電話をかける

問合せ

ブログを読む

トップへ戻る

髙橋建築

資産となる住宅 負債となる住宅

耐久性・災害対策

日本の住宅は建て替えとなる期間がとても短い。

図表I-1-1-13 滅失住宅の平均築後年数の国際比較

国土交通省の資料によると 大量消費国であるアメリカと比べても 半分だ。

100年以上という国もたくさんある

先日、スイスに行って アルプスの麓の村を訪れた。

特別な家というわけでは無く、特別に古い家を残すという地区でも無い。
当たり前に古い家が住み継がれている。
200年 300年 という家がたくさんある。
というか ほとんど100年以上の家だ。

このような家は 建ててからも何百年も住むことができるのだから 家が建てたときのままの価値があると考えることができる。勿論、途中でメンテナンスを続けていく費用はかかるが、新しく建てる必要は無いわけだから新しく建てる建物と価値は変わらないとも考えられる。
アメリカでも中古市場がしっかりしていて 買ったときの価格以上で取引されている例も多いらしい。

価値が下がらないのであれば 買ったときにかかったお金が家となって蓄えられているだけだから立派な資産と言えるだろう。家として貯金していると言うこと。

しかし,日本の家はどうだろうか?

長持ちさせることをあまり考えられていない住宅ばかりで平均30年で建て替えられていくようだ。
確かに近年は おじいちゃんの世代、お父さんの世代、自分の世代と毎世代ごとに建て替えをしていることが多いようだ。

これでは、家を建て替えるときにはその家の解体費がかかるわけだから持っているだけでお金がかかってしまうということになってしまう。すなわち負債と同じ訳だ。建て替えが必要な建物はマイナスなのである。すなわち借金。

長持ちする家は 資産となるが 長持ちしないすぐ壊されてしまう家は負債なのだ。

皆さん 大金をかけて住宅を建てる。借金を背負い込んで。
そして借金を払いきった頃にはその家は価値がなくなり負債となるのである。

そんな家を建てる必要があるだろうか?

私は、21の時にヨーロッパの国々を一人で旅をしたことがある。そのとき古い家々が 代々住み継がれていることに感動した。そしてその様な長く住み継がれていく家を建てたいと思った。
資産、負債ということまでは考えていなかったが、先祖が作った住まいを修理しながら住み継いでいくことがすばらしいと思ったのだ。

私が 暖かい家を必死で勉強し作ってきたのも住み継がれる家を作りたいと思ったからだ。寒い家はすぐに「住みにくい。建て替えたい」と思わせてしまうからだ。

スイスは寒いところだ。しかし建物本体がしっかりしているので修理を繰り返すことができる。父の代で外壁の改修を。自分の代でサッシをトリプルガラスに。と修理を繰り返していける。勿論内部の設備は最新の給湯器やキッチンなどに更新してありとても近代的な生活を送っているようだ。

住み継がれていく建物とするためには

建物が長持ちするようにしっかり作ること。
メンテナンスがしやすいこと
長持ちする部材を使うこと
あまり狭すぎないこと
その様なことが重要。

それともう一つ思うことがある。
それはデザイン
スイスの家々は今見ても とても素敵に見える
日本の古民家などもそうだ。
今,日本で作られている家はどうだろう。100年後住んでみたいと思われるデザインだろうか?
いや、10年後だってすみたいと思われるデザインなのだろうか?

へんてこな屋根や パンダみたいな色使い。
南欧風まがいの建物。デザイナーズハウス?
そんな建物が10年後20年後にもすてきに見えるのだろうか?

今売れっ子の設計士さん建築家のデザインの建物もそうだ。
形が斬新だったり、モダンだったり今見ると綺麗に見える建物はある。
しかしその建物は10年後、20年後にも受け入れられるデザインなのだろうか?
一時のはやりなのでは無いか?
「あのときあんな家が多かったね。今見ると粗末だね。」
そのくらいのレベルの建物であきられ取り壊されていくのでは無いだろうか?

資産となる住宅は長持ちしなくてはならない。はやりに左右されて、後で安っぽく見えて取り壊されていったり、デザインを優先するあまり、雨漏りやゆがみが早く来て住み続けられないようではならない。無理なデザインは危険だ。

だから、デザインもとても重要な要素なのである。
その土地にあった、見飽きない、普遍的な,流行に左右されないそんなデザインが必要だ。
スイスの村の家々はその土地の大工さんたちがその土地で育ってきた技術で作ったのだと思う。
有名な建築家でも無く。

単純でシンプルなデザイン バランスの良いデザイン それが長持ちする、住み継がれていく、資産となる住宅として重要な要素だと思う。

自分が手がけた住宅が早く壊されるのもいやだし、環境のためにも良いこととは言えない。
何より私を信頼し建築を任せてくださるお客さんの大切な財産を無駄にさせるわけにはいかない。
これからもしっかりした住宅を わざとらしくないデザインの住宅を作って行きたい。

高橋建築の大工さん。協力業者の皆さん。高橋建築は長持ち重視です。よろしく御願いします。
一緒に進化していきましょう。

 

Posted by 髙橋 慎吾