに暖房をつけておかなくてはならないでしょう。

ZEHは暖かいのか?

この、0.47W/㎡KはZEH(ゼロエネルギー住宅)の基準も満たします。この断熱性能で太陽光発電が十分乗っていればZEHを名乗れます。(ZEHは少しだけ断熱性能を満たしている必要があります。)
ハウスメーカーが当社はZEH住宅です。と宣伝をしていますが実はたいしたことありません。当社の住宅では15年前くらいの性能でもクリアーしています。
ハウスメーカーがあれだけ宣伝しているととてもすごいもののように思えてしまうから不思議です。
キチンと勉強をしていないとそれがすごいものだと勘違いして期待してしまいますね。
このお客様も最初のお話でZEHをクリアーしているとおっしゃっていたのが印象的でした。
ZEHは太陽光発電などによるエネルギー収支をゼロにできるという基準で暖かさには関係ありません。
建物の省エネ性にも関係ありません。どんなにエネルギー垂れ流しの住宅でもそれに見合った大きな太陽光発電を載せればZEH(ゼロエネルギー住宅)なのです。

間取りの特徴

この家は40坪くらい。
1階の 居室(常時いるところ)はLDKと4.5畳の和室。
2階の居室は寝室、子供室2部屋の3部屋です。浴室と脱衣室が2階にあるのが特徴です。
2階で入浴 洗濯 収納という流れが考えられているようです。洗濯動線が最短になる考えだと思います。広いウォークインクローゼットや廊下にスタディースペースも確保してありとても充実しています。

設備機器

1階のLDKに床暖房 7kWの大きなエアコン。2階の3部屋に小さめのエアコンがつけられていました。
浴室暖房乾燥機がつけられていて、お洗濯ものを乾かすそうです。
換気システムはダクト式の第3種換気です。

暖かいのか判断するために。

書記の判断を正直に言うと図面を見た限りでは、それほど暖かいのではないかと思いました。
お客様が不安に思っている通りなのではないかと思いました。
でも、それを見もしないで無責任に「それでは寒いですよ。」というには言いにくいと感じていました。
大手ハウスメーカーが自信をもって作っているのだから、私の知らない知見があって、もしかしたらその断熱性能でも暖かいかもしれないともちょっと不安もありました。ですからはっきりお答えできなかったのです。
「暖かい家」はそのほかの要因もありますから。
数日間、躊躇しているうちにまたお客様から電話があり、きちんと調査に来てほしいと依頼がありました。
私も、調査ができればきちんとした判断ができますので、特別価格で調査をお引き受けすることにしました。

調査の内容に関しては次の機会に報告いたします。

お知らせ

ハウスメーカーで建てた家が寒い

ハウスメーカーで新築をしたけど寒い。
とても光熱費がかかってしまう。

そういうお問い合わせが増えています。

新しい家なのに思ったより暖かくない。
光熱費が2万円を超えしまう。
温度ムラが大きい。

寒い冬になると 家による性能の差がはっきりと違いとして分かります。

どうしてそのような違いが出てきてしまうのでしょう。

パッシブハウスとハウスメーカーの家の性能は全く違う

ハウスメーカーは会社が大きいので しっかりと家づくりをしていると思っていらっしゃるかもしれません。最高のノウハウで家づくりをしていると思うでしょう。

しかし、そうでもないのです。
にわかに信じられないかもしれませんが、我々の作るパッシブハウスれべるの家と比較するととても低いレベルです。

多くのハウスメーカーの性能はZEHで求められる断熱性能ギリギリ
断熱等級4くらいですね。そのレベルは我々が作る断熱性能の半分以下です。

どうしてハウスメーカーは高性能な家を作らないのか?

ハウスメーカーは、数多く建てるのが仕事です。
多くの人に買ってもらう必要があります。
買ってもらう客層が多いところの性能をターゲットにします。
高い性能の商品を買う人は少ないため商品化できないのです。

ですが、近年は【暖かい家】がブームです。
それを望まれている方がたくさんいることは事実です。
暖かい家がほしい人がたくさんいるのであれば、そのような家をたくさん作ればいいと思われるかもしれません。しかしできないのです。

一つは価格の問題です。
高性能な家は工事費が高くなります。
ハウスメーカーはとても経費のウエイトが高いですから高断熱化にかかる資材の代金、工事の代金より何割も多く値段を上げないとなりません。
とても高くなってしまうのです。
高い値段にするとほかのメーカーに客を奪われてしまいます。
「当社の家は十分暖かいですよ」と説明するだけで 「大手メーカーの言うことだから間違いないだろう。」と買ってくれる人が たくさんいれば それで商売は成り立ちます。
お客様の知識不足をうまく利用しているのですね。

さらに技術的な問題もあります。
高断熱化しにくい構造もあります。
鉄骨系の建物はとても断熱しにくいのです。たくさん断熱すると壁が厚くなり深断熱材や外壁の重さの支持が難しくなります。その支持に金属を使えば熱が伝わりやすいですから、内部結露などの重大な事故を引き起こしかねません。
鉄骨メーカーが木造の商品を出し始めているのは,そのあたりが克服できないからでしょう。
木造のメーカーでもクリアーする場所が数々あり、個別に特殊な納まりが要求される高性能住宅には躊躇しています。

さらにもう一つは技術者の問題です。
前述したように特殊な納まりが多くなりますから、施工には細心の注意が必要ですし、技術がいります。そのような技術者を育成確保するにはとても時間がかかります。

様々な理由により高性能な家づくりが先延ばしにされています。 お客様が判断できず気がつかれない内は、できるだけ手間がかからず儲けが出る仕事で、たくさんのお客様を確保しようとしているのです。

高断熱住宅の比較の仕方

それでは、何を判断基準にした方が良いのでしょうか?

家の暖かさは
 1.断熱の量(服の枚数、材質)
 2.日射量(ぽかぽかしたお日様のひざし)
 3.隙間(服に穴があいていてないか?)
 4.換気量(冷たい水を飲むか?暖かい飲み物にするか?)
 5.暖冷房(カイロを貼る)
みたいな感じです。人間と同じですね。

数値で表せる基準ですと
 UA値
 Q値
 暖房能力
 C値
 熱交換率
 日射熱取得量
 冷房負荷 暖房負荷

など聞かれたことがあるでしょう。
主にはこれらの数値が分かれば判断できます。

下に行くほど判断基準としてはより詳細になっていきます。
暖房能力は途中に書いてありますが、判断基準と相反する基準ですのでここに書くべきでは無いかもしれませんが必要な数字ですので記載しました。
C値に関しては高断熱では必須です。

UA値

日本では断熱の基準にはUA値というのがあります。
国際的には珍しい考え方のようです。

家を構成する部位
 屋根
 壁
 窓
 床(基礎)
それぞれから逃げる熱量をすべて足し合わせて それらの合計面積で割ったものです。
平均的な断熱量ですね。
服を3枚 ズボンを1枚なら 平均2枚着ている みたいな考え方です。

今日はここまで 残りは加筆していきます。