LCCMの落とし穴
LCCMは必要なのでしょうか?
最近 LCCM住宅が性能の高い最高の住宅と宣伝している建築会社がありますね。
当社もLCCMを勧めていますが LCCMにすることが目標ではありません。
良い家を作った上でLCCMにするというのが基本で まずは良い性能の家を作ると言うことが重要です。
LCCMになっていればすごい家というわけでは無いので皆さん勘違いしないでください。
再生可能エネルギーを設置すると自分の家で消費するエネルギーをまかなうことができます。 これがZEHです。
このエネルギーは建物に使うエネルギーのみなので
暖房エネルギー
冷房エネルギー
換気エネルギー
給湯エネルギー
照明エネルギー です。
それらの消費量より 太陽光発電などの発電量が多ければZEHですね。 ZEHをクリアーするには少々断熱基準をよくする必要もあります。
次に テレビや料理、洗濯など通常消費されるエネルギーまで含めて 太陽光発電でまかなえれば REAL ZEH等と言うこともあります。
さらに上位の概念として 建築をする時や 建物を解体するときまで含めたエネルギーまで 太陽光発電でまかなえれば LCCMです。 これはすごいことですね。
しかし、この基準は エネルギーのことだけしか考慮していません。
当社のLCCM住宅でシミュレーションしてみました。
当社の住宅はUA=0.26ですので 一次消費エネルギーはこんな感じです。
暖房エネルギーが15528kWh 合計の設計一次エネルギーが50416kWhとかなりの省エネです。太陽光発電は8.88kW乗せていてもちろんZEH LCCMともクリアーになります。当社の性能ですから当たり前ですね。(笑)
この住宅が 多くの建築会社が目指している28年基準の省エネ性能だとすると一次エネルギーはこんな感じです。太陽光発電はそのままです。
暖房エネルギーは倍以上の35631kWh 設計一次エネルギーは66621kWhです。 断熱が悪いのでZEH基準にはなりませんがエネルギーだけですとZEHクリアーですね。LCCMももちろんだめです。
それではこのあまり良くない性能の住宅に後2kW位の太陽光を追加したらどうでしょうか?
勿論住宅の性能を良くした訳では無く太陽光発電を付け足しただけですから エネルギーは変わりません。
寒い家で暖房エネルギーも使います。
し・か・し!!
LCCM]を計算してみると
LCCM適合です。
わずか2kWの太陽光発電を足しただけで。(笑)
ベースは省エネ基準ぎりぎりのレベルの低い住宅。
私が計算したところ 現在建てられている住宅でしたら 10kWの太陽光発電を乗せれば だいたい楽にLCCMとなります。
長期優良住宅の耐久性が必要ですが。。。。
長期優良住宅の認定も取らずにLCCMといっている会社があるならとても怪しいですね。
前に説明したように LCCMには住宅の断熱性能などは全く関係ないことが解ります。
太陽光発電さえたくさん乗せれば良いという規格なのです。
LCCMだからすごい住宅と宣伝していたら きちんとUA値や C値を確認しましょう
太陽光発電は後でも乗せられますが UA値やC値は後で改善することはとても難しいです。
ですから住宅づくりでまず大事なのが 直せない躯体の性能を良くしておくことなのです。太陽光発電の量ではありません
LCCMかどうか以前に 躯体の性能を良くすることが必要なのです。
それではどのくらいのUA値にする必要があるのでしょうか?
私の経験では HEAT20の推奨するG2レベル以上が最低レベルです。
このレベルにすると輻射面温度も安定して体感温度が違います。そのほかにも理由がありますがここでは割愛します。
その性能をきちんと担保するには c=0.5c㎡/㎡以下の性能が必要でしょう
太陽光発電で光熱費が安くても住み心地の悪い家ではだめですね。(笑)
皆さん 家づくりは まず「躯体の性能向上」 これを心がけてくださいね。