省エネ建築診断士の学科試験の後は実技講習です。
PHPPというソフトを使い実際にパッシブハウスレベルのおうちのシミュレーションを行います。完全に実践型の役に立つ講習会です。
PHPPというソフトはパッシブハウス研究所が作った。暖冷房負荷や一次エネルギー消費量を計算するソフトです。
使い方の講習を受けていただき2週間程度で課題を仕上げ提出いただきます。
自立循環型住宅モデルプラン 場所は長野市
間取りは自立循環型住宅のモデルプランです。温熱の計算のモデルとしてよく使われるプランですね。
ちょっと間取りが昔っぽいですが、南面に大きな窓が並ぶ太陽の日射熱取得がたくさんあるプランです。
今回の建築地は長野を想定しました。隣家はなく日当たりの良い場所に建つ想定です。上手に日射熱を取り込むことができそうです
パッシブハウスを作る
この住宅を断熱性能を上げたり窓を変えたりそのほか様々なことをしながら、受講生がパッシブハウスの性能に引き上げてい行きます。
その手法は様々です。試行錯誤しながら仕上げていきます。この様々なシミュレーションをすることが、知識経験を深めていくのです。トライアンドエラーが大切な過程なのです。
添削も大変
およそ50名の参加者が提出してくれました。
私たち講師側も大変です。皆さんが一生懸命考えてくれたそれぞれのパッシブハウスを添削します。
ほとんどの方が、無理矢理にでもパッシブハウスとなる性能にしてきてくださいました。できない方もいらっしゃいましたが、できなくてもOKです。
今回の課題はシミュレーションの大切さを理解していただくこと。
試行錯誤してもらい、シミュレーションするとしないとでは全く理解が違うことをわかってもらうことが目的です。
すべて「YES」になればパッシブハウスです。すごい!!
それぞれの考え方が素晴らしい。
パッシブハウスにしていく過程を書いてもらいます。
どのように性能を高めていったか?
この講習会にチャレンジする人のレベルは様々です。
かなり理解している人は順序立ててうまく性能を上げて言っているのがわかります。人を特定できないと思うのでちょっと回答を公開。
たまに私でもはっとするようなソリューションがあります。
自社仕様がしょぼいことがわかる
このセミナーに参加してくれる人の中には自信満々な人もいます。
自社はすごく暖かい家を作っていると思っている方ですね。
まず自分のところの仕様を入力するのをおすすめしていますが、パッシブハウスには全く届かないことにびっくりします。
この受講者も高断熱だと思っていた自社仕様で入力すると 暖房需要が55kWh/㎡とのこと。パッシブハウスの基準は15kWh/㎡なので全く違う性能差です。
ほとんどの人がパッシブハウスをとてつもなく達成しがたい高性能住宅だと言うことを認識します。そして自分が「井の中の蛙」だったことがわかるのです。
それでいいのです。今の世の中はYOUTUBEやSNSが進化し、言った物勝ちのような側面がありますね。
多くの住宅会社が、自分のところがすごい住宅だとPRします。
でも、ほとんどの住宅がパッシブハウスにはほど遠い性能なのです。
それが認識できて、今後きちんとシミュレーションを行いきちんとした住宅を作っていけばいいのです。
お客さんをだますようなことにならなければいいのです。
パッシブハウスレベルを普段から作れるのは日本中で皆無に近い状態です。我々の仲間の本当に数社程度です。
今回の受講者も パッシブハウスレベルの住宅を作り続けることがどんなに大変なことかわかったと思います。
受講者に一般参加者?
今回は受講者に建築関係者ではない一般参加者がいらっしゃいました。
自宅を建築するので学びに来たと言うことです。
確かに、先ほどお話ししたように住宅会社は井の中の蛙が多いですから、自分で知識をつけ「自分の身は自分で守る」以外にはないのかもしれません。
この講習会は4日間 すごい内容です。この講座を受講したのと受講しないのとでは家づくりが全く変わります。
本来は住宅供給者がきちんと理解して家づくりをすればいいのですが、そういうわけにもいきませんね。建築業界はレベルの低い営業マンが、お客様を言いくるめて家を建てさせるというような状態です。本当に情けないです。
この一般の受講者さんもかなり理解して、パッシブハウスのレベル、シミュレーションの大切さを認識されました。きっと家づくりは良い方向に行くでしょう。後は工務店選びですね。
何はともあれ、受講者の皆さんお疲れ様でした。