バルコニーは必要か?憧れのバルコニー バルコニーに憧れる方も多いですね。 ほしいと思っていらっしゃる方もとても多いです。
バルコニーは作るな! 信じて良いの? 一方、近年のyoutubeブームで「バルコニーは作るな!」と言う意見を言っている人もいます。 youtuberの方は人気取りもありますので、わざと極端なことを言わざる終えない面もあります。 その片手落ちの中途半端な内容の動画の補足をかねて本当のメリットデメリットを見てみましょう。
人によって価値観は違う。土地によって違う。生活によって違う! 地域の違い、敷地の条件や、その人の生活スタイル。様々なことが絡まってきますから、ただ単純に「バルコニーはいらない!」とはならないでしょう。 その当たりの考慮しなくてはならい正確な情報を得るのは、youtubeではなかなか難しいと思わざるを得ません。その人だけの一方的な意見を言っているだけで様々なパターンは考慮していない場合が多いようです。
バルコニーのメリット、デメリット ****デメリット**** コストがかかる 耐震性 雨漏りしやすい メンテナンスが必要 夏の焼け込み 清掃性 防犯性 躯体内の腐食
コストがかかる バルコーを作るのにコストがかかります。 YOUTUBERの多くは建築士や工務店を経営されている方が多いので、コストには敏感です。多額のコストがかかりますから、できれば作ってほしくない。作らずに安く見せたい。と思うでしょう。大きさにもよりますが1坪のバルコニーを作るのでも50万くらいはかかってしまうと思います。それを作らずにすめば他にお金が回せます。バルコニーは延べ床面積には入りませんので、安く見えますね。工事面積には入れるところが多いです。 この問題は私も苦戦しています。安全なバルコニーを作るにはコストがかかります。
耐震性 バルコニーといえども骨組みが必要です。頑丈の床や天井。手すりのとりつく壁などが必要です。 床には防火のためにケイカル板などで覆って防水します。 割と構造体の重さがあるのです。その重さが地震の時に揺れます。 その揺れを止めるだけの耐力壁を追加することが必要ですね。 バルコニーが付く南面にはリビングなどがとが多く来ることが多くできるだけ大きな窓を付け、明るく開放的にしたいですね。ですから地震の揺れを止める耐力壁を付けにくくなっています。 たかがバルコニーの重さと思うかもしれませんが割と大変です。
雨漏り 屋根に比べて防水が複雑で、欠点となりやすいです。屋根より勾配が緩いので水が滞留しやすく、排水口ドレンなどの接続部などの納まりも難しいですしそこも大きな弱点となります。雨を入らないようにする立ち上がり部分もそれほどとることはできないので、風を伴う強い雨だと入ってしまう恐れもあります。
メンテナンス性。 バルコニーの防水は塩ビシートやFRP等が多いようです。これらは年月とともに劣化します。避けられないことです。20年30年サイクルでの改修を考えておかなくてはなりません。そのときのために改修しやすいように施工しておくことが肝心です。
焼け込み バルコニーは夏場に直接強烈な太陽の光が当たります。かなり温度が上昇します。もしバルコニーの下にお部屋があると、かなりの熱が入ってくることになります。 きちんと断熱していない場合には相当厳しいと思います。
清掃性。 バルコニーは外部なので土埃や枯れ葉などが飛んできます。お掃除も大変です。 ブロック状のタイルなどを設置している場合にはタイルとその下の防水層の隙間にゴミなどがたまり、昆虫などの生物が住み着いたりすることもあります。せっかくおしゃれに貼ったタイルや人工芝などをすぐにはいで取り除くなんてこともありました。
防犯性 バルコニーの位置には気をつけたいですね。 隣の家の屋根、窓からd、電柱から。物置の屋根から。そういったところからバルコニーに入られることがあるようです。防犯のセミナーなどでは必ず取り上げられますね。
バルコニー躯体の腐食 もう一つ、近年取り上げられいる私が重要と考えていることがあります。躯体内の水蒸気の問題です。 バルコニーは防水の為の下地に構造用合板を貼ります。そこに水分が滞留し木材を腐らせます。 また、手すりの笠木部分に水蒸気が集まり笠木を腐らせます。 これはハウスメーカーさんでもかなり苦労されていて、私も大手ハウスメーカーの修理の依頼を受けたりしています。 室内の湿気がルーフバルコニーに上がりボロボロになってしまっているハウスメーカーさんの現場も見ました。 バルコニーの通気方法は難しいですがとても大切ですね。
*****メリット***** 外に出られる 洗濯干し お布団干し 大きな窓 庇として 日射遮蔽 庭として 植物置き場として エアコン置き場
2階から外に出られる。 一年を通して外部が気持ち良い時期はたくさんあります。 春や秋はもちろんのこと、夏の夜更けや朝がた。都会ではバルコニーに出ても騒音や排気ガスなどで悩まされるかもしれませんが、田舎の住宅で気持ち良い朝などの時間に朝日を目一杯浴び自然を感じるのは最高ですね。お気に入りの自宅から気持ちいい日の光、風、鳥の鳴き声など感じるのは変えがたい価値があります。1階では味わえないバルコニーならではの景色もあります。
洗濯物干し バルコニーは南側に付くことが多いので日当たりも最高です。1階に干すより目立ちにくいかも?手が届かなければ下着泥棒対策にも良いですね。(笑) バルコニーの屋根の出が多ければ、雨が降ってもお洗濯ものが濡れにくいですね。洗濯物の取り込み忘れにも安心です。
お布団も干せる バルコニーは日当たりが良く風通しも良いので、お布団を気持ちよく干すこともできます。お日様の香りのするぽかぽかのお布団でぐっすり寝られるなんて最高ですね。
大きな窓がとりやすい。 バルコニーがあれば、大きな窓が安心して付けられます。バルコニーがないと子供の転落など考えて小さな窓を付けるしかありませんね。
大きな窓は開放感があって気持ちいいですし、日射取得の面でも有利です。 バルコニーは通常南側に付くので南面の窓を大きくできると言うことです。 これは、日射熱の取得に大変有利です。お日様の光は無料のヒーターです。上手に利用しましょう。 上手にお日様の力を借りれば真冬の夜でも暖房が必要ない家も作れます。
バルコニーが庇に? バルコニを出して庇にしてはいかがでしょうか? 南面の大きな窓は開ける頻度が多いですね。その窓に庇があるととても便利です。 ちょっとくらいの雨ならバルコニーのおかげで吹き込んだりしません。 夏の熱い日差しを遮るのにもとても有効ですね。
2階の日射遮蔽 外付けロールスクリーンによる日射遮蔽 ロールスクリーンを開けた状態 2階の窓の日射遮蔽は難しいですね。夏は熱い日差しが差し込みます。 夏の日差しを遮るために皆さんどうしますか? 一般的には庇の長さのコントロールですね。 ですが庇で遮ることができるのは直達光だけ。あらゆるところから来る天空光や地面からの反射光を遮ることができません。庇より効果的なのはよしずや、外付けブラインド、外付けロールスクリーンなどですね。 それらの設置、開閉などはバルコニーがないとしにくいですね。 予算があれば外付け電動ブラインドなどで解決すのも良いかもしれません。
私が考えるバルコニー設置の最大のメリットは 2階に大きな窓が付けられて日射遮蔽部材が付けやすく開閉がしやすいと言うことです。
バルコニーを庭として 2階リビングなどのプランでは、そこから外に出たりリビングの開放性を上げるために大きなバルコニーがあると気持ちいいでしょうね。
植物置き場として バルコニーにプランターを置いてお花を植えたり家庭菜園などとしても お庭がとれないおうちなどには良さそうですね。
エアコンの室外機置き場 室外機を置くこともできますね。南側の部屋の場合北側の地面まで配管を持っていくのも大変です。見た目だと北側まで持っていきたいところですが、メンテのことを考えるとベランダ起きも良いかもしれません。
そこで効きたい? 無い方が良いと言い切れる? いかがでしょうか?
数多くのメリットでメリットがありますね。
あなたなら無い方が良いと言い切れますか?
言い切るYOUTUBERさんはたいしたものですね。(笑)
私はそう思いながら見ています。
どうしてそこまで言うの?時いたところ「過激なことを言う必要があるのですみません。絶対ダメと言っていないので。」そう謝られたこともありました。
デメリットの多くはそのリスクを解っていれば技術で回避できます。 メリットを得たいならデメリットを技術で回避すれば良いのです。 メリットを得る必要が無いのなら、リスクをとる必要は無いですし、お金を使う必要もありませんね。バルコニーなしで良いでしょう。
バルコニーで得られるメリットは、他の方法でも得られるかもしれません。コストをかけずに効果的に得られるなら、わざわざバルコニーを付ける必要もありませんね。
バルコニーはデザインにも大きく影響します。付けた方がバランスがとれる場合もありますし、無い方がすっきりきれいな場合もあります。
ほしくても間取りによって付けられない場合もあります。
これらのことを建築士さんとよく相談しましょう。また、建築士さんがどのようなことを考えてバルコニーを付けたのか?付けなかったのか?その真意を探り一緒に考えましょう。そこが解ればすごいです。
できる設計士さんがバルコニーを付けたのならそれはかなり多くのことを考慮して付けているし、付けていないならそれも多くのことを考慮して付けなかったのだと思います。
適当な営業設計さんならそれほど考えていないと思いますのでビシッと意見を言ってあげてください。 自分自身がこれからずっと住む家ですから。
加筆 補足 プロでも難しいこと バルコニー周りの設計でプロでも難しいことがあります。
構造などを考える時に、1階と2階の構造状有効な耐力壁の位置を上下そろえられると有利です。バルコニーの付け方によってはうまくいかないこともあり苦労します。
通気の処理 バルコニーあるなしにかかわらず1階2階の壁面のずれがあると通気をうまくとるのが難しいこともあります。
熱橋処理 これも同じようなことなのですが、外皮の出っ張り引っ込みは熱橋になります。バルコニーを支える木材が大きな熱橋になったり、バルコニーの床と壁の取り合いが熱橋になったりします。
これらのことをうまく処理するスキルが必要です。 特に熱橋処理は、ほとんどの場合全くできていません。性能重視の大手ハウスメーカーでもほとんど考慮していないので大きな弱点となっています。UAは良いのに我々がつくる家より寒いと感じたりエネルギー消費量が多いのはこのためです。