今年の熱シンポジウムは、大阪で行われ湿気がテーマでした。
日本中の学者の皆さんが、湿気についての研究成果を発表されました。
人と温度 湿度が人間に及ぼす影響
国立保険医療科学院 本間先生の 温度湿度の人体への影響の基礎、国内外の基準のまとめという、これまでの整理のようなお話も勉強になりました。
その後に 岐阜高専の青木先生が 低湿度の問題を深掘りしていました。最高室温についてのお話もありました。
日本国内の相対湿度基準
一番広く知られているのが建築物環境衛生管理基準で 40%~70%。
他にもこれと同じ基準がほとんどですが、学校研究衛生基準は30%以上80%いかが望ましい。と言うレベルです。
ほとんどが1965年から1970年に決められた基準で、今日まであまり議論されずに来ました。
それほど問題が無かった問いことでしょか?
海外の基準
海外の主な基準を見てみます。
その国の中でも対象によって様々ありますが、事例として。
韓国では30~80%(School Public Health Act)
中国では夏が40~80% 冬が30~60(China National Indor Air Quality Standard))
タイでは50%~65%(Notification of indoor air quality for public builldings B.E2565(2022))
EU 30-50% (EN16798-1 high lebel)
ASHRAE 50~60%(Handbook2019 summer)
ASHRAE20~30%(Handbook2019Winter)
WELL Standards 30~50%(Relative Humidity)
WHO 12g/kgDA(グイディねforインドアAIRquality:dampess and mouldHEALTH CANADA RECOMMENDATIONS CANADA RECOMMENDATIONS)
他にもたくさんありますが主なものはこんな感じです。
湿度に関して決まっていない国も多いようです。ノルウェー労働監督局では、湿度が高すぎると内部結露やカビなどの悪影響が懸念されるため、加湿する場合は35~40%を越名内容にした方が良いとか、最高室温も22℃以下に保つことが推奨されています。
フィンランドでは、加湿時に7g/kgDAを超えないとされています。 これは21℃45%と言う例が挙げられています。
なぜ最高室温の基準が必要か
それではなぜ高性能住宅先進国では、最高室温が言われるのでしょうか?
それは室温が高くなると、空気に含まれる湿気が多くなりやすいと言うことが上げられます。
室内の空気にたくさんの湿気が含まれると、壁体内結露や窓などに表面結露などおきやすくなります。
そうすると、カビ等の菌が繁殖したり、ダニなども増えます。
想像してください。
いくら温かくても、カビなどの菌が浮遊してそれを吸い続けるのが、健康に良いかを!
怖いですね。
そして最悪の場合は壁体内結露により、柱や土台が腐ると言うことが起こります。
水分があるとシロアリも繁殖しやすくなります。
せっかく建てた家が長持ちしないと言うことになるのです。
一般的にどのような計算をしているか?
日本の基準でも内部結露が起こらないように検討はしています。
透湿抵抗比という計算と内部結露計算シートによる定常計算です。
秩父で 想定している温湿度です。
室内が15度60%
外気が1.3度70%です。
計算上は日本中、室内は15度60%が固定です。
外気は建築地点で変わります。
評価協の計算シートからお借りしました。
ピークではもっと低いですが、気温は上がったり下がったりしますし、熱も蓄えられます。
乾いたりしけたりもしますので、定常計算ではこのくらいの数値としているのでしょう。
ちょっとびっくりですね。怖くないですか?
皆さんもっと安全側で計算して貰っていると思ってませんでしたか?
日本で高温で住むことは想定していない。
日本の基準では、高温で住むことは想定していないのす。
高温で住んで、おうちが腐っても、シロアリに食われても、カビなどの菌で健康を害しても自己責任です。
びっくりしましたか?「それはないよ!」と思われませんか?
粗悪なアパートなどで結露してカビが生えて、大変な思いをしている人は多いですね。
それほど温かくしていなくても。
でも違反建築ではありません。
近年作られている高性能住宅でも、さすがに20度を超えるような検討はしていないのではないでしょうか?
それでも、割と簡単に温かくできるので、高温で住む人が増えてます。
大丈夫ですか?
想定 室温、湿度以下で住もう!
日本では、海外のように国が「この室温以下で住んだ方が良いよ。」と言ってくれないです。
住宅会社に確認して、想定している室温。湿度を聞いてみてください。
そしてそれを超えないように上手にコントロールしてみてください。
今回の熱シンポで、青木先生のご発表をお聞きして改めて思いました。
実際にお住まいになることを考えて室温を想定することがとても大切です。
建築会社はもう少し安全側を考え高めの室温湿度を措定すべきだと思います。
一級建築士
パッシブハウスジャパン 理事
髙橋建築株式会社代表取締役
髙橋慎吾