サッシを選ぶ時にガラスの選び方は重要ですね。ガラス選びを間違えるととてももったいないことになります。
ガラスの種類 皆さんが すぐに気がつくのはガラスが透明か透明ではないかでしょう。 一般的に透明ではないガラスは表面を凸凹にして光の屈折を変えて見えにくくしています。なめらかな凸凹の「型板ガラス」というのがよく知られています。
覗かれたくないトイレ、脱衣室の窓など等はこの型板ガラスになるでしょう。 階段や廊下などですが、よほど景色が良ければ透明ガラスも気持ちよくて良いと思いますが、一般的には日中も夜も覗かれてしまいますね。周りからの視線がとても気になります。透明ガラスですと視線を気にしてカーテンを掛けっぱなしにしてしまいます。カーテンを掛けるとたとえレースのカーテンでも明るさも遮りますから暗くなります。もったいないですね。 それでは十分窓を大きくしてレースカーテンなら明るいではないかと反論する方もいるかもしれませんが、それではおうちの中の温度も逃げてしまいます。 当社で使っているトリプルガラスであったとしても壁の5倍くらいは熱が逃げてしまうのでできるだけ窓は小さい方が良いのです。 そうなると北側に配置されがちなこれらの小さめの部屋につく窓はできるだけ小さくしながら光のを取り入れられるように型板ガラスが良いと言うことになります。
寝室、子供部屋にも型板ガラス? 近年では 寝室や子供室などの大きめなお部屋でも型板ガラスを選択する人が多くなっています。 実際に生活をしていると、これらの部屋から外を眺める機会と言うのはそれほどありません。むしろ覗かれないためにカーテンをかけっぱなしになってしまうことが多いようです。 せっかくのお日様の光をカーテンで遮ってしまうことになってしまっています。 南側の大きめの窓の場合この秩父地方なら電気ストーブ1台ほどの熱が得られます。 それをカーテンで遮ってしまい無料のストーブがなくなるのは残念ですね。 外を見るのが好きな方。冬の花火が見える窓の向き、透明にする理由もたくさんありますので念のため。
型板ガラスは暗い? 型板ガラスははっきりものが見えないため、おうちの中が暗くなると勘違いされる方もいらっしゃいます。しかしそれは間違い。 透明ガラスの場合、直接光が入っているところだけ見れば明るいですがそのほかの場所は暗めです。 しかし型板ガラスは、光が乱反射するので、まんべんなく明るくなります。 YKKのトリプルガラスデーターを見てもの取り込める日射量はほとんど差がありません。
一日を通して奥の方まで明るさを届けたいのならむしろ型板ガラスの方が効果的です。
断熱性 ガラスの断熱性は主にどのようなことが影響するでしょう?
まず思いつくのがガラスの枚数 ですね。 シングルのガラスよりペアガラス それよりトリプルガラスと枚数が多くなればなるほど断熱性が上がります。 高断熱住宅にはトリプルガラスが用いられます。次にはLOW-E膜 ガラスに貼り付けられている熱を反射する膜 です。 膜により熱適性能ばかりでなく色なども違って見えます。 LOW-E膜が2枚あるとダブルLOW-E といいます。そして空気層の厚み 空気層が厚い方が断熱性が上がります。 その工務店が使っているサッシが良いものか悪いものかみ分けるにはここを見るとわかりやすいです。 同じトリプルガラスでも空気層が6mmぐらいのもの12mm位のもの16mmくらいのものがあります。20mm位のものもあります。30mmとかはないですね。あまりあると空気が対流を起こし逆に性能が落ちるようです。
空気層のガス
ガラスとガラスの間は乾燥空気が入っています。さらに断熱性を高めるためにこのガスをアルゴン やクリプトン にします。YKK430の場合クリプトンの方が性能は1割ほど高くなります。
スペーサー
ガラスとガラスの間の空間を維持するスペーサーの種類も重要です。樹脂 と金属 があります。ここが銀色に光っていたら金属。安いガラスですね。 今時、温かい家づくりをしていて銀色のスペーサーを使っていることはおそらくありません。 もし使っていたら、そのメーカーは真面目じゃ無いと思います。
住宅会社選び。良いガラスを使っている。 良いガラスを きちんと選んでいるかは、住宅会社選びの重要な要素ですね。 お客様の為に一生懸命な会社は、きちんとしたガラス選びをしています。 良い会社か見極めることができる重要な要素です。 「当社は高断熱で、トリプルガラスです。」 といっていても、空気層が薄かったり、断熱性の良いガスを入れていなかったり、さらに金属スペーサーだったりしたら最悪。 「とりあえず、トリプルにしておけばお客さんは納得するだろう。」と思っているか、勉強不足で全く知らないか。 こういう住宅会社は、ガラス以外でもあらゆる手を尽くして、お客さんを勘違いさせ、良い会社と見せかけます。大切なガラス選びでさえその程度なら、すべてがほどほどのもので作られているのではないでしょうか? 怖いですね。
日射取得型 日射遮蔽型? 次にガラスの性質。 先ほどは見えるか見えないか。断熱性が良いか悪いかでした。 今度は太陽の光の熱を通しやすいか通しにくいかです。
大きく分けて 太陽の光の熱を通しやすい日射取得型と、太陽の光の熱を通しにくい日射遮蔽型があります。
YKKの商品ですと日射取得型がニュートラル 日射遮蔽型がニュートラルとブルーとブロンズがあります。LOW-Eの違いや付ける位置によって色や性質が変わるのです。外から見てブルーがかって見えるガラスがありますね。 ニュートラルよりブルーの方が見えにくくなります。多少見えにくくなるというレベルで実は角度によっては普通に見えてしまいますし、夜は家の中が明るいので暗いから明るい方を見ると普通に良く見えてしまいます。 覗かれないためにブルーを選んでも結局見えてしまってがっかりなんて言うことは良くあります。覗かれにくくするにはカーテン、ブラインド、やはり型板ガラスを検討せざる終えません。 少しでも見えにくくなれば良いじゃないかと思われるかもしれませんが、日射熱取得性能はとても落ちてしまうので場所によっては大変損をすることになります。
日射取得型は日射熱取得率が0.57。日射遮蔽型ブルーは0.3。 太陽の熱を57%入れるガラスと30%しか入れないガラスということです。 秩父では冬場は青天が多いですね。南の窓際はぽかぽかと暖かいです。 このお日様の恵みを6割取り込めるか。3割しか取り込めないかの違いです。
個別にエネルギー計算をしてみるとどちらが良いかはっきりと解ります。 一般的にはお日様の当たる南面の窓は圧倒的に日射取得型のガラスが有利です。 しかしそのほかの面はそれほどお日様の熱は入ってきませんから、日射遮蔽型のブルーが良いでしょう。
夏の時期も考えます。 南面の窓は大きめなことが多いですね。明るく光を取り込み冬の日射熱を取り込むためです。 しかし、夏場は逆の影響が出ます。大きな窓からは夏の熱もたくさん入ってしまいます。それを遮らなくてはなりません。 きちんと遮ることが重要です。南面は冬場に日射取得をしたいですから基本的には日射熱取得型のガラスが使われていますから夏場も熱が入ってきます。この熱を遮るにはきちんと庇を作る。シェードで塞ぐ、ブラインドで塞ぐなどの対策が必要です。 このように対策さえきちんとできていればやはり南面は、日射遮蔽型のブルーではなく日射取得型を選択する方が大変有利となります。 一方、東面、西面、北面は小さめなガラスが多数あります。 それぞれにシェードを付ける等の処置はしにくいですね。 さらに、冬の太陽の光も入りにくいです。ほとんど期待できません。 それなら最初から断熱性が良く、日射熱を遮蔽できる日射遮蔽型のブルーの選択になると言うことなのです。
付け加えると南面についてはもっと微妙な要素はたくさんあります。 元々、日射が少ない日本海側の地域。 日射を遮る、山や、家、樹木などの影響でそれほど日射熱取得が見込めない。 人通りがおおく、とても視線を遮る手立てがない。 家の角度が微妙で冬と夏のバランスがとりにくい。 窓以外の外皮性能とのバランス。 など。 それらの要素をよく考えバランスをとってください。 エネルギー計算のほとんどは、1年を通しての冷暖房エネルギーで判断します。 しかし、冬の朝、一番冷え込んだ時等のピークの冷暖房負荷をきちんと把握することも大切です。 それを判断すると南面であっても日射遮蔽型を選択すると言うことは十分あり得ます。
最終的なガラス選びは きちんとした設計者さんはこれらのことを解っていなければなりませんが、解っていない方がほとんどです。その場合には残念ですがやむを得ないでしょう。 解っている設計者は、断熱性と日射遮蔽、覗かれにくさなどきちんと考えてくれています。 しかし、設計者さんもあくまでも1個人でお建てになるお客様と重視されるところが違うかもしれません。 初期の段階でお客様が重視されるところをきちんと設計者さんに伝えてください。 外を見るなんてことはほとんど無く明るいおうちに住みたいのでしたら南面でも見えにくい型板ガラスでも良いかもしれません。カーテンが必要ない分明るくなります。 日射熱を有効利用して省エネに暮らすより、室内の温度変化を少なくしたい。 室内の明るさを均一に保ちたい。 いろいろな思いがあると思います。 設計者さんはお客様のためにベストを尽くして考えガラス選びをします。 お客さんはきちんと思いを伝え一番良い選択をしてください。
私は 明るいおうちが好きです。LDKは明るめに作りたいです。そのためにはカーテンを開けられ日の光が上手に取り込める窓を作りたいと思っています。 日射遮蔽との兼ね合いが難しいですが、バランスをいろいろ模索中です。
追記 お客様の質問を受けて
Q 型板ガラスの方がプライバシー面で良いと思うのですが、断熱やコスト、お手入れについて通常のガラスと比較すると、どの様に違うのでしょうか? あとはバルコニーに出る窓のクレセントの位置は子供の手が届かない高さに等にはできますか?(別途費用?)
A 断熱性 遮熱性などの性能 → 透明ガラスと型板ガラスともほぼ変わりません
A お手入れ 型板ガラスの凸凹面はガラスとガラスの間の空気層側です。そのため屋外の面、室内面とも透明ガラスのように平らになっています。清掃姓は変わりません。型板ガラスは汚れが目立ちにくいです。その辺も利点と言えば利点かもしれません。汚れが目立った方がすぐ掃除できて良いと言う お掃除好きな方はもいらっしゃるかもしれませんね。
Q 雨戸シャッターは必要でしょうか? 防犯フィルムを貼る事で防犯性は担保しつつ、見た目がシンプルかと思いましたので…
A シャッターを付けることで断熱性に関しては当社の使っているような高性能なトリプルガラスの場合、さほど差がありません。熱貫流率は比較できないほどですが少しだけ良くなります。しかしシャッターのボックスやレールの影の影響で取得日射量が減ってしまいます。家の向きや庇などの影響で家違いますが、トータルな熱性能はほとんど変わらないと考えています。 災害時に関しては大きな風などでものが飛んでくることを考えるとあるに越したことはありません。シャッターの鉄板は差しかえができるので鉄板が曲がる程度のことでしたらシャッターの修理の方がガラスが割れるより安いです。しかしもっと大きなものが当たってフレームが曲がるくらい壊れた場合には全取り替えですから逆にすごくお金がかかってしまいます。 防犯フィルムは、最初からフィルムが間に挟んである合わせガラスというのがあります。元々トリプルガラスなのでそれに合わせガラスにするとガラス4枚となります。防犯性は上がりますがとても重くなります。思い分サッシの耐久性は下がってしまいます。トリプルガラスの場合、ガラス3枚を割らないと侵入できないため防犯性は元々高いと言われています。3枚のガラスを割りきれいにガラスを取り侵入するのは大変ですね。けがをしそうです。しかし、ガラスを割るなどの音が出てもお構い無くてこっそり侵入ではなくテロなどの襲撃に近いような場合には合わせガラスより早く侵入されるのは間違いありません。しかしよく考えるとそのレベルの侵入の場合、合わせガラスであったとしても無理矢理入られてしまいますから、合わせガラスでも安心と言うことはないでしょう。 合わせガラスの面が外側か内側かという問題もあります。外からものが飛んできて割れにくくするなら外側。室内で遊ぶ子供などが割れにくくするなら内側です。どちらの場合でも想定してない方向から衝撃が加わると合わせガラスであったとしても合わせガラスでない面は割れてしまいます。結局ガラスの交換と言うことになり通常より大金がかかります。 フィルムを後貼りに関してですが、取得日射量が落ちます。そこまでやるのであれば日射を多くするために南面に大きな窓を付けることは必要ないでしょう。 リビングの前等開放性が必要な窓だけ大きなな窓にしてそのほかの日射熱取得の窓は採光上成り立つだけの小さめにするのが良いと思います。 窓の役割は主に 明るさの確保(採光 通風 換気など 外を見る視認性 開放性 日射熱取得 等ですね。 それを満たすために 大きくしたり小さくしたりします。 大きくすると、防犯性、対災害、耐震、断熱性は落ちます。条件が良い南面に付けることができた場合のみ日射熱取得は上がります。 それらのメリットデメリットを考えると南面の大きな窓に防犯フィルムは選択筋と無くなります。南側の防犯性を上げるならフィルムではなくシャッターと言うことになるでしょう。 シャッターについては別途ブログを書こうと思います。