風速による体感温度の変化
こんにちは。高橋建築株式会社の代表、高橋慎吾です。
暑い夏の日、扇風機を「強」にして風を浴びても、なんだか生ぬるい風がずっと当たっているだけ…。そんな経験はありませんか?
逆に冬は、ほんの少しのすきま風でもヒヤッと寒く感じますよね。
同じ「風」なのに、夏と冬でこんなにも感じ方が違う。今回はその理由を、**「体感温度」**という考え方から、グラフを使ってご説明したいと思います。
体感温度を計算する「ミスナールの式」
人が感じる暑さ・寒さは、気温だけでは決まりません。湿度や風によって、同じ気温でも感じ方は大きく変わります。
これを数値で表す方法のひとつが、フランスの研究者ミスナールが考案した**「ミスナールの式」**です。気温・湿度・風速から、人が実際に感じる温度(体感温度)を計算できます。
体感温度 = 37 −(37 − T)÷(0.68 − 0.0014H + 1 ÷(1.76 + 1.4v^0.75))− 0.29T ×(1 − H/100)
T は気温(℃)、H は相対湿度(%)、v は風速(m/s)
今回は湿度50%として、気温と風速ごとの体感温度をグラフにしてみました。

グラフの線はそれぞれの気温を、横軸は風速を表しています。風が強くなるほど体感温度が下がっていきますが、下がり方は気温によってまったく違うことがわかります。
夏:とても暑いとき、風はあまり効かない
まずは気温35℃の線を見てください。ほとんど横ばいですね。
無風で30.2℃だった体感温度は、風速1m/sで29.8℃、5m/sまで強めても29.3℃。風を5倍に強めても、1℃も下がりません。
これは、気温が人の肌の温度に近づくと、風が体から熱を奪えなくなるためです。風を浴びているのに涼しくない、むしろ**「熱風を浴びている感じ」**がするのはこのためです。
しかも、扇風機の強運転をずっと浴び続けるのは体にも負担ですよね。弱運転でも首振りにしないと辛い。とても暑いときの風は、涼しさを得る手段としては限定的なのです。
一方で、気温30℃の線を見ると、無風で26.7℃が1m/sで25.1℃と、少し下がり方が大きくなります。ある程度室温が下がっていれば、風で少し涼しく感じられるということです。
つまり夏の快適さは、「風を浴びること」ではなく、まず室温そのものを上げないことが出発点になります。
冬:少しの風でもとても寒い
今度は低い気温の線を見てください。線がぐっと急な下り坂になっています。
| 気温 | 無風 | 風速1m/s | 下がり幅 |
|---|---|---|---|
| 35℃ | 30.2℃ | 29.8℃ | −0.4℃ |
| 30℃ | 26.7℃ | 25.1℃ | −1.6℃ |
| 20℃ | 19.7℃ | 15.8℃ | −3.9℃ |
| 15℃ | 16.2℃ | 11.1℃ | −5.1℃ |
| 10℃ | 12.6℃ | 6.4℃ | −6.2℃ |
室温20℃でも、風速1m/sの風が当たると体感温度は約16℃まで下がります。室温が低いほど、ほんの少しの風で体感がガクッと下がるのです。
冬の家で感じるこの風の正体が、すきま風とコールドドラフトです。コールドドラフトとは、冷たい窓や壁で冷やされた空気が床へ流れ落ちてくる現象のこと。窓際や足元がスースーするのはこのためです。暖房で室温を上げても「なんだか寒い」と感じる家の多くは、この風が原因になっています。
大切なのは「風を感じない家」
ここまでをまとめると、こうなります。
夏のとても暑いときは、風を浴びても涼しさは限定的。冬は、少しの風でもとても寒く感じる。
だからこそ、室内では**「あまり風を感じない環境」をつくること**がとても大切です。
パッシブハウスは、この「風を感じない家」を目指してつくられています。高い気密性能ですきま風をなくし、高性能な窓と断熱で窓や壁の表面が冷たくならないので、コールドドラフトも起きにくくなります。夏は日射を遮り、室温そのものを上げない工夫をすることで、扇風機の強風に頼らなくても過ごしやすい室内を保てます。
エアコンや扇風機の風で無理やり涼しくしたり、暖かくしたりするのではなく、家そのものの性能で、風を感じずに快適に過ごせる。それがパッシブハウスの住み心地です。

風が気持ちい日は窓開けしましょう
もちろん通風を否定しているわけではないのです。
外が気持ちいいときは窓開けすればいいだけですね。
窓開けも賛成です。
「風を感じない快適さ」を体感してください
この寒いの「風を感じない心地よさ」は、言葉や数字だけではなかなか伝わりません。体感できる機械を準備しました。
**11月14日(土)・15日(日)**の「インターナショナル・パッシブハウス・オープンデー」では、実際にオーナー様が暮らしているパッシブハウスをご見学いただけます。窓際に立ったとき、足元に手をかざしたとき、普通の家との違いをぜひ肌で感じてみてください。
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高橋建築株式会社 代表取締役 高橋 慎吾(一級建築士 / PHI公認パッシブハウスデザイナー / PHIUS公認パッシブハウスコンサルタント/パッシブハウスジャパン元理事)







