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髙橋建築

断熱・気密

今回は天井、屋根、壁、床などの部位別の考察をしてみます。
断熱性能も各部位が弱点無くできていることが大切です。

それでは見ていきましょう。

各部位の仕様

3地域断熱と書いてあります。5地域なのに3地域仕様ですと言っていますね。

屋根

一部屋根断熱です。

内側から
石膏ボード9.5mm
ネオマフォーム60mm(λ=0.020)木材60mm 木部率9%
ネオマフォーム60mm木材60mm 木部率13%

U=0.189W/㎡K

石膏ボード9.5は12.5の間違いでしょうか?省令準耐火でしょうから。
ネオマフォームの60mmをダブルにしているだけあってとても良いですね。

天井

メインは天井断熱です。

石膏ボード9.5mm
グラスウール220mm(λ=0.038)木材 木部率13%

U=0.17W/㎡K

ここも12.5mmの間違いでしょうか?安全側ですから良いですけど。
すべての梁が220mmあるわけでは無く105mmのつなぎ貼りもむ受けられましたのでグラスウールを1段1段分けて計算すればU=0.16位にはなりそうです。

外壁

石膏ボード12.5
グラスウール(λ=0.038)100mm 木材 木部率17%
密閉空気層 5mm 木部 木部率0%?

U=0.43W/㎡K

まずは以前触れた木部率 私が構造図から拾うと柱間柱だけでも33%ありそうでした。これは大分違いそうです。
さらに密閉空気層部分に木部率が計算してない?わずかだけど有利側ですね。数字に表れてきませんが。
私が計算すると

U=0.52W/㎡Kでした。 間違っていたらごめんなさい。実際は2割も悪くなってしまいます。木材の面積比率は省エネ基準に載っている値なので在来軸組構法はこれで計算できますが,ビックフレーム構法までこの比率が使えるとは思ってもみませんでした。

この家ではありませんが真壁のデーターもあったので載せておきます。真壁ですと U=0.53W/㎡K だそうです。グラスウール24K75mmです。

床(一般部)

木質系フロア 厚みなし 
下地合板 24mm
押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)100mm 木材 木部率15%

U=0.33W/㎡K

床は断熱が評価できないものもありますから0にして安全側にしていますね。
フローリングを計算に入れてもさほど大差は無いですから計算が楽であったり仕様変更があっても数字が変わらないようにそうしているのでしょうね。

床(畳)

畳45mm(λ=0.08)
下地合板24mm
押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)100mm 木材 木部率15%

U=0.27W/㎡K

畳の床があるのに計算書では使われていないで一般部の床で計算してありました。これは安全側なので良いとしましょう。

床(外気に接する)

ポーチの上の2階の床ですね。

木質フロアー 厚みなし
硬質石膏ボード12.5mm
床下地合板 24mm
グラスウール32k(λ=0.036)180mm 木材 木部率15%
U=0.23W/㎡K

実際に計算すると2階の床の場合は天井断熱の場合の木部率と違ってもっとありますね。まあルールがありますからこれでいいのですけど。我々は正確に出します。

床(床暖部)

ここがよく分からないところです。図面には仕様が書いてあるのですが外皮の計算書では計算に入れてない気がします。

仕様書から読み解くとこのような感じです。

フローリング 12mm
床暖パネル EPS12mm (想像)根だなし(あったらもっと悪くなる)
グラスウール(λ=0.036)60mm 木部率23.2%(構造図より)

U=0.47W/㎡K

床暖パネル部は有利になる用に計算しました。
しかしなぜか断熱材が薄いのでこのようになります。
これが計算から漏れている気がするのです。

しかし、入れたとしても熱貫流が3W位の差ですからまあ大差ありません。

基礎(内部)

押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)20mm
コンクリート140mm

U=1.05W/㎡K

基礎(外周)土間床

立ち上がり部
押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)20mm
コンクリート140mm
水平部
押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)20mm 幅900mm

0.64W/mK

玄関ドア下は立ち上がり部の断熱は全くしていないようです。

1.75W/mK

どこが弱点か見てみましょう

床で断熱できていない玄関や浴室の外周回りの基礎が弱いですね。
その部分が4.06mありますので 4.06×0.64=2.60W/Kです。
全体の熱貫流量が152.7W/Kですから1.7%ですが、ほかに比べて極端に低いところがあるとそこだけとても冷たくなります。結露などの恐れも出てきます。少し怖いですね。

最も気になるところは外壁です。

0.43W/㎡Kと外気に面する天井などに比べてもとても大きい値です。

窓やドアは開口部ですので除外して考えます。床も床下の比較的温度が安定している部分に面してますので今回は抜いてみましょう。

そうすると外壁は天井の倍も熱が漏れやすいことが分かります。

さらに問題となるのは、外壁は一番面積が大きいということです。面積まで考慮して熱の逃げを見てみましょう。

全体の逃げる熱の45%外壁から逃げることが分かります。

窓が28% 天井が9%です。

窓が多いのはやむを得ないとは思いますが、壁がもう少しどうにかならなかったのかと思います。

まとめ

正直に書いてくれとオーナー様より言われていますのであえて書かせていただきます。住友林業さんが怒るかもしれませんが事実なのでやむをえません。

断熱量が平均的にまあまあのレベルでとどまっています。

外壁は一般的に建てられているハウスメーカー以外のところより見劣りします。高断熱とはいえない一般的なレベルです。正直に言うと高性能グラスウール(λ=0.038)100mmですから高断熱を唱っている建売住宅でもこのレベルと同じです。むしろビックフレームがある分、断熱材が入らなくなりますから不利でしょう。

天井は建て売りより少し良いです。ここで全体の数字を下げることに寄与しています。建て売りだとグラスウール100mm位でうまくクリアーさせているところもあります。それに比べればきちんとしています。屋根裏は暑くなったり放射冷却の影響なども受けやすいですから少し良くしておくのは当然ではあります。

窓はオーナーさんがオール樹脂サッシに変えて正解です。これが標準のアルミ樹脂サッシだったら結露などの心配も増えたかもしれません。

基礎、土間に関しては「どうしてここまで薄くするの?」と思ってしまいます。面積が小さいので数字には表れてきませんが、ほかに比べて特別に性能が悪い場所を作ることは危険だと思います。

外壁に関してもう一つ心配があります。現代のエアコンの使い方の問題です。
近年はお客様がたくさんエアコンを使いますし外気温は高温高湿度となります。

グラスウールの内側の防湿フィルム面に夏型結露の恐れがあるかもしれ無いと思ったのですが大丈夫そうでした。一瞬結露するかもしれませんがすぐ乾くようです。結果は設定により大きく変わります。割と厳しめに考えた結果ですので心配ないです。
住友林業さんできちんと検証していると思うので心配すること無いですね。
我々は安全を考えて可変透湿シートにしたりすることもあるので少し心配してしまいました。断熱材がそれほど厚くないので問題にならないかもしれません。
それでも夏のエアコン使用時に過度に温度を下げ過ぎない方が安全ですね。

冬の内部結露に関しても全く大丈夫そうです。耐力面材を使ってないですし期ずれパネルで通気もとれていると思われるので心配ないですね

結論としては、
大手ハウスメーカーが自信を持って 「これで高断熱」と言ってしまうのかと思うと残念です。
我々とくらべて大きく見劣りします。
それでもお客様を納得させることができるのですからすごい営業力だと思います。

ここまで言ってしまい申し訳ございません。
事実のみおはなししているつもりです。
間違いがございましたら訂正いたしますので、ご連絡いただければと思います。

断熱・気密

住友林業の家の絞殺をする前におさらいです。

現在のH28基準では 断熱量を外皮平均熱貫流で評価します。
いわゆるUA値です。

建築省エネ機構

簡単に言うと 壁や床、屋根 、天井、基礎、窓の断熱量の平均値です。

日本を8つの地域に分けて基準を決める

この断熱基準では日本を8つの地域に分けています。

IBECホームページから引用

5地域から7地域までは UA=0.87W/㎡kです。オレンジ色からピンクまでですね。範囲がとても広いです。
とても同じ気候とは思えません。秩父のように朝の最低気温がマイナス10度近くになるところから、霜も降りない。氷も張らない。プロ野球のキャンプをするような暖かい地域まで同じです。
当てにならないのが分かりますね。

これは暖房度日という指標を元に決められたものなのでかなり大雑把なのです。冬の暖房期間すべての日を暖房目標温度と一日の平均気温の差で積算します。

海沿いは温度が安定しているので良いのですが、内陸のように朝と日中の温度差が大きい地域では、影響が全く異なりますので、実際におうちを作る時には注意が必要ですね。私は気象庁のデーターを調べ最低気温平均に応じて地域を選べ直した方が良いと考えています。

秩父市は青森市よりも朝が寒い!

地域区分が当てにならないのを分かっていただくために参考に秩父市と青森の温度データーを記載します。


昨年の1月の最低気温平均です。秩父がマイナス4.0℃ 青森市がマイナス3.1℃ですね。秩父の寒さは一部の北東北より寒いのです。

埼玉県ですと鳩山近辺も寒いです。

昨年は秩父よりも朝、寒かったようですね。

このように地域によって様々です。
朝寒いのを我慢できれば良いのですが、朝起きた時にストレス無い生活をしたいなら朝の冷え込みをターゲットに家づくりをした方が良いですね。

住友林業の家の外皮平均熱貫流率は?

今回の住宅の計算書を見ますと外皮平均熱貫流率は0.47W/㎡kと記載されています。5地域の国の基準は0.87です。国の基準を満たしていますので等級4で最高性能ということになります。サッシを標準から変えて良かったです。
皆さんは国の基準は最低基準だとご存じでしょうからあえて国の基準についてのお話はいたしません。
この基準をクリアーしていることを自慢げに最高基準を満たしているので高気密高断熱だとハウスメーカーが言っていたとしたらとても残念です。
この基準は20年も前に作られた基準が元になっているからです。

実際にカタログなどで東北地域レベルの断熱性能などと書いてあったりしますが、そもそも、様々な理由でそれではあまり暖かくならないのです。

HEAT20のグレード

国の基準があまりにもお粗末なので、別に推奨水準を定めようという団体があります。HEAT20という団体です。


http://www.heat20.jp/

現在ではきちんと断熱をしている住宅会社は、国の基準はほぼ無視して、この基準で判断されることが多くなっています。

HEAT20ホームページから引用

5地域 G1グレードで0.48 G2グレードで0.34です。

この家はG1グレードは満たしていることになりますね。この点ではまあまあと言っても良いと思います。サッシが標準だとG1にはならなかったともいます。

G1グレードのシナリオはどういうものなのでしょう。

G1グレードはどういう基準?

G1グレードはモデルプランにおいてこのような内容で決められています。

エアコンはLDKで14時間 寝室で3時間 子供室で3時間つけます。
ずいぶん長いですね。夜寝ている時は消してまた朝つけます。

そしてお部屋の体感温度(輻射面温度なども考慮した温度)が15℃以下に20%位はなってしまう。たまには15度以下になるけどまあまあ15度以上だと言うことですね。
簡単に言うと朝15度以下になる日がたまにあるということです。

これだけエアコンつけるのだからそれほど断熱性能が良いといえませんね。

下の段の表では10度以下にはならないレベルと書いてあります。
それまでに寒い家にお住まいでしたら「新しい家は暖かいね。」ということになりますが、それほどでも無いですね。

このレベルでは吹き抜けは危険。光熱費もかかる。

実は 20年前に建てた私の家がこのレベルなのです。
ですから住み心地などが大体分かります。

このレベルですと 吹き抜けは危険です。
気密性能がとれていても断熱レベルが低いため温度ムラがかなりできてしまいます。私の家ではシーリングファンを回しっぱなしにしないと上下温度差がかなりつきます。現在の高断熱の家ではほとんど温度差はつきません。


このG1のシナリオで暖房時間13時間と書いてありましたがそれほどでは無いにしても 相当エアコンもつけますから、暖房費もまあまあかかってしまいます。
部分完結暖房のシナリオですから吹き抜けは想定されていません。
今回の調査のおうちは吹き抜けはありませんので良かったですが、階段室を通って2階に浴室脱衣室という間取りなのでやはり少し多めに暖房は必要になるでしょう。

20年前に建てた今回調査の家と同レベルの私の家で、なんとか今建てている超高断熱のおうちのように暖かい生活をしようとエアコンつけっぱなしの連続運転をしてみると電気代もとてもかかります。1月に1ヶ月間エアコンをつけっぱなしにしてみました。
518kWhです。26円・kWh出計算してみると 暖房だけでなんと13312円 かなりかかっています。
さすがにこれだけ暖房すれば脱衣室でもトイレでも24時間寒くは無いです。

しかし暖房費以外にも決定的な差があります。

住み心地が違う。その違いは表面温度

断熱性があまり良くないおうちは、エアコンをつけっぱなしで頑張れば温度だけは、超高断熱のおうちと同じように室温を20℃くらいに維持できます。
しかし、決定的な差があります。
それは表面温度の違いです。
暖かい家ではどこでも表面温度が同じで優しく包まれている感じの暖かさなのですが、断熱性の低いおうちでは表面の温度を補うために少し暖かめにしないと暖かいと感じないことが多くそういう感じがしないのかもしれません。

室温と同じくらいに表面温度がなっていると快適だと感じますね。

温度ムラが無く室温と同じくらいに表面温度が維持できるのは 私の経験上G2レベルくらいが必要と考えています。

まとめ

このレベルでも基準はクリアーしていますので高断熱というのは嘘ではありません。

しかし、お客様は暖かく住み心地の良い家を希望したとのことです。

ハウスメーカーさんは自信を持って「十分暖かい。」と説明したとのことです。

このお客様はたくさん勉強している方なので、もちろんUA値などのことは理解していて、現在ではUAが0.3位の家があるのも知ってらしたそうです。

それでも、これほど大きなハウスメーカーが自信を持って「この仕様はすごいから十分に暖かいから大丈夫。」と言ったのを信じてしまったとのこと。

本当の暖かい家を求めていたのにちょっと気の毒です。

私の私見ではありますが G2レベルをクリアーしていれば、パッシブハウスレベルまで行かなくとも暖かさの体感はとても良いと思います。もちろんパッシブハウスレベルの方が良いのは当たり前ですが。

これから建てる皆さんは是非G2レベルをまずは目指してください。

断熱・気密

今回は窓について考えてみましょう。

まずサッシの種類です。

サッシは大きく分けて

アルミ製のもの
アルミと樹脂の複合のもの
樹脂だけでできたもの
木製

と大別されます。

フレームがアルミのサッシは熱のロスが大きいので使われなくなってきました。
樹脂サッシの性能が良いのですが、価格や防火の関係で大手ハウスメーカーではアルミ樹脂複合サッシを使うところが多いようです。

住友林業の標準仕様は三協立山のアルジオのペアガラスのようです。カタログを見ると標準的な大きさの縦滑り出しUw=2.15とありました。(間違っているかもしれませんがアルミ樹脂複合LOW-Eペアならほぼ同程度でしょう。

今回の調査した物件はオーナーさんの希望でAPW330の樹脂サッシに変えてありました。住友林業の計算書を見るとUw=1.51です。かなり良いですね。

当社で使っているYKKAPのAPW430 トリプルガラスですとUw=1.11のようです。標準仕様と比べると倍くらい性能が違いますね。(06011縦滑り出し)WINDEYEデーター添付します。

サッシの影響

サッシの性能は大きく影響します。
壁や天井の断熱性能と比べ5倍10倍もサッシの方が悪いからです。
熱貫流率が一桁違います。

この住宅の計算書から代表的な部位の数値を比較してみました。ドアや窓の性能がそのほかの部位に比べて大分性能が悪いのが分かります。

ドアが一番悪いのですがドアは一つですし面積もさほど多くはありません。
先ほどの数字に部位ごとの面積をかけると部位ごとの熱の漏れる量が分かります。

外壁と窓の熱貫流量が多いのが一目で分かりますね。

サッシの選択が大きな影響をもたらすのはおわかりいただけたと思います。

窓は構造によらず商品を選択すれば良いだけですから、比較的性能を上げたり下げたりが容易です。

もし違うサッシだったら?

この住宅がAPW330の樹脂サッシに変えずに標準のアルミ樹脂複合サッシだったらどうだったでしょうか?
仮に平均U=2.15としてみます。

窓の熱貫流量が42.44から57.878に増えました。15.4Wの差です。

アルジオ APW330 APW430トリプルガラスの熱貫流量の比較です。

サッシによる差が大きいことが一目瞭然ですね。

サッシの違いでUAはどう変わるのでしょうか?


サッシを変えるだけでUAが大きく変わります。

アルジオアルミ樹脂だとUA=0.51

APW330樹脂ペアならUA=0.47

APW430トリプルガラスならUA=0.42です。

性能を簡単に変えられ部位だとおわかりいただけたと思います。

サッシの種類による価格差は

サッシをお気軽に変えるだけで住宅全体の性能が1割づつくらい変わります。

それでも価格が心配で、そう簡単には変えられないかもしれませんね。
サッシの価格はとても様々なので一概に比較することは困難です。

それでもあえてざっくりというなら
サッシの価格差はそれぞれ50万円位の差では無いかと想像できます。
もう少し少ないかもしれませんし,多いかもしれません。
皆さん、おうちをお建てになる時に値段を出してもらってください。

ガラスの選定

ペアガラスと言っても性能は様々です。ガラスによって全く違います。ガラスとガラスの間の空気層も6mm位しかないものから16mm位までのものがあります。
ガラスを支えるスペーサーも熱を伝えやすい金属製と伝えにくい樹脂製があります。
中の空気層も熱を伝えにくいアルゴンガスやクリプトンもあります。
熱を反射させるガラスのLOW-E膜も内側だったり外側だったり1層だったり2層だったりします。

それらの違いにより全く性能と価格が違うのです。
ローコストメーカーのガラスはレベルの低いものが多いです。
お客様は分かりませんから最低限のものを使うのです。
「当社もペアガラスですよ!」と言われれば同じだと思ってしまいます。
安い住宅会社は安いなりの理由があるのです。

このおうちは全部が遮熱複層ガラスとなっています。(防犯あわせになっている)
もちろんアルゴンガス入りのLOW-Eガラスですし
ガラスのスペーサーは熱を伝えにくい樹脂タイプです。

空気層も厚いタイプですので選択としてはとても良いと思います。
勉強されているオーナー様ですね。

断熱性能優先の選択ですね。

しかし、もう少し踏み込むなら、割と日当たりの良い家なので南面は遮熱型のガラスでは無く日射取得型の方が良かったかもしれません。
ガラスのU(熱貫流率)は悪くなりますが、遮熱型に比べて5割以上太陽の熱を取り込めるようになります。
一般的には関東地方のように冬に晴れの日が多い地域では南面は日射取得型が熱的には有利とされます。

UAは悪くなりますが暖房負荷は下がり省エネになると思います。

計算書の記載が間違っているだけで実際には日射取得型にされているかもしれませんね。

窓の役割は光の取り込みと太陽熱の取り込み

冬の日差しは主に南側から入ってきます。夏の太陽は日が高くなり屋根の上を通りますのできちんと庇があれば南の窓からの熱い日差しは遮れますね。

このおうちは,格好良く屋根が大きく軒の出が大きいですから、夏の日差しは遮れそうです。

そうするとやはり南側は冬の日差しの温かい熱を積極的に取り込めるガラスを選定すべきだったかもしれません。

しかし、今日ではプライバシー重視でカーテンを開けないかもしれませんし、今後の気候変動で冬寒くなくなり夏暑い方が重要になってくるかもしれませんので、夏重視で南面も遮熱複層ガラスという選択もありかもしれません。

私もいつも悩むところです。

サッシのまとめ

サッシはとても良いものを選択されています。
さらに良くトリプルガラスの選択もあったかもしれませんが、この住宅のほかの部位の熱的性能のバランスから言うとサッシばかり良くなってもダメです。

しかし前述したようにサッシからの熱損失は大きいですし容易に性能をあげやすいですからサッシをオール樹脂のAPW330にしたのは本当に良い選択だったと思います。

ハウスメーカーも思い切って標準仕様を樹脂アルミから樹脂サッシに変えたら良いのでは無いかと思いました。

調査依頼受け付けます。

このブログをご覧になられた方から相談がありました。

調査依頼はお気軽にお声がけください。実費かかりますが建物の断熱性能を調査いたします。
「暖かい家を建てたつもりだけど寒い。」
「上手に作られていない気がする。」
「もう少し住み心地をよくするには?」

実際の性能を知ることが今後の断熱改修などに役に立ちます。
 メールは info@ta-k.jp です。

断熱・気密

少し日が開いてしまいましたが,報告を続けます。
最初にお断りしているとおり、住友林業で家を建てたオーナーさんの希望で皆さんに真実を知ってほしいと言うことですので、調査結果を公開させていただいています。

玄関土間、玄関ドアの熱画像

玄関土間Sp1 11.5℃ 玄関ドアコーナー6.9℃です。

内部に近い方の玄関土間で13.1℃です。

玄関ドアがUw=2.33W/㎡Kと計算書に書いてありました。
YKK製品のヴェナートです。一応,このシリーズの中では最も高性能とされているD2仕様のドアですので、普通に選ぶなら選択が間違っていたと言うことではなさそうです。しかし近年はUw=1.0に近い製品も多数発売されています。Uw=1.5位のドアも多く使われています。
この数字は逃げる熱量を表していますので小さければ小さいほど断熱性能が良いと言うことになります。

ローコストビルダーなどではUw=3位のドアもまだまだつかわれていますからそれに比べれば高断熱といえるでしょう。

しかし天井や壁などの断熱されている部分はU=0.2とか多くてもU=0.5とかだと思うので同じ面積なら5倍以上も熱が逃げます。このように大きな欠点となるところはできる限り頑張りたいものです。

また、玄関の土間ですがこの部分は基礎断熱となっています。
しかし熱画像で見て分かる通り表面温度はかなり低いようです。
これは,断熱量が少ないためでしょう。
図面を見ると押出法ポリスチレンフォーム3種(λ=0.028)が20mmです。

計算の影響が少ないのでかなり薄くしているものと思われますが、熱画像を見て分かるとおりかなりの熱が漏れています。

約20年前にできた高断熱の基準を引き継いでいる現行の遅れた基準でも、計算によらない熱抵抗は1.7となっています。

熱抵抗1.7は この断熱材厚50mmに相当しますから、このおうちの20mmは薄いですね。しかしこの表によらず、天井や窓など、ほかの部分トータルで併せて数字をクリアーできても良いのですから、この薄さが間違いではありません。

でも、国で定めている部位ごとの熱抵抗値をクリアーできていない部位があるのは、少し残念ですね。

玄関ドアとタイルの床のコーナーの熱がとても逃げているのは、玄関ドアの取り付け方による問題もありそうです。できるだけ熱橋とならない工夫をするともう少し良かったかもしれません。しかしこの部位は我々でも難しい場所です。

壁のコーナーの熱画像

おうちの隅部分です。この家はおうちの角部分が見える場所がトイレでした。

便器は電気を使っていますから暖かいですね。
たくさん熱を発していることから割と電気を食うのが分かります。

家のコーナーから熱が漏れやすいのでコーナー部分を見てみましょう。
El1 9.1℃です。
温度が低いと言うことは、ここからたくさん熱が逃げていると言うことです。

床も11.3℃ 壁も11.8℃と少し寒いようです。

このコーナーから熱が逃げるのはコーナーに柱があったり土台がありすぐ下は外気を通す基礎の通気パッキンとなっていることが影響しています。断熱材が全くない部分です。

参考に熱橋対策をしているおうちの画像を載せます。

このトイレもおうちの角ですが 一番寒いところで14.9℃
壁16.3℃ 床16.2℃です。

ビックフレームの熱画像

住友林業の特徴と言えばビックフレームです。耐力壁を設けずにすみますから大開口が可能となるとても素晴らしい構法です。しかし思わぬ弱点となっていました。

ビックフレームがはっきり見えるほど温度差が見えます。

どこに大きな柱があるか分かりますね。

これは大変なことです。性能を表す外皮計算書を見てみると断熱材と柱の割合を17%で計算しU=0.43となっています。しかし私が構造図から計算すると土台や桁などは除いて計算しても柱の割合が33%位にもなってしまいU=0.52と2割も悪くなってしまいます。

別に計算方法に誤りがあるわけではありません。木造軸組の場合、きちんと比率を計算しなくても17%で計算しても良いことになっているからです。しかしビックフレームの場合には大きな誤差が出ますのできちんと木部率を計算し外皮の熱損失量を出した方が良さそうです。

天井と壁の境の熱画像

家を格好良く見せるために屋根を低く2階の天井すれすれに作ります。
そのためどうしても天井近くに屋根を支える木材(軒桁)が来てしまいます。

それがやはり熱を伝えるのです。

デザインとの兼ね合いもありますからやむを得ないのかもしれません。

エアコンの配管

ここも熱が逃げやすいところです。エアコンの管を通す壁の穴から冷気が入っているのが分かります。
これは我々でもしっかり施工するのは難しいです。
電気屋さんに指導していますが、きちんとやるには相当苦労します。

床暖の熱画像

床暖パネルが敷かれているところが28.3℃ 敷かれていないところが22.3℃です

暖かいですね。とても気持ちが良いです。

ヒートポンプ式の温水床暖房なので機器の効率も良さそうです。

しかし外皮計算書を見ると床暖が敷かれていない廊下などは 押出法ポリスチレンフォーム(λ=0.028)が100mmなのに 床暖があるLDKは高性能グラスウール(λ=0.036)が60mmのみとなっています。

床暖の熱が床下にたくさん漏れてしまって、もったいない感じがしますが、本当に計算書通りに作ってあるか調べませんでした。できればほかの床と同じように高性能な断熱材を暑く施工されていることを祈ります。

床部分の熱貫流率の計算も私がやるのと若干の差が出ていました。

サッシのフレーム ウォームエッジからの熱損失



この家では標準仕様では無く APW330というオール樹脂サッシを使い さらにガラスのエッジは樹脂スペーサーをきちんと使っています。そのため熱の逃げが小さくなっています。とても良い感じです。

これが 標準のアルミ樹脂複合サッシだったりするととても冷たくなります。オーナーさんがきちんと選んで取り替えてもらったみたいです。

天井断熱材の施工は単純だけど難しい

高性能グラスウール(λ=0.038)110mmを2枚重ねのようです。
U=0.17W/㎡kとまずまずの性能です。

袋入りの天井断熱材の施工は割と難しくなかなかうまくいきません。以前Sハウスの天井裏に入った時はがっかりするような施工でしたがこの家はとてもきちんと施工できていました。

それでも袋入りを並べていくのですから若干の隙間は出てしまいます。

隙間から熱が漏れていいます。

換気ダクト 24時間換気 排気の熱損失

この家は第三種換気ですのでこのパイプを通る空気は排気です。

お部屋の空気を外に出すパイプです。

暖かい室内の空気がこのパイプを通って捨てられていくのが分かります。
この捨てられる暖かい空気の量だけ外の冷たい空気がそのままお部屋の中に取り込まれてしまうのです。

第一種熱交換換気扇にすればこの熱が回収できますのでとても暖かく省エネとなります。

まとめ

熱画像を通して分かることはとても熱を通しやすいところ(熱橋)が多いことです。特に面積が大きい外壁の木部率が高く熱が逃げやすい構造です。
また、土台、桁周りの部分も熱橋となっています。

天井もすぐに桁があるためどうしても木部率が高くなります。

オーナーさんが 大きな欠点となりやすいサッシを 高性能樹脂サッシに変えていますのでの熱貫流がとても少なくなり他の部分をカバーしていると考えられます。

施工は丁寧ですし、計算的にはH28基準も十分クリアーしていますので、問題とはなりませんが、お客様が気がつきにくい部分は曖昧に考えているような気がします。ハウスメーカーの研究所のレベルでは分かっているはずなので、基準をクリアーをすれば良いというのでは無く、もう少し工夫をし実際の性能をだせる方法がありそうだと感じました。

断熱・気密

本当の温かい家を知ろう

当社で建ててくださったおうちのデーターを回収してきましたので公開します。
圧倒的な性能なのでびっくりするかもしれませんが、多くのハウスメーカーでは建てられない、このレベルのおうちが普通に建てられていることを皆さんに知っておいていただきたくて,公開いたします。

この家の概要

UA=0.25W/㎡K C=0.065c㎡/㎡
当社で作る家の断熱量はほとんど変わりませんが、家の大きさ間取り、窓の付け方、日の当たり方で UAや暖房負荷がおおきく変わります。この家はほぼ南向きで日当たりの良い45坪あるおうちです。小屋裏収納とロフトも7.5坪あります。
吹き抜けもあります。

少し大きめなのでUAは小さめになります。

実際の温度データー

温湿度のデーターロガーを外気、リビング、脱衣室、寝室に設置し約10日間測定しました。一番下の赤いラインが外気温です。
そのほかは温度ムラが無く、どれもほぼ同じですね。

秩父は寒い!!

 今年はとても温かいです。しかし、朝の気温がマイナス6.7まで下がってしまっている日がありますね。
 秩父は盆地で夜間とても冷え込みます。朝の冷え込みは北海道並みです。秩父の朝の冷え込みは青森市よりも寒いのです。(気象庁データー調べ)

まるで春のような暖かさ

 この住宅はとても温かい高性能住宅です。
 様々な工夫がなされています。

 朝の最低気温がマイナス6.7℃になった時でも,暖房もしないでリビングは17.1℃の温度が維持されていたことが分かります。
 このようなおうちでは、暖房して17℃ではなく一番寒くなる窓の影響により徐々に温度が下がり17℃になってきていますので壁や天井などの表面温度は2度くらい高いことが多いです。
 ですから室温以上に温かく快適に感じます。

無理に暖房して温かくしているお部屋とは違い 「まるで春のような暖かさ」と多くの方がおっしゃります。

暖房時間は少なくても十分

それでも全く暖房がいらないかと言えばそうではありません。

当社で建てた方でも、人によっては暖房がいらないと全く暖房しない方もいらっしゃります。
エアコンもこたつもファンヒーターもつけないのです。
逆に真冬なのに暖房をして、すごく暑くしてすんでいる方もいるのです。
「毎日がハワイ」と豪語する方もいるのです。

このおうちでもほとんど暖房はせず,たまに寒い時だけ暖房をしているようです。

このデーターを見ると朝、6時から7時30分くらいまで暖房している日があることが分かります。

エアコンはつけっぱなしの方が効率が良いと言う記事がたまに見受けられますが,それはまだ中途半端なレベルのおうちなのかもしれません。当社レベルの住宅になるとほとんど暖房はいらないので寒くなった時だけ短時間動かすのが消費電力が少ないようです。

6畳用エアコンで十分

この住宅の暖房に使うエアコンはなんとリビングにある6畳用1台です。

秩父の寒さ、45坪+アルファのおおきさ。さらに吹き抜けもある
それでもこの温度データーです。

「吹き抜けは寒くなるから作らない方が良い。」とネットの記事などでありますが、それはレベルの低いおうちの話です。

6畳用エアコンでもフルに動かすと暑くなってしまいます。

お風呂に入る時も寒くない

日が沈み、夜になると温度が下がっていき7時頃外の温度が1℃になってしまっているのが分かります。でも脱衣室の温度は約20℃。

お風呂に入る時やお風呂から上がる時は裸になっていますから脱衣室の温度が20℃はありがたいですね。

これも無理に暖めた20℃では無いため、壁や天井などの表面温度も20℃位あります。とても気持ちの良い暖かさです。

脱衣室、浴室とも寒くないので 当社の住宅にお住まいのオーナーさんのなかには,冬の朝でもお風呂に入る方もいらっしゃいます。普通のおうちでは考えられないことです。

脱衣室が暖かい秘密

脱衣室が20度あるのは、リビングとつながるドアが開けてあるからです。そしてリビングの暖かい空気が脱衣室を通り浴室から外に出て行くように計画されています。

断熱の量と そこを通る換気の量とのバランスで 上手に無駄なく脱衣室、浴室の温度を維持します。

オーバーヒートもしない。

日中は太陽の光でおうちを暖めます。

このおうちも南側のガラスは日射熱が入ってくる特殊な大きなガラスが並んでいます。

日中の太陽の光の熱をため込むのでです。これは無料です。

高性能なおうちでは、断熱性がとても良いですから、熱を集めすぎオーバーヒートとしてしまうことがあります。室温が25度を超えてしまうことさえもあるのです。

このおうちは、オーナーさんがうまくレースのカーテンなどでコントロールし25度以下に押さえてくれているようです。

このレベルの住宅が当たり前になってくる

当社でこのレベルのおうちは10年前すでに作られていました。
それからこのレベルの家を作り続けています。

ハウスメーカーのレベルではとても考えられません。

これほどの住宅はオーバースペックだと言う方もいらっしゃいます。作れない住宅会社の営業さんはそう言うことが多いです。

しかし、欧米ではこのレベルの家は当たり前になってきています。中国や韓国でさえどんどん建てられています。いずれは必ずこのレベルの家が標準になるでしょう。

ハウスメーカーは約20年遅れている?

なぜそう言えるのかと言えば 当社の20年前の住宅のレベルがまさに今ハウスメーカーが建てている住宅のレベルだからです。

20年前、当時の最高の技術で当社が作っている時も 「高橋建築はやり過ぎ」と言われていました。でも世界では標準となってきていました。日本は遅れているのです。20年たった今は、なんとか住めるレベルの断熱性能は維持されています。暖房エネルギーはとてもかかりますが,まあまあのレベルの暖かさにはなります。

当時のハウスメーカーで建てたスカスカの住宅にお住まいの方は20年しかたっていないのに、寒くて建て直しがしたい人もいるでしょう。

歴史は繰り返されると言いますが、10年後くらいにはハウスメーカーも今の当社レベルのおうちを作り始めるかもしれません。

真冬なのに羽毛布団かたづけました。

この家のオーナーさんのお話です。最初は冬になったのでいつも通りに羽毛布団を出して使い始めたのですが、すんでいる内に必要ないのに気がついたそうです。

「お友達がびっくりする。」「信じてくれない」とお話しされていました。

「暖房入れっぱなしなの」
      「つけてないよ」
「うそでしょ!」

そんな感じらしいです。

「床暖入ってるじゃ無い」
      「床暖ないよ。」

そんな会話にもなるそうです。

床暖は必要か?

床暖がとても快適と言われますが、当社の家は、床暖が無くてもあるような錯覚をしてしまうほど温かく感じるのです。

多くのオーナーさんがおっしゃります。
本当に温かい家は全く違うのです。

当社でも床暖を設置するのを標準にしていた時期がありましたが、その後の住まい方を見ていると床暖のスイッチをつけない方が多いのに気がつきました。
せっかく設置しても使ってもらえないなら意味がありません。
床暖も寿命がありますから,メンテナンスや取り替えを考えると、無いにこしたことはありませんね。

本当の性能の違いを知ろう

多くの方が、大手ハウスメーカーが作るものが最高と勘違いしています。

大手だからきちんとしているだろうと思っています。

よく勉強して見比べてみてください。

全く違うのに気がつくはずです。

今の世の中は、情報が多いです。どの建築会社も良いことばかり言います。情報の量をたくさん発信している会社が強いです。

たくさんの情報の中から自分に合った情報をきちんと選び抜くのは大変です。自分の身を守るには 自分で勉強するしかありません。

お知らせ

当社の着工待ち状況が改善してきました。

大工さんがパワーアップし上手に回っております。(笑)

お客様の状況にある程度合わせることが可能になってきました。

しかし、あくまでもある程度です。

1年以内に完成とまでは無理そうですね。(笑)

住みやすい家になるようにきちんと打ち合わせをするには3ヶ月や半年は必要です。ですからそれほどお待ちいただく感じではないですね。から丁度良い感じになってきたと思います。

お知らせ,太陽光発電,建築費・光熱費

2020年の太陽光発電の売電価格が発表されました。

21円/kWhです。ずいぶん安くなってきましたが、太陽光発電のシステム価格も安くなってきていますので、元はとれますし何より環境貢献できますから、積極的に導入したいですね。

現在の設置費用は5kWのシステムで100万円から115万円くらいでしょうか?

ずいぶん安くなって来ましたので十分元はとれますね。

太陽光発電はできるだけ低価格で設置することが肝心です。

そして取り付け方法も良く検討しましょう。できるだけ屋根に負担をかけず長期間に渡り雨漏りの起こりにくい設置方法にしてください。雨漏りを起こしてしまうと修理費が大変です。

雨漏りのしにくい設置方法は、屋根材の検討が重要です。屋根材によっては屋根に穴を開けないと取り付け出来ないものもあります。防水処置はしますがその方法だと、いずれは雨漏りをしてしまう可能性が大きいですね

太陽光発電のメーカー選びも重要です。同じ5kWの太陽光発電システムでもメーカーによって実発電量に大きく差が出ます。良く調べて選びましょう。

実発電量が多いメーカーはネットなどでも調べられますので信頼できるところで調べてみてください。

建築費・光熱費,設備・空調

皆さん。エコキュートはご存じですよね。エコキュートの解説をいたします。

空気で熱を作る

エアコンと同じようにヒートポンプという機械で熱を作り出します。
熱を作るというより、外の空気の熱を奪ってタンクの中のお湯を温めるのです。
タンクの中のお湯は90℃にもなりますが外の温度は寒いと氷点下、暑くても40度しかありませんから、低い温度なのに高い温度のお湯が作れるなんて魔法みたいですね。
でもそれができてしまうのです。

エコキュートのしくみ
(株)コロナホームページから引用

電気のエネルギーを1使うと 3のエネルギーのお湯が作れます。
そのため、石油給湯器やガス給湯器よりも効率が良く環境に良いと言われるのです。

エコキュート選びは?

皆さんエコキュートを選ぶことは少ないと思います。建築会社もガス化、灯油かエコキュートか選ばせるくらいで、どの機種をつけるかまでは選ばせないですね。どの機種をおすすめしてくる会社かで、会社の姿勢が見えてきますね。

お客さんさえ気がつかなければ、一番安いものを提供し利益を得ようとする会社もあるかもしれません。できるだけ省エネで光熱費がかからないように考えてくれる会社もあるかもしれません。お客さんの立場に立って機種選定をしてくれる会社を選びたいですね。
エコキュートをいい加減な選び方をしている会社は、ほかの機器や材木などの資材も同じような感覚で選んでいるでしょうね。
大手ハウスメーカーであってもお客様がいわなければ一番しょぼいエコキュートを入れてきます。お客さんに確認する知識がはじめからあるわけでは無いですから困りますね。使い始めてから気がついても後の祭りですし、お友達たちと比較することも無いでしょうから気がつかずにそのままになってしまうことがほとんどでしょう。

エコキュートは機種により大きく効率が違う

先ほど 1の電気エネルギーを3にできるとお話ししました。
それがCOP3.0の性能と言います。

ですが近年は各社性能を上げてCOP3.8であったりCOP3.9という機種もありますね。COP3.0の機種と比べると2,3割も性能が高いわけですから、長期間使用すると光熱費に大きく差が出ますね。

(株)コロナ ホームページから

https://www.corona.co.jp/eco/

この機種はCOP4.0に達しています。すごいですね。

エコキュートは光熱費が安い

実際にお湯をわかすのに一月あたりいくらくらいかかっているのでしょうか?当社では複数のお客様のおうちで実測させていただいています。
まず,温かい夏ですが 2019年8月のデーターです。 
A様 37kWh 666円(18円/kWhで換算東京電力スマートライフプラン)
B様 31kWh 558円 
C様 33kWh 594円
7,8,9月は温かいので効率が良いですね。この金額で1ヶ月お風呂には入れるなんてびっくりですね。エコキュートの性能の高さが分かりますね。

しかし一方、冬は寒いのでとても効率が落ちます。
2019年12月の数字を見てみましょう
A様 113kWh 2034円(18円/kWhで換算)
B様 126kWh 2268円 
C様 115kWh 2070円

昨年1年間の C様の平均では90kWh なので 一月あたり1620円でした。
ガスや灯油の給湯器ではとても無理ですね。
皆さんのおうちはいくらくらいかかってますか?

寒いと効率が下がる

寒いと効率が下がる原因はなんでしょうか?

まず、タンクに入る水道水の温度が冷たくなります。夏場は地面も温かいですから元々20度位ある(予想)水を温めれば良いことになります。ですが冬ははかったわけではありませんが10度以下の温度の水を温めているのでは無いでしょうか?
大変ですね。

さらに熱を作るヒートポンプの効率が落ちてしまうのです。ヒートポンプとは冷媒をコンプレッサーで圧縮しそれが気化する時に奪われる熱を利用して熱の入れ替えをします。空気の熱を奪ってお湯を作るのです。空気の温度が高ければ熱を奪いやすいですね。前述したCOPも温度が下がると半分以下に下がるようです。大変効率が悪くなりますね。

そして寒冷地ではさらに、ヒートポンプの熱交換器に霜が付きます。そうすると空気の通りが悪くなり効率的に熱が奪えなくなります。そのため霜を溶かす必要があるのです。この霜を溶かすのにもエネルギーを使ってしまいます。

最後に、外気温の低さでタンクのお湯が冷めやすくなります。エコキュートは基本的に深夜電力を使い朝方お湯を沸かし切りますのでそこからよるお風呂に入るまでの間は外にあるタンクにお湯をためておくことになります。
お湯を作りきってから使うまで12時間以上になることがほとんどでしょうから寒いと冷めやすいのは当然でしょう。その分余分にお湯を作っておく必要がありますね。

エコキュートをどのモードで動かすか?

モードの名称はメーカーによりいろいろありますが 主にエコキュートが考えて必要量を調整したり深夜以外でも追加でわかしましたりする「お任せモード」
タンク満タンに目一杯お湯を作って準備しておく「満タンモード」
予想される必要量を深夜のみわかしておき途中で追加しない「深夜モード」があります。
基本的にはお任せモードで動かすのが経済的だと言われています。使い切る量を予想して少し余力を残してわかしてくれます。その余力も「多め」と「少なめ」が選べる機種もあります。毎日使う量に大きな変化が無い場合は「少なめ」が経済的そうですね。
最近の機種は「太陽光発電モード」を備えているものもあります。
深夜電力では無く太陽光発電の電力をうまく使うモードです。
次の日が晴れそうなら深夜電力では無く太陽光発電で作られた電力を使います。
自分で作った電気でお湯が作れるというのはとても良いですね。
このモードでは 暖かい昼間にお湯を作ることになりますので、ヒートポンプの効率が上がったりタンクの冷める時間が短くなったりととてもメリットがあります。

冬場は効率が悪いなら毎日、日中動かせば?

これまでの話を聞いて、冬場効率が悪いなら日中動かすのが良いのでは無いかと思われるでしょう。
基本的には夜間余っている電気を上手に使う機械ですから電力会社はあまり喜ばないようです。
しかし、効率を考えて日中動かすのが省エネにはなります。以前は7円ほどだった深夜電力も現在は18円くらいまでなってしまいました。

同じおうちで比べることができなかったので先ほどのA様のおうちを日中動かしC様のおうちを深夜のままにしました。

1日平均の電力量と電気料金です。
A様 3.9kWh 101円(26円/kWhで換算) 
C様 5.0kWh 90円 (18円/kWhで換算)
日中動かすA様の方が2割ほど使用電力量は安くなりました。しかしC様の方は深夜電力なので電気代は安くなります。
電気を使う量を少なくするのが環境のため?安い方がお財布にはやさしい?

太陽光発電で設置から10年以上たち売り電価格が下がってしまった人は自家消費が良いですから迷わず日中動かした方が良いですね。
8.5円/kWhの売り電価格なら1日33円でお湯が沸かせたことになりますね。

寒い日は浴槽のお湯を残そう。

とても寒い日は、外の水道の配管が凍ってしまうことがありますね。エコキュートとお風呂を繋ぐ循環パイプも凍ってしまうことがあります。

でも、お風呂に入り終わったあと、お湯を残しておくとエコキュートが自動的にたまにお湯を循環させてくれて凍結を防止できます。この機能を利用しましょう。パイプが凍らないようにヒーターを設置するととても電気を消費しますから、経済的です。

さらに残り湯があると、冬場の乾燥を和らげる効果もあります。浴室の換気扇を止めて 浴室のドアを全開するととても良さそうです。当社で建ててくださったオーナーさんたちがメンバーの「快適エコ研究所」の皆さんの実験でわかりました。家によって違いますが、おおむね5%位湿度の改善効果ありそうでした。

残り湯は暖かいですから、冷めるまでは、おうちの中にある方が暖房にもプラスですね。

逆に夏はすぐ捨てましょう。理由は簡単ですね。(笑)

断熱・気密

住友林業の家の温湿度を実測しました。

約10日間 測定箇所は 
 外気温
 リビング
 トイレ
 寝室
 脱衣室
 子供室
 床下
の7カ所です。

リビングの温度変化 大きな温度変化が日に2回

外気温は日によって違いますが、0℃から10℃くらいです。
リビングの温度は17℃から24℃くらいです。
HEMSのデーターを見ると床暖房を朝4時半頃からつけています。
温度にもその変化が現れています。出かける前にスイッチを切り帰宅するとまたつけているのが分かります。
1日に2回の大きな温度変化となっています。

就寝前まで暖房をつけ朝も早めに暖房をつける
帰ったらすぐ暖房を始める
きちんと早め,長めの暖房をつけることで 最低室温を17,18度くらいに押さえています。上手に住みこなしている様子が分かります。
18度以下の室温で住むことは健康に良くないと言われていますから、この地域の外気温似合わせたちょうど良いくらいの暖房コントロールといえるでしょう。

暖房の立ち上がり時間に1時間~2時間程度かかっていることが分かります。
タイマーなどを使い朝起きる前にスイッチオン。朝起きた時には十分温かくなっています。
そして帰宅する前にスイッチオン。帰宅したら温かいという状態になっているようです。

温度の下がり方も少し大きめです。

内外温度差15℃くらいで 6時間で5℃くらい下がります。
当社の住宅での実測値は2℃前後です。
一般的なほかの住宅のデーターは持ち合わせていないので比較検討が必要です。

リビングの消費電力 少ないとはいえない。

LDK+和室が一体のお部屋で玄関ホールとはドアを閉めて分離しているようです。合計28畳の大空間です。エアコンはたまにつけているみたいです。1月の在宅日の暖房の平均消費電力は7.3kWhです。
家全体の暖房では無く、大きめとはいえ28畳のLDKのみの暖房エネルギーですから,少ないとはいえなさそうです。
このエネルギーのみで家全体が暖められているならまあまあでしょう。
エネルギーの比較は後の機会に詳細にいたします。

トイレの温度 かなり寒い

1階のトイレの温度変化です。

リビングからホールと階段のある廊下を介してトイレがあります。
リビングの熱がほとんど伝わらないのでしょう。
北側の奥にあるので日射の影響はほとんど受けず、温度は安定しています。
15度くらいの日が多いですが13度まで下がってしまっていることもあります。
トイレはお尻を出します。13度では寒いですね。
暖房便座やウォシュレットのお湯を作るにも不利かもしれません。

脱衣室の温度 ファンヒーターで暖める
 

脱衣室は2階にあります。
リビングでくつろいでいる途中で順番にお風呂に入りに行かなくてはなりません。脱衣室に行く道中も寒くないように夜は2階の廊下にファンヒーターをつけています。脱衣室、寝室のドアは開け廊下と一体で全体を暖める計画です。
ファンヒーターは1日3時間程度。毎日1Lくらいの使用量です。
2階は南側に窓もあり日射さえあれば夕方に それほど 温度が下がることはなさそうです。
きちんと太陽が出た日には20度くらいあるようなのでファンヒーターの力を借りずにすみそうですが、日の出ない日にはたくさんの暖房が必要となります。
グラフを見て分かるとおり、温度変化が大きいのが気になりますね。ファンヒーターの温度設定が高めで急激に暖めていますが、空気のみ暖めるだけで冷え切った建物本体を暖めることができきらないため、ファンヒーターを切るとすぐに冷めてしまうのでしょう。

裸になる脱衣室を暖めておくためにオーナーさんが考えたやむを得ないとも思える方法ですが、この方法により快適性が維持されるわけですから住まい方としては素晴らしいと思います。

本来はリビングで暖房をすればそれに準じて廊下、脱衣室などの非居室(常時生活しない部屋)も温かければ良かったと思います。

寝室は脱衣と一緒に開放 子供室は閉じる

寝室は、夜、廊下のファンヒーターで脱衣室と一緒に暖めておきます。就寝時には22℃くらいのようです。晴れた日の翌朝は19℃くらいありますが、曇りの日の翌朝は15度くらいまで下がってしまうこともあるようです。
寝室は3人で寝ているので内部発熱もあります。もう少し温度変化が少なくても良い気もしますが、このくらいですむならまあまあでしょう。

一方、閉じたままの子供部屋ですが11度まで下がってしまっています。リビングなどの暖房室と空気の循環が少ないとはいえ少し下がりすぎです。非暖房室の温度がこれほど下がると言うことは、断熱不足と言うことでしょう。

温度測定の結果から読み取れること。

エネルギーを使って暖房すれば家を暖めることができます。
断熱量と暖房器具の大きさは適切です。余力もありそうです。
暖房器具さえ使えばなんとか暖めることはできますが、それを維持する力が足り無いような気がします。私の感覚では断熱不足ということになります。
それは、暖房室の温度の下がり方や、非暖房室の温度の低さから読み取れます。

ハウスメーカーが自信を持って温かい家だと説明したレベルがこのレベルです。

今後皆さんの指標としてください。
この断熱レベルが,すごいとか甘いとかの判断は各自でしてください。

もちろん、もっと温かい家もありますし、寒い家もあると思います。

これが,まだ半年たたない住友林業の家の実力です。お客様がオプションで良いサッシにしたりしてますので、ノーマルな仕様はこれよりもっと寒くなると思います。

建築会社はどこも温かい家 高気密高断熱住宅だという。

どこの建築会社も「当社の家は十分温かい」といって営業します。
今回この住宅のデーターを公開してほしいとおっしゃったオーナーさんも、たくさん調べたけどうまく比較検討できなかったと言っていました。

もちろんUA値など公開してありそれを元に比較はできるはずですが、その数字がどのくらい体感や省エネ性に影響するかは、全く判断できません。

営業マンが 「国の基準が UA=0.87なので UA=0.6を切っていればとても温かい家です。」と言えばそれを鵜呑みにしてしまうかもしれません。

「この住宅はZEHクリアーしてます」と自慢げに言えばそれがとてもすごいものと思い込んでしまうかもしれません。

きちんと比較検討できる情報があり、それを元になっとくして家づくりができないと、あとで後悔してしまいます。

スマホや自動車は買い換えることがしやすいですが、住宅はそうはいきません。

今後、家づくりをする人のために情報を公開してほしいと言ってくださったこの家のオーナーさんのためにも、引き続ききちんと情報を公開し、その後比較へと進んでいきたいと思います。

このブログを読んで 他社で建てた方。
計測公開を希望される方は 当社までご連絡ください。
格安で,測定調査いたします。

info@ta-k.jp

までご連絡ください。冬の期間しかできませんので お早めにどうぞ。できれば消費電力量がはかれるHEMS付きの住宅がよいです。

断熱・気密

実際の内容をお話ししていきます。

気密測定の結果

気密測定を行いました。
今回は減圧法です。
おうちの中の空気をファンで外に出しおうちの中と外の圧力差を付けます。
そのときに通る空気の量からおうちの隙間を推定する方法です。

結果は ハウスメーカーにしたらすごく良いです。
C=0.63c㎡/㎡
なんと1.0を切っています。
現在作られている住宅の中ではとても良い部類に入るでしょう。
1.0を切ると断熱性能がきちんと発揮されてくると言われています。
断熱がきちんとしていれば 温度ムラも少なくなりますね。

サッシの性能のおかげ?

しかしこの性能がどのおうちでも出るかというとそういうことは無いと思います。
このおうちは お客様のこだわりで サッシを標準の樹脂アルミ製のアルジオからオール樹脂サッシAPW330に変えています。
当社の今までの経験からこのサッシでこの性能だとすると、標準のサッシの場合はかなり落ちるため、1.0を切るのは難しいのでは無いかと思います。
樹脂サッシを使って本当に大正解だと思います。

当社の場合 お客様のどうしてもという要望が無い限りありません。最後に使ったのもいつだか解りません。どちらも使っていたことがる10年以上前ですと 明らかに樹脂サッシの負が性能は出ていました。

工事の内容は同じでもサッシが変わるだけで気密性能に大きく差が出るのに驚いていました。

施工が重要 袋入り

グラスウールと防湿フィルムが一緒になった袋入りのグラスウール施工はとても大変です。高気密高断熱住宅に本気で取り組んでいる住宅会社はグラスウールはグラスウール。防湿シートは防湿シートと別に施工します。住友林業さんは昔ながらなの袋入りグラスウールが標準です。コストを圧縮するためでしょう。

後日、施行写真を確認しました。お客様がきちんと足を運びフィルムの貼り方などもチェックされたそうです。さすがきちんとできています。
ビックフレーム工法で筋交いを使いませんから断熱材の施工もしやすく職人による差が出にくいのもこの工法の利点ですね。筋交いなどの取り合いがありますと上手に断熱材を入れるのが大変です。熟練した大工さんでも難しいのです。この構法なら普通に並べていくだけですからうまくいくと思います。

きれいにグラスウールが入れてあります。フィルムをめくってちょうど良いところで断熱材をカットしまたフィルムを戻すという施工方法です。

省令準耐火 石膏ボードで抑える

さらに省令準耐火の建物ですので石膏ボードを桁まで立ち上げきちんと断熱材のフィルムを押さえ込むことができています。これにより気密が確保できているのでしょう。

木造メーカーなのできちんとした工事がやりやすいですね。鉄骨メーカーはこのあたりの処理は複雑になり大変です。良かったですね。

施工は完璧なのか?

完璧というほどではありません。あくまでも一般レベルの丁寧な施工でとどまっております。

我々からするとここはもう少しこうした方が良いのでは無いかというところもありますね。目指しているレベルが違うのでやむを得ないでしょう。

気密性能の評価

ハウスメーカーとしてはとても頑張っていると感じました。この断熱量は一般的ですが一般的なレベルでのきちんとした施工により、気密性能が確保されています。このくらいの気密性能があれば、断熱材の性能がきちんと発揮されると思いますし温度ムラも押さえられるでしょう。

あなたの家の気密測定いたします。

多くのハウスメーカでは気密測定はしてもらえません。

気密性能は高断熱住宅にとっては絶対に必要なものです。

気密がとれていない住宅の暖房は「穴がたくさん空いた鍋」に水をためようとしているようなものなのです。

「建てたおうちが寒くてしようが無い。」それは断熱性能では無く、ずさんな工事のための気密が無いことが原因かもしれません。

当社から概ね1時間の範囲であれば 出張料サービス 測定費50,000円(税別)で行います。 しばらくの間は業者同士の価格で一般のお客様にご提供します。
特別価格対応中の間に是非ご利用ください。


建物の性能が極端に悪い場合測定不可能な場合がございます。その場合でも料金はかかってしまいますのでご了承ください。
現場の状況により気密測定の機器の設置ができなかったり、建物の状況で事前処理ができない場合もございます。

お気軽にご相談ください。info@ta-k.jp