お正月休みを利用して 建物の向きとエアコンの使い方による消費エネルギーのシミュレーションをしました。
この冬実際にできた建物です。この後お客さまにご協力頂き検証をしていきたいと思っていますが、まずはシミュレーション結果です。
秩父市に建つ木造2階建て パッシブハウスクラスの住宅です。
吹き抜け含めて35坪のボリュームです。 実際の建物は南東向き
その建物をそのまま南東向きと南向き 南西向きでどのように変わるかシミュレーションしてみました。
ソフトは BEST-Hです。時刻別に計算できる最先端のエンジンです。
24時間エアコン連続運転で室温20°維持の結果
SE 106kWh/年
S 88kWh/年
SW 130kWh/年
です。
これから解ることは,やはり南に付けた日射取得優先の大きな窓の効果を高めるためには建物を真南に向けた方が効果が高いと言うこと。
パッシブハウスクラスの断熱性能の建物ですから建物本体からにげる熱はとても少なくなっています。
ですから、どれだけ太陽の熱を利用できるかが重要な要素となってきます。高性能の建物でなければ、数字が一桁違いますから太陽の影響はとても少なくなります。
真南向ければ年間2200円(25円/kWh)で1年間暖房できるとの結果です。
もう一つ解ることとしては 1日中暖かいのを維持するなら東向きの方が有利との結果です。20%位の違いがあります。
朝早めに日が当たった方が朝の暖房が減るということなのでしょう。
エアコンを連続運転ではなく 夜中と日中はとめて 朝晩のみとしました。
これも以前検証し解っていましたが 高断熱住宅はエアコンを連続運転ではなくうまくとめることが肝心です。
エアコンは動いていなくてもアイドリング時に電気は消費します。
当社の住宅ほど高性能でない高断熱の住宅ならエアコンの立ち上がり時の消費電力を抑えるために連続運転の方がお得という結果がありますが当社レベルの住宅になると止めた方がお得となります。
しかし 106→92kWhですから14kWh/年です。350円ですから タイミングを見ながら入りきりするなら付けっぱなしでも良い感じはしますね。日中8時16時のお日様が出ているときと寝る1,2時間前から朝起きる2時間くらい前までとめてみたら良い気がします。こう決めておけばタイマー運転が可能ですね。夜の23時に寝るならその1時間くらい前の22時に止め お母さんが朝6時に起きるならその二時間前の4時頃タイマーでオンにするという具合です。昼間はほぼ晴れますから7時か8時にはとめて16時~18時くらいにスイッチが入るといいですね。このスイッチが入るタイミングは室温が目標温度を下回らないうちにスイッチオンにすることが肝心です。暖かめの22℃の人もいるでしょうし18℃位の涼し目が好きな人もいますね。
目標温度を下回ってからスイッチオンにするとエアコンが強く動いてがんばってしまいますからエネルギー消費量も増えてしまいます。エアコンはゆっくり長く動かすのがこつです。
もう一つの条件でもシミュレーションしました。
それは 朝は忙しく出かけて日中お家にいないタイプの人向けです。
朝は15度位まで落ちてもいいから暖房を付けないでがんばり出かけてしまい,帰ってきてから暖かいくつろぎを満喫するタイプです。(笑)
SE 52kWh/年
S 40kWh/年
SW 59kWh/年
当社の住宅なら前の日たくさんの日差しをうけ 夜少し暖房して20℃くらいで寝れば 次の日の朝も15℃くらいはあると思います。条件によっては18℃くらいありますね。
実測している住宅だとこんな感じです。日が当たる直前まで室温が下がり続けます。
普通の家の15℃とは違い壁面や床の温度なども15度位ですから、トレーナーでも着ていればあまり寒さを感じないと思います。暖かいとは言えませんが。短時間なのでその室温で朝は乗り切って(笑)日中太陽の日差しで暖房して夜は暖かくゆっくりくつろぐ。この生活が実践できればこの住宅の場合なんと52kWh/年です。
すごすぎです。
もうほとんど無暖房住宅です。(笑)
しかし毎日 晴れるわけではありません。
無暖房でシミュレーションしてみると1年間で一番下がる曇りと雪が数日続いた日です。
温度は茶の間で11.5℃
一番厳しい日だとさすがに暖房が必要ですね。秩父で無暖房住宅の大変さが解ります。
でも実際はシミュレーション以上のかなり良い結果になるはずです。
実際の住宅の検証が楽しみです。