パッシブハウスと床暖房
パッシブハウスのような超高断熱住宅はとても温かいけど床暖房は必要なのでしょうか?
答えは必要無いです。。
パッシブハウスは床が冷たくないの?
パッシブハウスレベルの建物だと、熱が逃げないので、床でも壁でも室温とあまり変わらない温度となります。
室温が22度なら 壁も壁も床も同じくらいの温度になります。1,2度は違うこともあるかも知れませんが概ねそのくらいです。
ですからすごく冷たいと言うことはありません。
体温との差で足裏から熱が逃げる。
でも、床の温度が高いとは言っても20度くらい。
体温は36度あります。
熱は高い方から低い方に動きますから、さすがに足裏から床に熱は逃げていきます。
逃げるスピードが速いと冷たく感じる。遅いと冷たく感じないというわけです。
逃げるスピードは材量によって違う。
熱が逃げるスピードは材量によって違います。
断熱材と同じですね。
簡単に言えば断熱材のようなものなら、熱が逃げにくいですから 足の裏は冷たく感じません。
スリッパもそのようなものですね。
それでは、床材を断熱材にすれば?
と思われると思います。
そうできれば良いのですが、断熱材は柔らかいものがほとんどなので、床材には向きません。
何が向いているのでしょうか?
木がよさそう
みなさん。多分すぐ思いついたと思いますが、木のフローリングが良いのです。
タイルや コンクリート 塩ビタイルなどは、熱を伝えやすい素材です。
畳も良いですね。
当社の住宅では天然木のフローリングです。熱伝導率は杉なら0.12W/㎡kくらい。
木のフローリングでも既製品の複合フローリングは0.17W/㎡kくらいありますから、天然木のフローリングに食らえて1.5倍くらい熱が逃げることになります。この差がとても違うのが家を建てると一発で判りますね。
是非、天然木にしてくださいね。
木でも 柔らかい杉のような木材と 堅いオークのような木材では 堅い木の方が熱伝導率が高いですから熱の逃げが早く 冷たく感じます。
足裏がより暖かくと言う人は杉のような木を選びましょう。
下地材も重要。
表面が木材でも下地材がコンクリートだったらどうでしょう。
面白い論文を見つけました。
「冬期室内における床材の熱特性に関する足裏接触実験:心理量及び生理量」です。
これによると,下地材もかなり影響するようです。
この表を見ると 表面が木でも下地材がアルミやモルタルだと足裏温度が低くなる。(黒線)
熱がたくさん逃げる(赤線)
と言うことが判ります。
そしてこの論文の注目点は、下地が木だと時間が経ってもそれほど熱流量変化は見られませんが、モルタルやアルミの場合は変化が大きく時間が経っても熱流量が大きいと言うことです。
冷たい感じがずっと続いてしまうと異言うことですね。
床暖房とパッシブハウス
それではパッシブハウスに床暖房は必要でしょうか?
当社のオーナーさんは、冬でも素足のことが多いです。靴下やスリッパを履いていません。
もちろん床暖房は付いていません。
一条工務店が床暖房を売りにしてますね。
そこで当社も、その年作った建物全てを床暖房にしたことがありました。
しかし結果は。。。。。
なんと ほとんどの家で床暖房を利用しなかったのです。
床暖房が気持ちいいというのは寒い家だからかも知れません。
床暖房無しで暖かく、均一な温度に保たれるパッシブハウスレベルの家では、床暖房は使ってもらえないのです。
全くの無駄ですね。
それは冷え性だったオーナーさんも同じ結果でした。
もちろん全てと言うつもりはないので、お金のある方は念のため入れても良いと思いますよ。
床暖房は、特別な機械も必要ですし、床面にパイプを敷き巡らさなくてはなりません。
将来のメンテナンスも大変ですね。
過去のお客様のメンテナンスを行わせていただいてますが、ボイラーを10年おきくらいに取り替えさせて貰います。
パイプがダメになって直すことになったお客様はまだ無いですけど。
結論
暖かいおうちにしたいなら、足が冷たくないように木の下地に天然木のフローリングにしましょう。
パッシブハウスに床暖房は無駄。