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髙橋建築

日記・想い

HEAT20の昨年度の報告会が行われました。
岩前先生が中心になっている検証部会です。
私も参加させていただいています。

検証部会はHEAT20で進めている高断熱住宅の効果を検証したり、住まい方の変化などを調べて、今後の住宅性能の進歩に役立てていこうという部会です。

当社の住宅も3軒調査させていただきました。ご協力いただいたオーナーさん。ありがとうございます。
このような調査に参加させていただき、先生方と一緒に様々な検討をすることで当社もとても勉強になっています。
今回はその報告会で150名の参加の中、発表されました。

かいつまんでその内容をお伝えしたいと思います。

今回の調査は2地域から7地域までの20件です。
そのうちでG3が9軒 G2が11軒 です。
平屋が6軒 2階建てが14軒です。

実際のエアコンの大きさは メーカーの畳数表示の4倍以上となっているようです。
1台で冷房の住宅が多いようです。今では当たり前ですね。

冷房は 夏中自動運転でONにしている方が64%くらい。
連続でONにしているけど温度や風量を変化させている人が23%割くらい。
ON,OFFさせる方が13%くらいのようです。

暖房は自動運転でつけっぱなしが45% ON、OFFする人が55%です。
冬は日中いなかったり、日中は日射で暖かくなりますので切っているのでしょうね。
当社の2軒は暖房はほぼ使わないというイレギュラーとして扱われました(笑)

冷房期間が長くなっているようです。6月から9月まで冷房が一般的ですが、5月、10月も冷房をつけているという家庭も増えています。
5月、10月はさすがに消費電力は少ないですが、温度むらのない快適性を優先しているみたいです。当社のオーナーさんも5月に冷房を使ったというおうちと10月に冷房を使ったというおうちがありました。

冬の乾燥感は45%の方が感じるとのことです。

結露なほぼ無い、窓に少しが50:50

カビは無しが半数。窓の縁、浴室で発生が半数。

洗濯を干す場所は室内と乾燥機が9割 外干しが1割

夏の温度は26℃、27℃くらいが多いようです。

夏の湿度は50~60%がほとんどですが70%くらいのおうちもありました。当社の住宅は40~60%のようで快適です。

高断熱になると窓が小さめになっていく場合が多いという報告が多いですが、今回の報告のG3の住宅は、高性能を意識して作られた住宅が多いので日射取得のためにむしろ窓が大きめでした。G2の住宅の方が窓が小さめという少し意外な結果でした。

窓の開閉は1年を通じてあまり開けていないという結果でした。
高性能住宅になると家の中が快適なので窓開けをしなくなるみたいです。
当社の以前のアンケートでもそのような結果となっています。

カーテンはレースのカーテンを常に閉めているという方が多いですが、日射熱取得のためにレースカーテンも開けているという回答がかなりありました。

エネルギー使用量です。

出典:HEAT20

赤枠が当社住宅です。今回の高性能住宅の中でもずば抜けて省エネ高性能なのがわかります。
年間のエネルギー使用量はかなり少ないです。

高性能になると吹き抜けありのおうちが多くなったり、リビング一体空間に階段が設置される住宅が多くなります。
そして付随する非居室(廊下やホール、納戸、小屋裏収納など)でも居室と同じような使い方をしている例が多くなっていました。
リビングなどと温度が変わらないので、ストレスなく使えるようになったからでしょう。

服装は春、秋、冬が薄着になったというのがほとんどでした。夏は変わらないということでしたが一人だけ厚着になったという人がいました。

まとめ
冷房はエアコン1台の連続運転。窓開けが少ない。ほとんど部屋干し。
この辺は当社のお客様も同様なのであまりびっくりしませんでした。
今回の報告会で高性能な住宅が調査されていましたが、当社の住宅が群を抜いて省エネとわかりました。
このような最先端の住宅の中でも性能が際立って本当に良かったです。
ご協力いただいたオーナー様。ありがとうございました。

 

建築費・光熱費

本日、オーナー様の家にお邪魔し電気の実測データーをいただいてきました。

この家の電気代はとても安いです。

太陽光発電、蓄電池がありますからほぼ基本料金しか払っていません。
オール電化なのでもちろんガス代、灯油代は0円です。
エアコンは24時間つけっぱなし。連続運転です。

普通の家だと電気、ガスでどのくらいでしょうか?2万円?3万円?もっとでしょうか?

電気の使用割合はどうでしょうか?
8月1日から31日のデーターです。

やはりエアコンが一ヶ月連続運転ですから一番多いですね。
次はお湯を作るエコキュート
LDKはテレビがほとんどでしょう
冷蔵庫も多いです。

換気が多いですね。
換気システム 全館空調用の循環換気扇 全館空気清浄など とても重要な部分です。
この部分は普通の家より多くなってしまう部分です。

エアコンが5894W(5.9kW)が一番です。
もちろんどの部屋でも24時間快適温度。快適湿度です。

このデーターを見て私がアドバイスするなら、ウォシュレットを温水ではなく見ずにする。暖房便座のスイッチを切ることでしょうか?

太陽光発電・蓄電池があるのでほとんど外から電気を買っていませんから、これ以上節約する必要もないかもしれませんね。(笑)

パッシブハウス,日記・想い

私が書いたパッシブハウスジャパンのコラムの転載です。

パッシブハウスレベルへの迷い

パッシブハウスがとてもハードルが高いと思われている方も多いと思います。
そして、これから住宅を建てようと考えている人も、パッシブハウスが本当に必要か迷われている方も多いと思います。
建築に携わる設計者さんも、住宅業者さんもそこまで本当に必要なのか?疑問を持っているのではないでしょうか?
私も当初はかなり迷いがありました。
しかし、パッシブハウスを建てた方が良いと思えるお話をしたいと思います。

やり過ぎと言われ続け

このコラムをお読みになっている技術者の皆さんの多くは、すでに高性能な建物に取り組んでいらっしゃると思います。
他社に先駆けて取り組んで来られた方は、周りから常に「やり過ぎだ!」と言われてきたのでは無いでしょうか?
20年前もやり過ぎ
10年前もやり過ぎ
今でもやり過ぎ
いつでもやり過ぎです。

25年前のやり過ぎ

まず25年前のやり過ぎです。

25年前ですが、現在の基準の等級4で建てられています。現在は途中で内窓を追加し、UA=0.55となっています。建築当初から太陽光発電設備も4kW設置されています。当時換気も義務化されていませんでしたが、ダクト式の第3種換気も設置されています。C値も0.3台です。先進的な取り組みでした。

当時はやり過ぎと言われていました。

お客さまがハウスメーカーを回ると「やり過ぎ。あそこまでは必要無い。意味が無いことにお金をかけている。」とハウスメーカーにいわれたと何度も聞きました。
自分でつくるつもりがないレベルの他社の住宅をいつの時代も「やり過ぎ」と批判します。

しかし、今現在はどうでしょうか?ハウスメーカーでもZEHを押しています。気密性能をうたう住宅会社も増えていますね。「やりすぎ」ではなかったのでしょうか?
その当時、ハウスメーカーの言葉を鵜呑みにして当社以外で建ててしまった人はどうでしょうか?現在、寒い家、暑い家に我慢して住み続けているのではないでしょうか?光熱費もたくさんかかり続け将来もずっとそのまま。
住宅は簡単に買い換えるわけには行きませんから、我慢し続けるしかないのです。
安易に「やり過ぎ」と言ってしまったハウスメーカーはどう思っているのでしょうか?
この家は、25年たって、周りが追いついてきたという感じです。まだ住み続けようと思いが持てます。

ZEHレベルの不十分さに気がつく

25年前にZEHに近い家を建てましたが、その不十分さには徐々に気がつきます。
温度ムラもありますし、エネルギーの消費量はとても大きいです。
このレベルになると無理矢理エアコン1台で冷暖房したり、ある程度の快適性はあります。しかし、それを維持するためにエアコンを24時間連続運転すると、とてもエネルギーを消費するのです。今まさに問題になっていることです。

省エネ等級4の家を部分間けつ冷暖房するのに比べG1、ZEHレベルの家を連続冷暖房するのでは、後者の方がエネルギー消費量が大きくなってしまう場合があるのです。
その不十分さに気がついてからも性能向上は続きます。北海道レベルにしてみたり、さらに性能をあげたりし始めました。勉強、チャレンジを続けましたが、それでもまだ物足りなさが残ります。

15年前のやり過ぎ

パッシブハウスと出会って、すぐに「求めていたのはこれだ!」と直感で気がつきました。理念、計算ロジックがすごいと感動しました。森代表に教えを請い、すぐにパッシブハウスを計画しチャレンジしました。

ほとんど暖房もいらず、家の中はどこでも快適。快適さが今までとは全く違い異次元の住み心地です。それまでの住宅と比べると、断熱は2倍以上にもなります。そしてトリプルガラスの木製サッシ。第一種熱交換換気システム。

また同じように、「あそこまではやり過ぎ。」お客さまから聞くとハウスメーカーから「あの住宅はフェラーリと同じです。普段の生活にフェラーリがいりますか?」と言われたというのです。
確かにハウスメーカーの住宅は等級4をやっとクリアーするレベル。フェラーリに見えたかも知れません。
私も「とんでもない住宅を作ってしまった。」と当時は思いました。

迷いの始まり

パッシブハウスの技術を学び作れる様になってもG2レベルで十分でないかという迷いも出ます。私もコスト優先で性能をG2まで落とした住宅も数多く作りました。ですが、やはり物足りなさを感じます。

作りつつ、中途半端な気持ちになってしまうのです。体感の違いがはっきりわかります。消費エネルギーの差もはっきり解ります。そしてお客さまの反応。やはり違うのです。そして後悔の念に駆られます。できるのにやらないのは不誠実だったのではないかと思い始めました。  そして、立地条件が合えばパッシブハウスとできる仕様が標準となっていきます。

オーバースペックの見極め、本当のやり過ぎ

パッシブハウスが解ってくると、どこをどうに設計していくと性能が上がるのか解ります。コストをあまりかけずにハイスペックにすることも可能です。そうするともっと高性能にしたくなります。それでできたのがオーバースペックな建物です。

暖房需要が数kW/㎡と言う住宅も作りました。その住宅では暖房はいりません。オーバーヒートもおこります。住み心地は真冬でも暑く感じることが多くなります。そのレベルが必要だとはとても思えません。私もこれこそ本当のやり過ぎだと思いました。

私の思うちょうど良い、やりすぎではないレベル

これまで、高性能化に取り組んできました。その経験で解ったこと。それはパッシブハウスがちょうど良いと言うことです。普通では味わえない異次元の快適性が得られます。

そして省エネ。
これ以上性能を上げてもオーバーヒートの頻度は上がりますし、冷房需要も増えるでしょう。快適性も上がらなそうです。設備のコスト、建築費も含めてとても良いバランスと思えます。

これからの住宅レベルの向上

ハウスメーカーも徐々に高断熱化をしています。少しづつではありますが、変化し続けるでしょう。
以前は等級4以上 必要無いと言っていたのが、ZEHレベルが必要。等級6が必要と言い始めています。どこまで行くでしょうか?

我々の建築をやり過ぎだと言っておきながら、20年遅れでやり始めます。やり過ぎだと諦めさせたお客さまへの責任は感じないのでしょうか?その時、ハウスメーカーの営業さんの言葉を信じて低いレベルの住宅を建てた人は後悔しているかも知れません。とても残念ですね。

このまま、断熱レベルが上がっていくのは間違いないですが、どこまで上がっていくのでしょうか?相当の年月がかかると思いますが、私と同じようにパッシブハウスの性能があれば十分と気がつくでしょう。

そうです。これは将来パッシブハウスまで性能が上がっていき、パッシブハウスで止まるのでは無いかと言うことなのです。それなら、今パッシブハウスでつくっておけば後悔することはないと言うことでは無いでしょうか?

パッシブハウスの普及 願い

徐々にパッシブハウスが増えてきています。100棟以上出来ました。計画中もとても多いようです。今まではほとんど見かけることがありませんでしたが、全国各地に建ち始めました。今では日本各地で体験することもできます。住んでいる人のSNSでの投稿も増えてきました。そうすると今後、爆発的に増えるのではないでしょうか?その兆しを感じます。

あなたがもし住宅を建てようとしているなら。もし住宅建築に携わる人なら。後悔しない様にパッシブハウスに取り組まれてみてはいかがでしょうか?これまでの私の経験上、本当に、本当にそう思います。 一般の方が、普通にパッシブハウスに住める世の中になる。パッシブハウスが特別なものではなく、普通の住宅になる日が一刻も早く来ることを願っています。