6畳用エアコン1台で効率的に全体を冷やす方法
「40坪の家を1台の6畳用エアコンで冷暖房する」。これは信じられない話のように聞こえますが、実際に可能なのです。ただし、これはエネルギーの観点からの話であり、実際の実現にはいくつかの困難が伴います。エアコンが作る熱エネルギーを効率よく全ての部屋に配分する必要があります。
□冷房:難易度高
全体を快適にするためには、熱エネルギーを均一に配分し、温度のムラを最小限にする必要があります。しかしながら、冷房空気をうまく配分するのは難しい課題です。部屋に人がいたり、日光が当たると部屋は暖かくなります。これは暖房の時には有利ですが、冷房の場合は逆効果です。人間や電化製品から熱が発生し、日射も特に日の当たる部屋を温めます。
高断熱の家では、壁や屋根から入ってくる熱が少ないため、お部屋への外気の影響は極端に少なくなります。
そのため、窓からの日射や室内の発熱が大きく影響します。これが部屋ごとの温度差につながります。
□エアコンの設置方法:冷房効率を最大化する
エアコンの数を可能な限り減らすため、エアコンは最適な位置に設置する必要があります。特に冷房の場合、暖かい空気が集まりやすい位置が最適です。逆に、冷たい空気が溜まる場所に設置すると、エアコンが冷えたと誤解し、運転を停止してしまう可能性があります(サーモオフ)。これを防ぐためには、エアコンが稼働中、途中で頻繁に停止しない場所に設置することが重要です。
□エアコンからの空気の配分
エアコンからの冷気を部屋全体に効率よく分配するための計画が必要です。大型の循環ファンを用いて空気を配分する手法もありますが、それにはファンのエネルギー消費や騒音の問題が伴います。
特にエアコンが稼働しない中間期でもお部屋の空気をファンの力で循環させなければならない方法はナンセンスです。
理想的には、特別なファンを使わない最小限のエネルギーでうまく熱エネルギーを分配する方法が最善です。そのために、今回は新しい仕組みを考案しました。エアコンが効率的に運転し、適切に空気を分配することは可能でしょうか?
□建築工事によるダクト作成
我々は、暖かい空気が集まる層と冷気を配分する層をXPSで分離し、試作しました。この仕組みにより、エアコンの吸い込み口には暖気集まり、そして冷たい空気はダクトを通じて遠くへ直線的に送られます。それぞれの部屋にはこのダクトから必要な分だけ冷気が供給されます。
□試運転結果
多くのエアコン設置方法を試してきた結果、今回の方法がかなり効果的であることが確認できました。各部屋への冷気の分配が上手くいきました。建築くじで作られたダクトでエアコンの音も軽減されるようです。
□冷気の余剰:洗濯物干しコーナーへ
そして余った冷気は洗濯物干しコーナーに送ります。除湿した空気が洗濯物に当たることで、洗濯物の乾燥が早まることでしょう。これは住居者にとっての小さな楽しみとなるでしょう。
建築の仕組み次第で、様々な効果かを得ることができます。
この方法の効果を示すスモーク試験を行いました(安全かつ無臭のスモークを使用)。この結果からも、洗濯物干しコーナーへ適切に気流が送られていることが確認できました。