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髙橋建築

BLOG  カテゴリー:耐久性・災害対策

換気・空気,耐久性・災害対策

通気は大切

通気層には大切な役目があります。

壁体内や 小屋裏の湿気を排出すること、また、熱を逃がしたり雨水の侵入を防いだりしてくれます。
いろいろな役割がありますね。

その役割を果たすためにも、きちんと通気層を作り、通気量が確保されることが大切です。

屋根の通気層の写真です。
当社では、できるだけ空気が流れやすくなるように89mmの通気層を確保しています。
さらに熱を反射させる遮熱タイプの透湿シートを使っています。
屋根の熱を逃がしたり、湿気を逃がしたり、3次防水層としても期待しています。
信頼性のある透湿防水シート、タイベックシルバーを使っています。

壁の通気層

18mmの通気胴縁で通気を確保。薄い胴縁を使っているところもあるので注意が必要です。
サッシと胴縁の隙間も確保し、縦に空気が流れるようにしています。

こちらもタイベックシルバー。
長持ちすることが特徴です。多くのハウスメーカーが安いシートを使っています。
ローコストビルダーはほとんど一番安いものです。
劣化が早く、防水性能があまり期待できなくなります。
外壁の雨漏り補償は、工事ミスなどによる場合10年しかありません。
材料の劣化などは免責とされていると言うことがほとんどで、取り替えには大金がかかります。
長持ちするものを選びたいですね。

それでは通気層の役割をまとめます。

壁体内の湿気の排出

冬期は屋内の湿気が壁体内に入っていきますから、壁体外側に通気層を設けて外気を通気させ、壁体内の湿気を排出させます。
通気量が確保されていないと壁体内に湿気が蓄積され、壁の内部でカビが発生したり、柱などが腐ってし編むこともあります。

熱を遮る

通気層は空気の層です。それだけでも断熱効果がありますが、温まった壁や屋根を、空気を通し入れ替えることで冷ます役割もあります。
太陽が当たると、屋根や壁はとても暑くなることがありますね。
たとえ断熱材があっても、外壁や、屋根が60℃とかになっていたらたまりませんね。
熱を少しでも遮りたいですね。

雨漏りを防ぐ

外壁で雨を防ぐのは基本ですが、万が一、外壁から雨が入ってきたら?

通気層があることで、そこから水が排出されますので安心です。通気層の内側には、透湿防水シートがありますからそれ以上中には入りません。
断熱材や 柱などを守る 2次防水機能を果たしています。
外壁が一次防水。
通気層の透湿防水シートが2次防水というわけです。

図は屋内の湿気が壁体内を通り通気層から排出されるモデルです。

冬期に内部結露する例です。日中は壁が温められて通気層は上昇気流
夜は冷やされて下降気流 あるいは 断熱レベルが低い場合には室内の熱の漏れで上昇気流かも知れません。

屋根も同じですね。

基本的には、通気層の換気口は 入り口と出口が必要ですから、壁は上と下、屋根には軒先と棟側の2カ所に 換気口が必要です。

こんなイメージですね。

壁は壁

屋根は屋根

で通気させます。

ですが軒裏から換気させる必要があるでしょうか?
壁の下から空気を取り込み 屋根の上部から排出させたら?

このようなイメージです。
昔からこの考え方はありました。

合理的ですね。

きちんと通気量が確保され、湿気が排出できればこの方が様々な利点があります。

軒裏換気口を無くすメリット

軒裏換気口がいらないのでコストが抑えられる。

軒裏換気口は一つ数千円しますから、数万円のコストダウンです。
材料費だけでも大きく違いがあります。

施工量が減る

職人不足で、工事が進まない現場が増えています。
職人の確保も大変です。

火災時の延焼のリスクが減る

お隣が火事になったとき、屋根が燃えやすいですね。
屋根に火が移るとすぐに建物内へも燃え移ります。
火が入りやすくなる穴はできるだけ少ないに越したことはありません。

軒裏換気口は本当にいらないのか?

このように軒裏換気口を付けないことで良いこともたくさんありますが、最初にお話しした、通気量が確保できるかが問題です。

今年の建築学会で 近畿大学の藤田先生が、パナホームと実験をした論文が発表されていました。
私もとても興味がありましたので、聞かせてもらいました。

そして、昨日もHEAT20の躯体ワーキンググループでご一緒させていただき、さらに詳しく教えていただきました。

軒裏に通気口がある場合と無い場合 無い場合での実験です。
データーの表やグラフ、検証結果など公開でき無いのが残念です。

通風量が少ない通風量が少ない

結果は、ほとんどの場合、どちらの方法でも通気量はかなり確保されていました。
しかし、冬の夜間が一番風量が少ない。
放射冷却で屋根が冷たくなりますので外部の影響を受けると下降気流ができます。
そして室内は暖かいですが、その熱が漏れ通気層は幾分暖まります。

そのバランスで空気が動かないのです。

内部結露が起きやすいのは、寒冷地では冬の夜間でしょう。
その時に一番空気が流れないのです。
考えればその党利になると想像は付くのですがそこまで考えたことはありませんでした。

これは軒裏換気があるときも結局同じなのですが、途中に換気口がある分だけ少し良い用です。
でもほとんど同じ。あまり差はありません。

換気口有り無しよりも 通気層の厚さの方の影響の方があるかも知れません。

この論文で判ったことは、途中に軒裏換気口が あるなしではほぼ変わらないと言うこと。

今後の当社の取り組みに活かせそうです。

南面は日中の通気量確保に注意 軒裏換気口は必要

ですが、南面は日射熱取得のために大きな窓が多く、壁が少なくなります。

壁の通気量と屋根の通気量のバランスがとりにくくなりますね。

真夏のやけ込みを防ぐには、屋根の通気量をたくさん確保したいです。
どうすれば良いでしょうか?

壁の通気量で足りないなら、やはり軒裏換気口が欲しいですね。

大開口のたくさんある南面はやはり軒裏換気口を付けた方が良さそうです。
この測定はかなり難しいと思いますので、経験、実測、が重要そうですね。

しかし経験と実測と言っても ベースとなる知識が無いと全くダメですね。
日頃の勉強、実測、検証などがあって、これからも頑張っていきたいと思います。


パッシブハウス,日記・想い,耐久性・災害対策

JBNの災害対応住宅研究委員会が主催のセミナーを受けてきた。

地域で大きな災害を受けてその復興を支えてきた人たちが講師です。

行政と一緒に復興住宅を作ったり、今後の対策など考えてきた人たちです。

実際の災害を受けたからこそ、確かな情報。確かな対策をしてきた話です。

本当にためになりました。

数十年に一度というような災害が頻繁に起こってますね。

それでも甚大な被害ですが、数百年に一度というような大災害もあるかも知れません。

当社の住宅は100年200年持たせたいと思って作ってますから少なくとも数十年に一度という災害は普通に起こりえますし、数百年に一度と言う災害に見舞われることも十分あり得ます。

その研究会で災害対応住宅の内容をまとめてくださいました。

もちろん 地震に対しては耐震性を上げる。台風に対しては耐風性能を上げるなど基本的なこともありますが我々が気がつかない、実際の災害から気がついたそれぞれの情報が盛り込まれていました。貴重な情報です。

この知識技術がいかせて良かったなどと言うような災害がなければ良いと思います。

断熱・気密,耐久性・災害対策

当社の仕様はかなり断熱性が高い構成です。

断熱性と壁体内結露(この場合屋根)の関係を把握するにはかなり高度な知識が必要です。

温度をブロックすると湿気が通る場合には結露が起こる可能性が出てきます。
それでは室内側から湿気が入らなくすると冬には結露がおこらなくなりますが、夏型結露の可能性が出てくる。
それなら内部を可変透湿シートにという話が出てきますが、コストがかかったり、室内にビニルクロスなど貼るとダメ。

外部に透湿抵抗の高い断熱材で外からの湿気をブレイクして、内部は透湿シートで内側からの湿気をブレイクしてみたいなことも考えられるけど、施工の不具合や経年変化、劣化などで湿気の移流が起こるとこれもアウト。

それならどうしたらよいのか?

当社では安全で施工性の高い断熱工法を考えました。

理論的にはあってます。WUFIでのシミュレーションもばっちりです。

ですが実際の検証してみなくてはということで昨年から約70チャンネル温湿度を測定しています。

施工の仕方を若干変えたり、位置を変えたりして測定しています。

1年目の冬は安全性が確認されました。

今回は1年目の夏です。

2軸のグラフで見にくいでしょうが企業秘密なので(笑)!
凡例も消しています。
ごめんなさい。

まあすごいです。(笑)

ご興味ある方、企業さんはご連絡ください。有償で情報提供いたします。

アイデア、経費、時間がかかっているので相当いただかなくてはなりませんけど。(笑)

パッシブハウス,断熱・気密,耐久性・災害対策

私はパッシブハウスジャパンの理事を務めております。

定期的にコラムを書かせていただいているのですが今回は基礎断熱についてです。

床断熱 基礎内断熱 基礎外断熱

皆さんはどれが良いと思いますか?

私なりに考えていることを書きました。皆さんのお考えの参考になるとありがたいです。

パッシブハウスジャパン理事コラム

https://passivehouse-japan.org/journal/14759/

以下同じ内容の転記です。

基礎断熱を考える

 パッシブハウスジャパン理事 髙橋慎吾

 パッシブハウスを作るには、この断熱方法で無いとダメということはありません。

 きちんと断熱量が確保され気密ライン断熱ライン、防湿ラインがしっかりして、安全性が確保されていれば良いのです。これまでのパッシブハウスでも様々な手法がとられています。

 今回は基礎の断熱について考えてみたいと思います。これは私の個人的な考え方でパッシブハウスジャパンの公式見解ではありませんのであらかじめご承知おきください。私は5地域をメインに4から6地域で仕事をしているので寒冷地の方や、すごく温暖地の方は違和感があるかもしれません。

基礎断熱 床断熱 

 まず、基礎断熱にしなくてはならないのか?床断熱ではダメなのか?というところから。

 もちろん床断熱でもOKです。多くの実務者さんも床断熱、基礎断熱を両方とも試されていると思います。

 床断熱の利点は床下が暖房領域でなくなりますから暖房需要が減ります。床下の空間ばかりでなく、大きな熱容量を持つ基礎のコンクリートを温めなくてすむということも大きいです。大引きや根太などの熱橋を少なくして上手に断熱出来ればとても効果があります。しかし、玄関やシステムバス周りなど一部基礎断熱が必要な部分も出てきます。ここを断熱しないと台無しです。ハウスメーカーさんは床断熱が多いですが、やはり玄関やシステムバス周りは基礎断熱で対応しています。シロアリを問題にして床断熱を採用していると言う会社もありますが、一部基礎断熱を併用してしまっていると言うことはどういうことなのかとても理解に苦しみます。近年では絶対に基礎断熱を使わないと玄関土間も基礎上まで上げたり、システムバスも持ち上げたり床断熱に一貫して取り組んでいる会社もあるようです。すごいですね。

 床断熱だと給排水の配管が床下の外気になります。寒い地域では凍結の恐れがあります。温水配管も冷めやすくなりますから給湯の消費エネルギーも増えてしまうようです。また、メンテのための床下点検口も断熱しにくい。気密がとれにくいという欠点もあります。

 基礎断熱の場合は、水道配管は断熱空間なので凍結の心配は無いですし、温水も少し冷めにくいですね。そして実務者の皆さんならお気づきの通り、気密がとりやすいです。誰でも簡単に気密がとれてしまいます。様々なメリットデメリットがありますが、気密性能向上のためだけに基礎断熱を採用している人も多いのではないでしょうか?

基礎内断熱 基礎外断熱

 基礎の室内側に断熱をするのが基礎内断熱。

 基礎の外側に断熱するのが基礎外断熱です。

 基礎に断熱する場合はプラスチック系のボード状の断熱材が多いですね。繊維系やガラス発泡系のものもありますが圧倒的にEPSやXPSが多いです。

 それでは基礎の外側、内側どちらが良いのでしょうか?様々なご意見の中で一番取り上げられるのがシロアリの問題でしょう。プラスチック系断熱材はシロアリに食われて、シロアリの通り道となりやすいというものです。だから外側に断熱せずに内側の方が良いという方がいますね。確かに一見正しそうに感じますがここで疑問。内側の断熱材なら食べられないのか?蟻道を作られないのか?「基礎が完全で入られないから。」という人もいますが、飛んでくるものや人間が持ち込んだものについている場合も多いようなので絶対に大丈夫と言うことはなさそうですね。

断熱性で比較

 ここが重要です。我々が基礎外断熱にしている理由は主にここです。

 基礎の外張りの断熱と基礎内の断熱を断熱性で比較してみましょう。

 基礎の外側は空間がいくらでもありますからたくさん断熱できます。基礎の内側では、ユニットバスや配管などに断熱材が干渉することもあり、断熱しにくいです。玄関もそうですね。ある程度は断熱できるけど工夫が必要です。内側なら水の関係が無くなりますので、ネオマなどのフェノールフォームも使えるかもしれません。熱伝導率が低いので有利ですね。

 熱抵抗ではどちらが有利、不利かという明確な差は言いにくいでしょうか?

熱橋の違い

 しかし基礎外と基礎内断熱では大きな違いがあります。それは熱橋です。パッシブハウスレベルになると基礎内断熱の熱橋は致命的です。基礎内断熱しかしないと言うことは全く考えられないほど大きな弱点となります。

 まずは基礎外周から中通りの基礎梁の接合部。

わかりやすいように図示しました。

 ここは明らかに断熱ラインが切れてしまいますね。基礎立ち上がりに折り返しの断熱をしても基礎は熱伝導率が高いですから熱がどんどん伝わってしまいます。

どのくらいの差があるのか?

まずは断熱無し

このモデルは長さ3mの基礎。W150です。基礎に断熱がないと253.16W/mの熱が逃げています。内外温度差20℃です。

次に基礎内にパフォームガード(EPS特号λ=0.034W/㎡K)100mm厚

35.335W/m(3m)です。さすがに断熱材を貼ると効果がありますね。地上の基礎の面積が26㎡あると35.335/3*26=306Wの熱が逃げますね。パッシブハウスレベルだと致命的ですね。UA=0.3W位の建物でも大きな割合を占めるのが解りそうですね。是非計算してみてください。

折り返しを付けてみました。27W/mまで改善しました。

実際にはベース方向や土台方向にも逃げるのでこのようなT字基礎の部分の熱の損失は折り返しても少ししか効果が無いかもしれません。

外張りしてみると18.878W/m

単純な内張と比較すると効果は全く違うことが解ります。

折り返しありと比較しても全く違いますね。

そして大きな違いが基礎の温度が高いと言うこと。蓄熱材として温度が安定します。

基礎が熱橋として熱を損失させる部分になるか、蓄熱材として役に立つか大きな違いですね。断熱の入れる位置だけでこれほど違うなんて知っていましたか?

表面温度を考える

 そして表面温度です。

中から見えるところの基礎表面で一番低いのが12.5℃ですね。(青い字)

冬なら結露しないですみそうです。ですが安心してはいけません。内張の基礎断熱のリスクは断熱材の裏に空気が回ってしまうこと。基礎にぴったりと断熱材を隙間なく貼ることはとても難しい作業です。断熱材の裏の温度は1.174度(赤い四角)断熱材裏に空気が回り込んだらと思うとぞっとしますね。結露が起こりカビなど生えないと良いですがどうなるでしょうか?。少しの隙間なら空気が動かないのではないかと言う人がいますが少しの隙間ってどのくらいまで許容されるのでしょうか?

基礎外断熱の中から見えるところの表面温度は19.17度高いですね。

そして断熱材の裏側でも18.777度

土台部分の熱橋は?

基礎が冷たいと土台に熱が伝わるのは当たり前ですね。

土台の取り合いです。上半分が外壁土台があって下が基礎です。

内張の場合の5.1度 

かなり冷たいです結露しそうですね。基礎内梁断熱で床下エアコンのように屋内の空気を循環させるときには注意してください。最低でも基礎や土台に熱が伝わらないように断熱処理しましょう。

 そして次が基礎外張り断熱。

外張りが18.08度

全く違います。

マニアックな人ならψ値の差が知りたいでしょう。

その差は0.17W/m

これがどのくらいかというと、パッシブハウスを計算したことのある人なら困り果ててしまうくらいです。

現在当社で計画しているパッシブハウスは基礎外断熱です。

パッシブハウスの性能ですね。

しかし基礎内梁断熱のψ値の差を計算すると

なんと17.9kW/㎡ 3kW/㎡も増えてしまいます。

このレベルの建物になると0.1W/㎡削るのにすごい努力をします。削りに削ったところからさらに削減するのは大変ですね。それがこの一撃ですべての努力が水の泡。

大変なことです。

基礎の断熱量は他の部位とのバランスを考えよう。

 断熱しやすいのは屋根、天井です。次には壁。難しいのが基礎ですね。

 高断熱住宅は各部位を欠点の無いように断熱することが肝心です。屋根と壁をいくら断熱しても基礎がおろそかなら全くダメです。できる限りバランス良く断熱しなくてはなりませんね。

 当社では、基礎外、基礎内にダブルに断熱することが当たり前です。それでも壁などに比べると弱いです。コストや施工性なども考えながら今の断熱となっています。

シロアリのリスクは?

 外張り断熱でやり玉に挙がるのがシロアリリスク。

 温暖化が進む日本では、あらゆるところでシロアリが発生するようです。

 これまで当社では全く被害はありません。
基礎外張りの断熱材メーカーの話では施工マニュアル通りに適切に工事している建物では被害がないそうです。たびたび被害写真がネットなどで流れていますがそのほとんどが施工ミスによるもの。マニュアルに則って施工していないものですね。基礎内断熱でも、床断熱でも適切な施工でなければシロアリの被害はたくさん報告されていますから、どこで断熱すると言うよりマニュアルに従った適切な施工が重要と言うことですね。

パッシブハウスを作るために

 基礎の断熱の方法で性能が大きく変わることが解りました。パッシブハウスを実現するためには性能の面からも基礎外断熱を選択することが有利なようです。

 我々の仲間の多くが基礎外断熱を採用しています。

パッシブハウスを目指し性能を上げてくると、基礎外断熱以外は選択しにくくなります。

ほどほどの断熱の家でしたらコストを考え施工が楽な基礎内断熱の選択もありそうですが、私は10年後、20年後を見据えた家づくりをしたいので、パッシブハウスレベルにしやすい基礎外断熱を採用しています。

 基礎外断熱に全くリスクがないとは言いません。しかしそれ以上にメリットがあります。他の断熱方法もシロアリのリスクもありますし、熱的にたくさんのリスクがあります。

今までの住宅では床断熱がメインで基礎断熱はまだまだ少ないかもしれません。しかし、多くの実例が出来てきましたし様々な方法が試みられています。

 これからもさらにより良い方法が考案されていくことでしょう。今回は基礎断熱についてお話ししましたが、私がお話ししたことすべてが正しいということではなく思い込みや勘違いもあるかもしれません。ほかの良い方法もあります。皆さんも積極的に情報を入れ勉強し実践してみてください。私を含め一部の人の言動に惑わされることなく、自分自身の知識できちんと判断できるようになってください。ネットの曖昧な情報に踊らされることなく、きちんと勉強しましょう。

これからも皆で一緒に頑張りましょう。正しい情報、判断で良い家をたくさん作りましょう。

 

修理 メンテナンス,建築費・光熱費,日記・想い,環境・エネルギー,耐久性・災害対策,耐震・構造,設備・空調

建築はシンプルに

これは私が普段から心がけていることです。
できるだけシンプルな方が良いことがたくさんあります。

デザインをシンプルに

外観、内観とも こったデザインがあります。それはそれで一見素敵なのですが、長い年月が建つと流行も変わります。あのときあれがはやっていたな?みたいなのもありますし、デザインは人の好みが大きいです。素敵だと思う人もいれば、やり過ぎと思う人も。年齢により感じ方も大きく違いますので若いときには良くても歳をとってから後悔もありそうです。
よりシンプルでバランスの良い方が、多くの人に受け入れられますし、長い年月が経ってもおかしく見えないです。

間取りをシンプルに

間取りが変形していたり細かい部屋がたくさんあるおうちが増えていますね。

今たくさんご要望いただくのが、シューズクローク、玄関手洗いコーナー、ファミリークローゼット、パントリー、スタディーコーナーその他、細かい部屋が1階にたくさんあります。細かいお部屋がぎっしり。その分LDKが狭めに。
将来その小さなスペースにものがたくさん詰め込まれるのだろうな。便利と言えば便利ですが、大金を払っておうちを作っているのにまるで収納を作っているようなおうちもあります。細切れのたくさんの収納ではなくもう少しシンプルに出来ないのかなと思います。

シンプルだけど人の居場所がある豊かな空間を作りたいと思っています。
細切れのお部屋ではなく。

部屋に役割を持たすのは良いのですが、可変的に住みこなすような家が良いと思います。将来のライフスタイルの変化に合わせてお部屋の役割を変えやすいような。生活に合わせて変化させやすいシンプルな間取り。
住む人の構成も変わるし、年齢も変わる。時代も変わる。そのような変化に耐えられない細かく固定された間取りだと将来住みにくくて壊されやすくなってしまうと思います。

構造をシンプルに

きちんとした構造区画で計画された住宅は頑丈です。大きな地震や台風などにも強くなります。

そして余分な補強材も少なくなりますからコストダウンできます。間取りがいびつだと大きな梁が必要になったり柱が多くなったりお金が余分にかかります。

将来、間取りの変更や増改築なども構造がシンプルだと やりやすいですね。

外壁の凹凸をシンプルに

間取りをシンプル 構造をシンプルと通じますが、でこぼこが多いと外壁の面積が多くなります。

外壁の面積が多いと言うことは、そこから熱が逃げやすいと言うことです。壁からの熱の逃げは 壁の面積×壁の断熱性能×内外温度差です。壁の面積が1割多ければ1割多く熱が逃げてしまいます。できるだけ小さい面積に抑えることが重要ですね。
複雑な外観は気密性も落ちそうですね。

屋根をシンプルに

屋根が複雑なのは一見かっこよく見えます。ですが屋根と壁の取り合い部分が増えたりして雨漏りがしやすくなります。雨漏りは屋根の平らな部分からと言うことはほとんどありません。ほとんどが屋根と壁などの取り合い部分からです。こういう部分を少なくするためにもできるだけ屋根はシンプルに作りたいですね。

窓をシンプルに

一昔前、小さな窓をたくさん付けるのがはやりましたね。私もやっていました。しかし、最近は見なおしています。

窓が多いと言うことは、雨漏りのリスクが増えると言うのは皆さんわかりやすいと思います。

しかし大きな問題は他にあります。熱の逃げです。
窓は主にガラスの部分とフレームの部分で出来ています。
このフレームの部分の熱の逃げが大きいのです。同じ窓の面積をとるのでも小さい窓を数多く付ける方がフレームの長さが多くなりますね。その分ガラスの面積の割合も小さめになります。

窓の役割は 光を取り入れる「採光」 風を取り入れる「通風」。そして太陽の日射熱を取り入れる「日射取得」があります。小さな窓が多いのはこれらが不利になります。
ガラスの面積や開く面積が小さくなるともったいないですね。

さらに同じ面積を確保するのに大きな窓一つと小さな窓二つでは、価格も違いますね。子捨て面でも不利な場合が多いですね。

窓の取り付け部位からの熱の逃げも重要です。窓を取り付けるためには何らかの下地部材が必要です。その分は断熱しにくいですね。その部分から割と熱が逃げることが知られています。我々の言葉でinstallψです。窓が細かくて多いのはデメリットがたくさんありますね。

設備をシンプルに

様々な設備があり、それらの設備は欠かせないものと、便利だから使うものがありますね。

それらの設備の一つ一つを解説したいところですが、長くなるので割愛します。

設備は壊れます。メンテナンスが必要です。取り替えも必要です。

最初に家を建てるときには憧れもあって付けることが多い設備でも、10年後くらいに壊れた時のことを考えてみてください。
途中で数万円の修理が必要かもしれません。
10年後取り替え時には数十万円かかるかもしれません。
新しい設備ができ、それまでの設備とは相容れず、不必要になったり取り替え不要かもしれませんね。本当に必要かもう一度冷静に考えて見られると良いですね。

設備類も数が多ければ数が多いだけ修理の頻度は多くなります。複雑な機械なら複雑なだけ修理の頻度が多くなります。本当に必要か、他のもので代用できないか考えてみた方が良さそうです。

シンプルは長持ち、省エネ、ローコスト

まだまだありそうですが、わかりやすいところを取り上げました。

このようにシンプルに作ることのメリットがたくさんあります。
住宅はファッション的な面もありますが、長い時間軸で見ると、私はそれより「シンプルに作ること」がとても重要なことだと思っています。
洋服や、靴、自動車やスマホとは違うのです。将来にわたりずっと住み続け、コストがかかり続けます。
長い時間軸で考えてみましょう。
あなたもシンプルが一番と思いませんか?

耐久性・災害対策,耐震・構造

基礎のコンクリート 強さの違いご存じですか?

Fc=18N/m㎡ 21、24、27、30、33、36・・と強さの違いがあります。
ご存じでしたか?

使っているコンクリートは住宅会社によって様々です。
お客さんには気づくことができませんからブラックボックスですね。
値段ばかり考えている工務店、知識のない工務店などは、安い、弱いコンクリートのことが多いようです。
弱いコンクリートの方が工事も楽です。

どのくらいの強度を目指すのが良いのでしょうか?

基礎の構造計算ではコンクリート強度21N/m㎡でも 鉄筋などできちんと補強されれば頑丈な基礎と言うことになります。

木造住宅の基礎の強さはほとんどの場合、曲げモーメントで決まるの鉄筋の量で決まってきます。

ですから、ほとんどの場合には構造計算上コンクリートの強度の影響はないのです。
しかし・・・・・

長持ちさせるには強度が重要

その強度を負担する鉄筋はコンクリートで保護されています。
保護されているのでさびたりしにくく強度が保たれるのです。

ですから、鉄筋をコンクリートにより適切な厚さを確保して保護する必要があります。
地中で60mm 地上で40mmです。

強度が弱いコンクリートは、耐久性も低いことが知られています。
セメントの含有量が少ないため 中性化が早まります。
そのため、ボロボロになったり鉄筋がさびやすくなったりするのです。

強いコンクリートほど耐久性が高く長持ちします。

ご近所などのコンクリートを見ていただいても、古いのにしっかりしているコンクリートと、それほど経っていないのに痛んでるコンクリートがあると思います。

最初はわかりませんが、本当に大きな差が出てしまうのです。

水セメント比などの専門的な話は割愛して、基本的に「強いコンクリートほど長持ち」です。

どのくらいの強度が必要?

JASではこのように決まっています。
100年持たせようという長期優良住宅では30N/m㎡が必要そうですね。
これは設計基準強度ですので実際に打設する強度は打設時の気温などを考えたりして割ります必要もあります。

実際には

一部の真面目な大手ハウスメーカーや工務店はしっかり考えていますが、まだまだ適当なところが多いです。
コストも重要なので仕方ないのかもしれませんが、きちんと納得の上で選びたいですね。
コンクリートの強度を質問して即答できないようなら??ですね。重要なことですから。

耐久性・災害対策

日本中の仲間と台風対策について話し合った。

ガラスだけで大丈夫なのか?シャッターが必要なのか?

当社もこれまで何百棟も作ってきたが、外からものが飛んできてガラスが割れたというのはあまり聞かない。
近年はガラスの性能が上がっているので割れないのだろう。

今回は、九州の工務店の参加が多かった。九州と言えば台風の通り道。秩父に比べるとかなり大変な暴風雨に見舞われる地域だ。
その工務店から得た情報はとても参考になります。

長崎、宮崎、福岡、熊本 各地域の工務店さんの意見ではシャッターは必要ないという結果。
九州でさえこういう結果です。

窓割れを体験したかという問いに対して 長崎の工務店さんが、一度窓割れを体験したとのこと。近くの古い家が倒壊するレベルの風でその家のスレートが飛んで来てガラスが割れたそうです。

もう一つの事例は年間100棟以上作っている工務店さん
20年で2棟のみガラスが割れただけとのこと。
そのうち1棟はシャッターがついていたにもかかわらず割れてしまったとのことです。本気でものが飛んできた場合シャッターでは防げない。逆に修理費がかかったという落ちがありました。

シャッターがつけば安心感があるというのは幻想だということ。
シャッターは風でガタガタするので逆に怖いと言っていました。

wwあたしも最近シャッターはとても無駄だと思っていたのでとてもタイムリーな話でした。

耐久性・災害対策,耐震・構造

2016年に起きた熊本地震からすでに3年が過ぎました。

震度7が2度続けて起こるという大変な地震でした。

当社でも、2度視察に行き その被害の大きさを感じ、壊れた家々を見ながら どのような家が壊れるのか。章句人さんたちと一緒に見てきました。

衝撃的な経験で 我々の考えを一変させました。

当社でも 以前は お客様がの要望で間取りと構造の整合性がうまくいかず耐震等級2という物件がありましたが お客様にご理解いただき 全棟耐震等級3となりました。

耐震等級3なら震度7が続けて起こっても倒壊には至りません。

しかし、3年たってわかってきた事実もあります。

2000年の耐震基準改正以降建てられた家は熊本地震で2,3%しか倒壊しませんでした。基準が上がりとても強くなった結果です。

しかし 倒壊を免れた家で会っても 損傷を受けた家もあり、なんと18%の建物が取り壊されてしまったのです。

住み続けることができないレベルの損傷でないとしても、損傷を受けた建物に住み続けるのは、その後の安心感が違います。

ですから、倒壊しないというレベルの家を作るのではなく大きな損傷をしない建物を作ると言うことが大切なのです。

そのためには、実際の地震動できちんとシミュレーションして、変形角などが安全に保たれる必要があります。

それをシミュレーションするソフトがWALLSTATです。当社でもこのソフトで解析しながらより安全な建物を作り続けたいと思います。

耐久性・災害対策,耐震・構造

新しい建物を長持ちさせるように作ることはとても重要なことですが、現在ある建物をさらに長持ちさせることもとても大切です。

特に 伝統的な技術で作られた 価値ある建物をきちんと残していくと言うことは とても重要です。

ただ見た目を直すのは,誰でもできることですが その建物が意匠を崩さず安全に さらに長持ちして行くように直すのはとても大変です。

多くの伝統的な建物は耐震的にはとても弱い建物です。

地震時に壊れないために必要な耐力の半分も満たしていないものも多いのが実態です。

伝統的な建物は大きな梁や太い柱を使っていてがっしりしていてとても強いように見えますが、実際には地震に抵抗する力のある壁が少ないので大きな地震にはとても弱い作りとなっています。

また、長い年月で 痛んでいるところは出てきます。それが解らずにすんでいると言うことも多いようです。

今回訪れたのは 栃木市の伝統建築物保存地区です。

まずは横内先生に様々な事例を教えて頂きました。

その後改修された建物を実際に見て回りました。

案内してくださったのは 私の母校の1年先輩の加藤先生 このような改修にたくさん携わっていらっしゃるようです。

それと東京都市大学の大橋先生。木構造の第一人者の一人ですね。大橋先生も母校の先輩
偶然です。(笑) 学生寮の話題で盛り上がりました。軍隊のように上下関係がありとても厳しいところでしたから。
「1年建築学科の高橋慎吾です。出身は埼玉県秩父郡・・・・」と寮で決まりの定文挨拶をしたら笑われました。

改修中の見世倉です。ジャッキアップして鉄筋コンクリートで基礎を作り土台を敷いて 下ろします。

この状態はとても不安定ですね。

大橋先生が構造のアドバイスをして安全な建物としてよみがえるそうです。

地震などの水平力に耐えるよう 壁などを補強していきます。
力がうまくバランス良く伝達するためには水平構面の剛性も必要ですから床や屋根なども強くします。
さらに足下がずれてしまったり浮いてしまったりしてはいけません。きちんと地面から離れないように基礎土台に接合します。

これを見えないように直すわけですからとても大変なわけです。

きちんと直すには大規模な改修が必要となってしまいます。きちんとした知識を持って直さなくてはまたすぐに修理が必要になってしまうかもしれませんし,きちんとした安全性能が確保できません。大規模な改修はお金もかかってしまいます。

でも、先祖から引き継いだ、価値ある建物を きちんと後生に残していくのも我々のつとめです。

今いる我々がやらなければ、今まで受け継がれてきた大事な建物が無くなってしまうのです。

本当に我々の様な技術集団にしかできない大切なことなのです。

今後もきちんと勉強をしながら良い仕事をしていきたいと思います。

大橋先生と記念撮影(笑)

相変わらず 太っている私。 やばいです。 ダイエットが必要ですね。

耐久性・災害対策

同じ年に建てた住宅でも 使う部材や作り方によってずいぶん劣化が違います。
その一例です。

下の写真はその当時 はやっていた外壁材です。窯業系サイディング。ほとんどの住宅がそうでした。今でもほとんどこの外壁ですね。この当時もメーカは 今と同じように長持ちすると言っていました。サイディングの劣化の写真です。

この外壁を使った多くの家がここまででは無いにしても痛んでいます。20年たっていません。
皆さんもこのてのサイディングという外壁の家が 作ったときには綺麗だったのに 10年過ぎてくるとゆがんだりして 汚くなってしまっているのを見ると思います。

一方 それより1年古い私の家
ヘーベルハウスなどで使っているALCという素材です。全く痛んでいません。商品名はパワーボード。旭化成建材さんの商品です。
当社ではこの外壁が標準です
塗装を塗り替えれば ほぼ新品同様となります。
外壁を張り替えるのは とてもお金がかかってしまいますが 定期的に塗り替えるだからわずかなお金で済みますね。
この素材は LCCMの評価でも最高ランクです。

建築時にはこの外壁の方が30~40万円くらい高かったのですが 今回の張り直し メンテナンスの金額を考えると サイディングの方が100万円くらい損をする計算になります。
さらに 住んでいたときの外壁の防音性能や断熱性能。防火性能には圧倒的な違いがありますから 「安物買いの・・・・・」ということになるかもしれません。
お客さまは建てるときには建築会社から全く説明も無くてデザイン色を選んだだけと言うことなのでとても気の毒です。
知っていれば、きちんと説明を受けていればこれを選ばなかったかもしれませんし、後悔をしなくてすんでいたかもしれません。
安く建てることしか考えずお客様に仕事をいただこうとした建築会社の責任が大きいですね。仕事を取ることだけ熱心な工務店には困りものです。長持ちする良い家を建てようと言う工務店ばかりになれば日本の家づくりも良くなるのですが。

このように家を作るときの素材の選定はとても重要です。

外壁だけでもとても大きな差が出てしまいます。

他にも屋根材や水道のパイプ ありとあらゆるものが 素材の違いで長持ち度が全く違います。

皆さん 家を作るときには 目先の金額だけで判断せず長い目で見て きちんと選んでくださいね。
選ぶのは難しいかもしれません。そのときには知識がある信頼できる工務店を選ぶようにしてください。

耐久性・災害対策

日本の住宅は建て替えとなる期間がとても短い。

図表I-1-1-13 滅失住宅の平均築後年数の国際比較

国土交通省の資料によると 大量消費国であるアメリカと比べても 半分だ。

100年以上という国もたくさんある

先日、スイスに行って アルプスの麓の村を訪れた。

特別な家というわけでは無く、特別に古い家を残すという地区でも無い。
当たり前に古い家が住み継がれている。
200年 300年 という家がたくさんある。
というか ほとんど100年以上の家だ。

このような家は 建ててからも何百年も住むことができるのだから 家が建てたときのままの価値があると考えることができる。勿論、途中でメンテナンスを続けていく費用はかかるが、新しく建てる必要は無いわけだから新しく建てる建物と価値は変わらないとも考えられる。
アメリカでも中古市場がしっかりしていて 買ったときの価格以上で取引されている例も多いらしい。

価値が下がらないのであれば 買ったときにかかったお金が家となって蓄えられているだけだから立派な資産と言えるだろう。家として貯金していると言うこと。

しかし,日本の家はどうだろうか?

長持ちさせることをあまり考えられていない住宅ばかりで平均30年で建て替えられていくようだ。
確かに近年は おじいちゃんの世代、お父さんの世代、自分の世代と毎世代ごとに建て替えをしていることが多いようだ。

これでは、家を建て替えるときにはその家の解体費がかかるわけだから持っているだけでお金がかかってしまうということになってしまう。すなわち負債と同じ訳だ。建て替えが必要な建物はマイナスなのである。すなわち借金。

長持ちする家は 資産となるが 長持ちしないすぐ壊されてしまう家は負債なのだ。

皆さん 大金をかけて住宅を建てる。借金を背負い込んで。
そして借金を払いきった頃にはその家は価値がなくなり負債となるのである。

そんな家を建てる必要があるだろうか?

私は、21の時にヨーロッパの国々を一人で旅をしたことがある。そのとき古い家々が 代々住み継がれていることに感動した。そしてその様な長く住み継がれていく家を建てたいと思った。
資産、負債ということまでは考えていなかったが、先祖が作った住まいを修理しながら住み継いでいくことがすばらしいと思ったのだ。

私が 暖かい家を必死で勉強し作ってきたのも住み継がれる家を作りたいと思ったからだ。寒い家はすぐに「住みにくい。建て替えたい」と思わせてしまうからだ。

スイスは寒いところだ。しかし建物本体がしっかりしているので修理を繰り返すことができる。父の代で外壁の改修を。自分の代でサッシをトリプルガラスに。と修理を繰り返していける。勿論内部の設備は最新の給湯器やキッチンなどに更新してありとても近代的な生活を送っているようだ。

住み継がれていく建物とするためには

建物が長持ちするようにしっかり作ること。
メンテナンスがしやすいこと
長持ちする部材を使うこと
あまり狭すぎないこと
その様なことが重要。

それともう一つ思うことがある。
それはデザイン
スイスの家々は今見ても とても素敵に見える
日本の古民家などもそうだ。
今,日本で作られている家はどうだろう。100年後住んでみたいと思われるデザインだろうか?
いや、10年後だってすみたいと思われるデザインなのだろうか?

へんてこな屋根や パンダみたいな色使い。
南欧風まがいの建物。デザイナーズハウス?
そんな建物が10年後20年後にもすてきに見えるのだろうか?

今売れっ子の設計士さん建築家のデザインの建物もそうだ。
形が斬新だったり、モダンだったり今見ると綺麗に見える建物はある。
しかしその建物は10年後、20年後にも受け入れられるデザインなのだろうか?
一時のはやりなのでは無いか?
「あのときあんな家が多かったね。今見ると粗末だね。」
そのくらいのレベルの建物であきられ取り壊されていくのでは無いだろうか?

資産となる住宅は長持ちしなくてはならない。はやりに左右されて、後で安っぽく見えて取り壊されていったり、デザインを優先するあまり、雨漏りやゆがみが早く来て住み続けられないようではならない。無理なデザインは危険だ。

だから、デザインもとても重要な要素なのである。
その土地にあった、見飽きない、普遍的な,流行に左右されないそんなデザインが必要だ。
スイスの村の家々はその土地の大工さんたちがその土地で育ってきた技術で作ったのだと思う。
有名な建築家でも無く。

単純でシンプルなデザイン バランスの良いデザイン それが長持ちする、住み継がれていく、資産となる住宅として重要な要素だと思う。

自分が手がけた住宅が早く壊されるのもいやだし、環境のためにも良いこととは言えない。
何より私を信頼し建築を任せてくださるお客さんの大切な財産を無駄にさせるわけにはいかない。
これからもしっかりした住宅を わざとらしくないデザインの住宅を作って行きたい。

高橋建築の大工さん。協力業者の皆さん。高橋建築は長持ち重視です。よろしく御願いします。
一緒に進化していきましょう。

 

日記・想い,耐久性・災害対策

大阪で大きな地震があり9歳の女の子がブロック塀の下敷きで死亡しました。

ブロック塀はきちんと作られていない例が多いですね。

ブロック塀もきちんと構造の決まりを守って作れば安全なのでブロック塀が悪いわけではありません。

でも、その構造の決まり通りに作られていないブロック塀がほとんどです。

それは ブロック塀を作っている庭やさん土木やさんなどの知識不足から来るようです。

ブロック塀でもきちんと鉄筋を規定量入れなくてはなりませんし地面の中に深く埋め重さを支えるベースも鉄筋コンクリートで作らなくてはなりません。

また、1.2mを越えるブロック塀は3.6m以内ごとに控え壁を作らなくてはなりません。

見回してみると ほとんどのブロック塀が基準を満たしておらず困りものです。

当社で新築をしようとすると、まずは基準に合っていないブロック塀から直すと言うこともよくあります。先日はまだ作ってもらって間もないものもありました。お客さまがかわいそうですね。

これらは見えている部分だけでも違法と解る代物ですから見えない部分もきっとだめだと考えられます。

たまに当社以外でやっている庭工事を見ていると 「おっ!また何も知らないでやってるな」というのに出くわします。本当に多いです。

今回のブロック塀も見た目から判断すると基準に合ってないことが予想されます。誰の責任なんでしょうね。何も知らずに安く請け負った土木業者なのか? 値段だけで選び無理矢理工事させた発注者なのか? 工事をした職人さんなのか?

大きな地震が来るのなんかまれですので、ばれないと思っていて 基準を知っていても仕事を取りたくて手を抜くことも考えられます。これはもう悪質ですね。発注側も解っていて発注していたら大変なことです。そんなことは無いとは思いますが。でも基準を知らずに堂々と作られるのも困りますね。一般の方は基準を知るはずも無いですから。

大変なことにならないよう きちんと勉強している真面目な業者に頼んでくださいね。

耐久性・災害対策

断熱材をきちんと入れてその性能を発揮させることが重要です。

断熱材がきちんと入っていなくて隙間があるというのは見ても解ります。

それではそこから熱が通ってしまいますね。絶対にだめです。

それに加えて注意しなくてはならないのが、断熱材の中に風を入れないことです。

防数層がきちんとしていないと 少しの風などでも圧力差などが出て断熱材の中の空気が入れ替わってしまいます。

グラスウールなどの繊維系の断熱材の場合は、空気が入れ替わることで断熱性能が半分以下になってしまうこともありますから本当に注意が必要です。(多くのメーカーの建物が断熱材が入っているのに寒いのはこのあたりも原因の一つと考えられます。)

気密を取るために断熱層の内側に貼るポリエチレンシートも防風シートですね。防湿の役割が重要できちんと施工するようになって来ている工務店もあります。。しかし、まだまだ認識が十分ではなく袋入りの断熱材を並べる位で終わりきちんと別ばりのシートで施工されていないのがほとんどです。これでは防湿、気密、防風のめんで性能を出すことができません。(グラスウールの断熱材で別ばりのシートで施工していないところはそれほど断熱性が良くないと考えて良いと思います)

室内側はシート貼りがされ認識が高まってきていますが 実は屋外側もきちんとシートを貼る必要があります。

耐力面材が貼られていても隙間から風が入ります。それを防がなくてはならないのです。

外に貼るシートは透湿防水シートが貼られるのが一般的です。様々な商品が出ています。代表的なものはタイベックです。

このシートは主に防水の目的で貼られています。 万が一外壁から雨水が浸入してもこのシートで防ぐという2次防水的な役割を持っています。

もう一つの目的が 壁体内の水分を屋外に排出する目的です。壁体内に水分が滞留すると壁体内結露などが起こり木材が腐ってしまいます。それが起こらないように水蒸気を通す構造になっています。雨などの水滴は中に入れず 壁体内の水蒸気は外に排出するとてもすごいシートなのです。

このシートはきちんと貼ることで防風層にもなります。シートの隙間を作らず施工することで壁体内に風の流れができません。

これが、断熱材の本来の性能を発揮させることに役立ちます。

ですから外のシートの性能や施工精度はとても大切なのです。耐久性のないやすいシー-とを使っていたり風が入るような施工が悪く手はだめなのです。

施工は丁寧かどうかは見ればある程度は解りますね。それと良いシートを使っているというのも調べれば解ります。

それが 建築会社選びの判断の一つにできるかもしれませんね。

写真は新建ハウジングの記事の一部です。日本の防水性のを勉強する団体のツアーで アメリカ バージニア州にある デュポンのラボに視察に言ったときの写真です。

様々な実験が行われていて品質を高める努力をしています。様々な実験の様子なども見せて頂きとても勉強になりました。

タイベックの品質の高さは格別で当社でも利用しています。

貫通部分もきちんと処理が必要ですね。,

窓周りも綺麗です

耐久性・災害対策,耐震・構造

カナダでの木の建物の話です。

6階建て以下の建物はほとんどが木造となっているそうです。

最近では18階建てというものまであります。

6階建て以下の建物で木造が多いのはやはりコストが安いから。

日本との違いは耐震と防火でしょう。

耐震に関しては地震が起こらないわけではないのである程度の強度は保たれています。

日本ではもう少し耐震要素が必要になりそうです。

 

大きく違うのは防火です。

カナダで基準が甘いのではありません。

日本の基準は燃えないようにするというのが強いです。

しかしカナダではスプリンクラーなどで消すということを重視しています。

今の日本の基準では木に石膏ボードでたくさん耐火被服をしなくては行けません。

木は見えなくなりますし、重くなります。工事量おも増えますね。

木のよさが失われてしまいます。

 

18階建ての大学の学生寮を見ました。

ユーチューブで見ることができます。https://youtu.be/GHtdnY_gnmE

木の骨組みは3ヶ月かからずに作ってしまいます。

これは日本でも利用始めているCLTという部材を使って作る方法です。

中央の大きな2本のコアで地震に耐えます。

そのコアは設備の配管やエレベーターシャフトとして利用されます。

 

さすがに18階となると今のところ少しコストがかかるようです。

現在これを安くできるように研究中とのことです。