電話をかける

問合せ

ブログを読む

トップへ戻る

髙橋建築

パッシブハウス,断熱・気密

パッシブハウスジャパンの会員向けセミナーを行いました。

タイトルは「G3を曳き回せ。

HEAT20が提唱しているG3の水準はとても高いレベルですね。

そのG3の仕様の建物を使って様々な変更を加えながら実際の性能を比べようということです。

「ホームズ君省エネ診断エキスパート」という国の基準で計算できるソフトを使いまずはG3の建物の仕様を決めていきます。

間取りは自立循環型住宅の標準モデルです。



仕様は 当社の標準仕様です。
このプランだとUA=0.24 秩父は5地域なのでギリギリG3にならないレベル。窓の大きさなどちょっと変えればG3になりますけど 会員の多くがいる6地域ではUa=0.26でG3となりますのであえてこのままスタートしました。

建物の角度を変える

性能をよくするために外皮の性能以外はハイスペックで計算です。日射取得率のよいガラスを使い、よい換気システムで入力してあります。

まずは秩父地域に建つと仮定して建物の向いている方位を変えてみました。

やはり真南向きがかなり性能が高くパッシブハウスレベル 

南       南西       西       北西      北

45度触れでも暖房はパッシブハウスですね。


南       南西       西       北西       北

冷房需要は振れると大変ですね。北向きはあり得ないですけどやはり南向きが良さそうです。

窓の大きさ つける向きで大きく違います。

地域で全く違う 秩父の冬はお日様の力を使わないともったいない。

  東京       秩父       松江       広島       青森 

真南に大きな窓をを向けられれば 秩父はほかの地域よりとても有利です。同じ断熱の建物なのに、これらの地域中で一番有利なのはすごいですね。

一方、南に窓がきちんととれていないと?

東京      秩父      松江      広島      青森

日本海側の松江より寒いですね。 さすがに青森は大変です。
南側にきちんと窓がつけられると7kWh/㎡ 窓の付け方が悪いと25kWh/㎡ 
3.5倍も違いますね。
せっかくG3まで断熱しているのにこれじゃだめじゃん!って感じですね。

換気も影響大!

 東京      秩父       松江      広島       青森

熱交換換気が第三種換気になるとどうでしょう。秩父は外気温が低いので南の大開口で十分な日射取得ができてもパッシブハウスではなくなってしまいます。
東京でも暖房需要も増えますが、秩父ほどではないですね。
高断熱になればなるほど換気のウエイトが高くなってきますね。
寒い地域しか熱交換換気が必要ないという会社さんは、あまり断熱性能がよくないと言っているようなものですね。

まとめ

G3レベルの建物でも秩父地域や 太平洋側の地域なら 十分パッシブハウスにできます。
しかし、そのほかの要素がきちんと設計できてと言うことです。
せっかくG3まで断熱しても上手な設計ができてなければ、G2レベルの建物と変わらなかったりもします。
内装などは後でも思うように変えていくことができますけど、家の向きや窓の付け方、基本的な設備計画などは変えにくいです。
イニシャルコストやランニングコストを考え、効率のよい高性能住宅を目指しましょう。

断熱・気密

サッシの取付かた一つでかなり断熱性が変わります。

ハウスメーカーレベルのしょぼしょぼ断熱ならそれほど影響ないですが、我々が作っているパッシブハウスレベルだと、無視できません。

インストールプサイ(ψ)

サッシ周りの熱の逃げは サッシ本体の熱の逃げがあります。
①ガラス
②フレーム
③ガラスのエッジ
ですね。
それと、外壁部分の熱の逃げ。
①柱や間柱などの構造材
②断熱材ですね。

そして、今回の 取付型による熱の逃げ インストールプサイ
です。
①サッシの取り付ける位置
②取付の木枠
③クリアランスのパッキンなど
④サッシフレームの周辺部材

これらの条件で、サッシ周りから逃げる熱の量が決まります。

木製サッシ内付け

 木製サッシ ドレーキップ窓の熱解析のモデルです。
トリプルガラス部分はモデル化してあります。

変な熱の流れが起こらないですね。室内側(右側)表面はほぼ赤い色で温度が高いのが解ります。

樹脂サッシ半外付け

一般的な取付かたです。

室内側に黄色い部分が出てしまいますね。

APW430のFIXなので国産のサッシとしてはとても良いですね

取付方も重要ですね。と言うお話しでした。

お知らせ,断熱・気密

HEAT20の活動報告がyoutubeにアップされていますのでご覧ください
HEAT20は、現在日本の断熱水準をけん引するトップの団体です。

ものつくり大学の松岡先生の発表です。

先生が、発表中に「高橋建築」と言ってくれているのはもちろん当社です。(笑)

当社の大工さん2人が、お手伝いしております。

一人は経験豊富な当社のエース級の大工さん。一人はものつくり大学を卒業して当時はまだ見習い級の大工さんです。
大工さんのレベルで試験体の気密度に違いが出ているのは面白いですね。
現在はこの若い大卒の大工さんも当社で鍛えられすごい性能が出せるようになりました。先日仕上げた物件ではC=0.1だいぶ頑張ってくれていて成長しています。

実測の内外差圧差の測定についても当社の建物での測定結果です。ここで驚くのは、冬には内外差圧差が普通に10Pa以上つくということ。風などの影響もあると50Paにもあることがあったこと。

これだけ圧力差があると気密がきちんととれていないと、換気で入れ替わる以上の空気が隙間から入れ替わってしまいます。これではだめですね。
最低でもc=1.0と話されていますが、この後の話で、c=1.0を維持するには0.7が最低必要。さらに言うとこの数値は、大量生産向きのどんな大工さんでも取り組める最低数値であるとのことでした。最初から高い数値を言ってしまうと混乱するからの配慮とのこと。

このような場所での発表は大手ハウスメーカなどへの配慮も必要みたいですね。できる人はできるだけ良い数値にしてほしいとのことでした。

換気・空気,断熱・気密

高断熱住宅では、室温が高く維持されますし、きちんと換気も行われますので、相対湿度は下がり気味になってしまいます。
乾燥対策をきちんとしないと、室内の乾燥は抑えられません。

このおうちは少し乾きすぎていますね。

そこでお金をかけずにできる乾燥対策を書き留めておきます。

基本は、余分な換気をしない。

室内で湿気の発生源を作ると言うことです。

キッチンの換気扇を多用する家は湿度が低くなりがち。少なめにする。
湿度を上げるには観葉植物が効果的
入浴後は浴室の換気扇は使わずドアを開けておく
室内に洗濯物を干す
24h換気の風量を絞る
居住人数を増やす
水槽などを置くのも良さそうですね。

湿度改善対策として、皆さんすでにご存じで実践されているかたも多いと思いますがメモ代わりに書き留めておきますね。

試していただき、どのくらい改善できたかご報告をお待ちしております。

建築費・光熱費,断熱・気密

私が所属するHEAT20検証部会で 岩前先生の研究の発表がありました。
当社のお客様にも調査のご協力をいただいております。

この調査は、高断熱住宅の住まい方の調査です。
どのような生活をしているか?
温湿度や、消費エネルギー、など。

高断熱の住宅になっていくと一般的にはエアコンの暖房ですが、エアコン無しで「こたつ」のみで生活している当社の小鹿野町のお客様の住宅についてかなりの時間が割かれて報告されていました。

超高断熱住宅になると、室温はそれほど低下しません。
もちろん,トイレや廊下なども寒くなりません。

日当たり抜群なので日中の日差しの熱で室内も自然に暖まり次の日の朝までそれほど室温が下がりません。

「こたつ」で少しだけ暖かくすれば十分な環境です。

おうち全部を温める必要は無く、こたつをほんの少し暖めるだけですのでとても省エネです。

実はソファでじっとしている時に快適な温度だと、料理など家事をしている時には活動量がありますから、少し暑く感じることもあります。
また、寝る時にはお布団を掛けますからやはり暑くかんじてしまいます。
ですからお部屋のベースの温度は抑え気味の方が良いのかもしれません。

ですが、それではソファで座っている時には寒く感じます。
それをこたつで補っているのです。

超高断熱住宅の性能ならではの新たな生活の仕方かもしれません。

断熱・気密

断熱性能が高まると体の調子が良くなったり、医療費が少なくなったりすることは知られています。

近畿大学の岩前先生や、慶応大学の伊加賀先生の研究が知られていますね。
当社でも何度か実測調査で当社の住宅の測定でお手伝いさせていただいてます。

今回はさらに、進めて断熱性能と医療費の相関関係をシミュレーションしている近畿大学の藤田先生のお話を聞く機会がありました。
Heat20の設計部会の会議での発表です。

藤田先生の発表を元に作成

グラフの左に行けば行くほど断熱性能が良い建物です。
大まかにイメージで書いてありますのでスケールは当てにしないでください。
藤田先生の資料が公で発表されたらきちんと引用したいと思います。
縦軸が 費用ですね。
断熱費は断熱性能を上げるほど金額が上がります。
途中でぐっと上がるのは外張り断熱をしたり、高性能な窓を使ったり,今までの住宅では行われてこなかったことをするのが原因でしょう。
冷暖房費は性能が上がるほど費用は下がります。
そして今回の注目が医療費。
住宅はずっと長持ちしますから30年くらいのスパンで考えているようです。
厚生労働省から発表されている普通の世帯の医療費を元に計算されているとおっしゃっていました。東京在住で30年、4人家族だと3割負担でも医療費は800万円くらいになるようです。
一人年間6万円くらいですね。若い世代ではそんなに使ってないですが、お年寄りなども含め平均するとそうなるのでしょうね。
それが、UA=0.3位の家になると約半額くらいになるようです。
断熱の費用が医療費だけで元が取れてしまいます。

さらに光熱費は断熱すればするほど安くなりますから、とてもお得です。
仮に 断熱に200万余分にかかっても 光熱費医療費で元が取れる以上にお得と言うことです。
その間、我慢しないで快適に住めるわけですから、高断熱の恩恵は計り知れないですね。

当社ではこのグラフで示されている断熱費用のように極端に価格は上がりません。
他の住宅会社がUA=0.5位のおうちを建てる価格でUA=0.23を目指しています。

建築費・光熱費,断熱・気密

暖かい家にするには外皮の断熱がきちんとできて気密をとり、さらに日射熱を入れると言うことが重要です。

日射熱取得は不確定な要素が多いですね。
建築する時は南側に家がなくても家が建ってしまう。
道路に面していてカーテンをかけっぱなし。
後付のテラスや樹木の生長。

様々な要因で日射熱を計算通りに得ることができません。

特に、カーテンのかけっぱなしは多いのではないかと思います。
欧米では日中の明るい日にはカーテンを開けていることが多いようですが、日本ではほとんどの方がレースのカーテンを掛けっぱなしですね。
プライバシーを重視することがとても重要で日射熱を取り込み自然の恵みでエネルギー削減することより大切なようです。

当社の住宅でも、計算上はほとんど暖房を使わなくて済む仕様にしたとしても、レースのカーテンの遮熱効果により、予定以上にエネルギーを使ってしまうことがあります。
そのことでとても寒いと言うことはなくエアコンを軽くつければ良いだけのことなのですが、もったいないですね。

しかし、プライバシーの確保はとても大切です。他人の視線を気にせず、自由に生活したいですね。
その上で日射熱を取得したい。
さあどうすれば良いでしょう?
レースのカーテンはほとんど白ですね。
明るくて良さそうですが、日射熱の約半分を反射させてしまうようです。
それを黒や濃茶色にしてみたらどうでしょうか?
お部屋は少し暗くはなりますが、白の倍くらいの日射熱取得があるようです。
東大の実験棟の結果ではカーテン無しとあまり大差ない結果となりました。

黒にするとお部屋は暗くなります。そこでプライバシーが確保できるギリギリのレベルまでレースを粗くしてみたという実験結果もあります。
そうするとそれほど大差ないことが解りました。
光は通し、熱も取り入れプライバシーも確保できます。
内側からは割と外が見えますよ

日射熱取得のために 冬場は 濃いめの色のレースのカーテン
夏場は日射熱を反射する白のレースカーテン

良いですね。

カーテンでお部屋の雰囲気が変わります。黒とは言わず、できるだけ熱が吸収でき素敵な色が選べると良いですね。

断熱・気密,設備・空調

今とてもはやっている床下エアコンの熱の逃げを解析してみました。

以前お話ししたように当社の住宅のレベルでは、床暖房や床下エアコンを必要としない断熱性能です。

しかし、ほどほどの断熱の住宅では、快適さを維持するのに床下エアコンを使う例が増えています。

床下エアコンはゆっくり長時間動かすため、温度変化が少なくなりますし、G2レベルならまあままの電気代で暖房できそうです。

たくさんエネルギーを使っても快適なら良いと言う方は、床下エアコンで良いでしょう。断熱工事があまり得意でない工務店は床下エアコンで解決したがる傾向があるように感じます。
地面に熱を垂れ流しにするのは良くないですね。

断熱工事をきちんと理解していれば、きちんと断熱し床下エアコンを使わずにすんだ方が、長期的には安く暮らせるでしょう。

地盤への熱の逃げの 熱画像 まずは床下エアコン無し L字基礎内断熱

基礎断熱でもハウスメーカーなどがやっているレベルです。
立ち上がり内側に100mmのXPS(スタイロフォームなど)
ベースコンクリートの外周うわ面に幅910mmでXPS50mmです。
地面に相当な熱が逃げているのが解ります。

次に同じ断熱で床下をエアコンにより25度にした場合

次に30度にした場合

すごい熱の伝わり方ですね。どんどん逃げるのが解ります。

実際はエアコンの吹き出し温度はもっと高いですから、もっと逃げるかもしれませんね。

改善するためにベースの上端全面にXPSを貼ってみましょう

かなり抑えられました。

この解析は地面への熱の逃げ方をわかりやすく解析したものです。
実際に逃げる熱量は、季節の移り変わりの蓄熱などの問題がありますので計算するのが複雑なので省略します。

皆さんが床下エアコンが必要ないくらい、きちんと断熱設計ができると良いですね。

断熱・気密

サッシを選ぶ時にガラスの選び方は重要ですね。ガラス選びを間違えるととてももったいないことになります。

ガラスの種類

皆さんが すぐに気がつくのはガラスが透明か透明ではないかでしょう。
一般的に透明ではないガラスは表面を凸凹にして光の屈折を変えて見えにくくしています。なめらかな凸凹の「型板ガラス」というのがよく知られています。



覗かれたくないトイレ、脱衣室の窓など等はこの型板ガラスになるでしょう。
階段や廊下などですが、よほど景色が良ければ透明ガラスも気持ちよくて良いと思いますが、一般的には日中も夜も覗かれてしまいますね。周りからの視線がとても気になります。透明ガラスですと視線を気にしてカーテンを掛けっぱなしにしてしまいます。カーテンを掛けるとたとえレースのカーテンでも明るさも遮りますから暗くなります。もったいないですね。
それでは十分窓を大きくしてレースカーテンなら明るいではないかと反論する方もいるかもしれませんが、それではおうちの中の温度も逃げてしまいます。
当社で使っているトリプルガラスであったとしても壁の5倍くらいは熱が逃げてしまうのでできるだけ窓は小さい方が良いのです。
そうなると北側に配置されがちなこれらの小さめの部屋につく窓はできるだけ小さくしながら光のを取り入れられるように型板ガラスが良いと言うことになります。

寝室、子供部屋にも型板ガラス?

近年では 寝室や子供室などの大きめなお部屋でも型板ガラスを選択する人が多くなっています。
実際に生活をしていると、これらの部屋から外を眺める機会と言うのはそれほどありません。むしろ覗かれないためにカーテンをかけっぱなしになってしまうことが多いようです。
せっかくのお日様の光をカーテンで遮ってしまうことになってしまっています。
南側の大きめの窓の場合この秩父地方なら電気ストーブ1台ほどの熱が得られます。
それをカーテンで遮ってしまい無料のストーブがなくなるのは残念ですね。
外を見るのが好きな方。冬の花火が見える窓の向き、透明にする理由もたくさんありますので念のため。

型板ガラスは暗い?

型板ガラスははっきりものが見えないため、おうちの中が暗くなると勘違いされる方もいらっしゃいます。しかしそれは間違い。
透明ガラスの場合、直接光が入っているところだけ見れば明るいですがそのほかの場所は暗めです。
しかし型板ガラスは、光が乱反射するので、まんべんなく明るくなります。
YKKのトリプルガラスデーターを見てもの取り込める日射量はほとんど差がありません。


一日を通して奥の方まで明るさを届けたいのならむしろ型板ガラスの方が効果的です。

断熱性

ガラスの断熱性は主にどのようなことが影響するでしょう?

まず思いつくのがガラスの枚数ですね。
シングルのガラスよりペアガラス
それよりトリプルガラスと枚数が多くなればなるほど断熱性が上がります。
高断熱住宅にはトリプルガラスが用いられます。

次にはLOW-E膜
ガラスに貼り付けられている熱を反射する膜です。
膜により熱適性能ばかりでなく色なども違って見えます。
LOW-E膜が2枚あるとダブルLOW-Eといいます。

そして空気層の厚み
空気層が厚い方が断熱性が上がります。
その工務店が使っているサッシが良いものか悪いものかみ分けるにはここを見るとわかりやすいです。
同じトリプルガラスでも空気層が6mmぐらいのもの12mm位のもの16mmくらいのものがあります。20mm位のものもあります。30mmとかはないですね。あまりあると空気が対流を起こし逆に性能が落ちるようです。

空気層のガス

ガラスとガラスの間は乾燥空気が入っています。さらに断熱性を高めるためにこのガスをアルゴンクリプトンにします。YKK430の場合クリプトンの方が性能は1割ほど高くなります。

スペーサー

ガラスとガラスの間の空間を維持するスペーサーの種類も重要です。
樹脂金属があります。ここが銀色に光っていたら金属。安いガラスですね。
今時、温かい家づくりをしていて銀色のスペーサーを使っていることはおそらくありません。
もし使っていたら、そのメーカーは真面目じゃ無いと思います。

住宅会社選び。良いガラスを使っている。

良いガラスを きちんと選んでいるかは、住宅会社選びの重要な要素ですね。
お客様の為に一生懸命な会社は、きちんとしたガラス選びをしています。
良い会社か見極めることができる重要な要素です。
「当社は高断熱で、トリプルガラスです。」
といっていても、空気層が薄かったり、断熱性の良いガスを入れていなかったり、さらに金属スペーサーだったりしたら最悪。
「とりあえず、トリプルにしておけばお客さんは納得するだろう。」と思っているか、勉強不足で全く知らないか。
こういう住宅会社は、ガラス以外でもあらゆる手を尽くして、お客さんを勘違いさせ、良い会社と見せかけます。大切なガラス選びでさえその程度なら、すべてがほどほどのもので作られているのではないでしょうか?
怖いですね。

日射取得型 日射遮蔽型?

次にガラスの性質。
先ほどは見えるか見えないか。断熱性が良いか悪いかでした。
今度は太陽の光の熱を通しやすいか通しにくいかです。

大きく分けて 太陽の光の熱を通しやすい日射取得型と、太陽の光の熱を通しにくい日射遮蔽型があります。

YKKの商品ですと日射取得型がニュートラル 日射遮蔽型がニュートラルとブルーとブロンズがあります。LOW-Eの違いや付ける位置によって色や性質が変わるのです。外から見てブルーがかって見えるガラスがありますね。
ニュートラルよりブルーの方が見えにくくなります。多少見えにくくなるというレベルで実は角度によっては普通に見えてしまいますし、夜は家の中が明るいので暗いから明るい方を見ると普通に良く見えてしまいます。
覗かれないためにブルーを選んでも結局見えてしまってがっかりなんて言うことは良くあります。覗かれにくくするにはカーテン、ブラインド、やはり型板ガラスを検討せざる終えません。
少しでも見えにくくなれば良いじゃないかと思われるかもしれませんが、日射熱取得性能はとても落ちてしまうので場所によっては大変損をすることになります。


日射取得型は日射熱取得率が0.57。日射遮蔽型ブルーは0.3。
太陽の熱を57%入れるガラスと30%しか入れないガラスということです。
秩父では冬場は青天が多いですね。南の窓際はぽかぽかと暖かいです。
このお日様の恵みを6割取り込めるか。3割しか取り込めないかの違いです。

個別にエネルギー計算をしてみるとどちらが良いかはっきりと解ります。
一般的にはお日様の当たる南面の窓は圧倒的に日射取得型のガラスが有利です。
しかしそのほかの面はそれほどお日様の熱は入ってきませんから、日射遮蔽型のブルーが良いでしょう。

夏の時期も考えます。
南面の窓は大きめなことが多いですね。明るく光を取り込み冬の日射熱を取り込むためです。
しかし、夏場は逆の影響が出ます。大きな窓からは夏の熱もたくさん入ってしまいます。それを遮らなくてはなりません。
きちんと遮ることが重要です。南面は冬場に日射取得をしたいですから基本的には日射熱取得型のガラスが使われていますから夏場も熱が入ってきます。この熱を遮るにはきちんと庇を作る。シェードで塞ぐ、ブラインドで塞ぐなどの対策が必要です。
このように対策さえきちんとできていればやはり南面は、日射遮蔽型のブルーではなく日射取得型を選択する方が大変有利となります。
一方、東面、西面、北面は小さめなガラスが多数あります。
それぞれにシェードを付ける等の処置はしにくいですね。
さらに、冬の太陽の光も入りにくいです。ほとんど期待できません。
それなら最初から断熱性が良く、日射熱を遮蔽できる日射遮蔽型のブルーの選択になると言うことなのです。

付け加えると南面についてはもっと微妙な要素はたくさんあります。
元々、日射が少ない日本海側の地域。
日射を遮る、山や、家、樹木などの影響でそれほど日射熱取得が見込めない。
人通りがおおく、とても視線を遮る手立てがない。
家の角度が微妙で冬と夏のバランスがとりにくい。
窓以外の外皮性能とのバランス。
など。
それらの要素をよく考えバランスをとってください。

エネルギー計算のほとんどは、1年を通しての冷暖房エネルギーで判断します。
しかし、冬の朝、一番冷え込んだ時等のピークの冷暖房負荷をきちんと把握することも大切です。
それを判断すると南面であっても日射遮蔽型を選択すると言うことは十分あり得ます。

最終的なガラス選びは

 きちんとした設計者さんはこれらのことを解っていなければなりませんが、解っていない方がほとんどです。その場合には残念ですがやむを得ないでしょう。
解っている設計者は、断熱性と日射遮蔽、覗かれにくさなどきちんと考えてくれています。
しかし、設計者さんもあくまでも1個人でお建てになるお客様と重視されるところが違うかもしれません。
初期の段階でお客様が重視されるところをきちんと設計者さんに伝えてください。
外を見るなんてことはほとんど無く明るいおうちに住みたいのでしたら南面でも見えにくい型板ガラスでも良いかもしれません。カーテンが必要ない分明るくなります。
日射熱を有効利用して省エネに暮らすより、室内の温度変化を少なくしたい。
室内の明るさを均一に保ちたい。
いろいろな思いがあると思います。
設計者さんはお客様のためにベストを尽くして考えガラス選びをします。
お客さんはきちんと思いを伝え一番良い選択をしてください。

私は

明るいおうちが好きです。LDKは明るめに作りたいです。そのためにはカーテンを開けられ日の光が上手に取り込める窓を作りたいと思っています。
日射遮蔽との兼ね合いが難しいですが、バランスをいろいろ模索中です。

追記

お客様の質問を受けて

Q 型板ガラスの方がプライバシー面で良いと思うのですが、断熱やコスト、お手入れについて通常のガラスと比較すると、どの様に違うのでしょうか?
あとはバルコニーに出る窓のクレセントの位置は子供の手が届かない高さに等にはできますか?(別途費用?)

A 断熱性 遮熱性などの性能 → 透明ガラスと型板ガラスともほぼ変わりません

A お手入れ 型板ガラスの凸凹面はガラスとガラスの間の空気層側です。そのため屋外の面、室内面とも透明ガラスのように平らになっています。清掃姓は変わりません。型板ガラスは汚れが目立ちにくいです。その辺も利点と言えば利点かもしれません。汚れが目立った方がすぐ掃除できて良いと言う お掃除好きな方はもいらっしゃるかもしれませんね。

Q 雨戸シャッターは必要でしょうか?
防犯フィルムを貼る事で防犯性は担保しつつ、見た目がシンプルかと思いましたので…

A シャッターを付けることで断熱性に関しては当社の使っているような高性能なトリプルガラスの場合、さほど差がありません。熱貫流率は比較できないほどですが少しだけ良くなります。しかしシャッターのボックスやレールの影の影響で取得日射量が減ってしまいます。家の向きや庇などの影響で家違いますが、トータルな熱性能はほとんど変わらないと考えています。
 災害時に関しては大きな風などでものが飛んでくることを考えるとあるに越したことはありません。シャッターの鉄板は差しかえができるので鉄板が曲がる程度のことでしたらシャッターの修理の方がガラスが割れるより安いです。しかしもっと大きなものが当たってフレームが曲がるくらい壊れた場合には全取り替えですから逆にすごくお金がかかってしまいます。
 防犯フィルムは、最初からフィルムが間に挟んである合わせガラスというのがあります。元々トリプルガラスなのでそれに合わせガラスにするとガラス4枚となります。防犯性は上がりますがとても重くなります。思い分サッシの耐久性は下がってしまいます。トリプルガラスの場合、ガラス3枚を割らないと侵入できないため防犯性は元々高いと言われています。3枚のガラスを割りきれいにガラスを取り侵入するのは大変ですね。けがをしそうです。しかし、ガラスを割るなどの音が出てもお構い無くてこっそり侵入ではなくテロなどの襲撃に近いような場合には合わせガラスより早く侵入されるのは間違いありません。しかしよく考えるとそのレベルの侵入の場合、合わせガラスであったとしても無理矢理入られてしまいますから、合わせガラスでも安心と言うことはないでしょう。
合わせガラスの面が外側か内側かという問題もあります。外からものが飛んできて割れにくくするなら外側。室内で遊ぶ子供などが割れにくくするなら内側です。どちらの場合でも想定してない方向から衝撃が加わると合わせガラスであったとしても合わせガラスでない面は割れてしまいます。結局ガラスの交換と言うことになり通常より大金がかかります。
 フィルムを後貼りに関してですが、取得日射量が落ちます。そこまでやるのであれば日射を多くするために南面に大きな窓を付けることは必要ないでしょう。
リビングの前等開放性が必要な窓だけ大きなな窓にしてそのほかの日射熱取得の窓は採光上成り立つだけの小さめにするのが良いと思います。
 窓の役割は主に 
明るさの確保(採光
通風 換気など
外を見る視認性 開放性
日射熱取得
等ですね。
 それを満たすために 大きくしたり小さくしたりします。
 大きくすると、防犯性、対災害、耐震、断熱性は落ちます。条件が良い南面に付けることができた場合のみ日射熱取得は上がります。
それらのメリットデメリットを考えると南面の大きな窓に防犯フィルムは選択筋と無くなります。南側の防犯性を上げるならフィルムではなくシャッターと言うことになるでしょう。

シャッターについては別途ブログを書こうと思います。



お知らせ,断熱・気密

今日のHEAT20の会議では 窓と外皮性能のバランスの話が出ました。

もちろん地域により要求される性能は変わります。

断熱性能を上げるのにはどうしたらよいでしょう。窓を除く外皮の性能が 悪くても窓だけ良くしてある程度のUAにすることも可能です。でも、それではあまり意味がありませんね。
大半の面積を占める壁の性能が低いと輻射熱の影響で住み心地がとても悪くかんじるでしょう。
また、すごい壁や屋根の断熱をしても窓があまり良くなければ、窓で結露が起きやすくなります。それも困りますね。

結論は単純で、できるだけバランス良くという話になるのですが、それはどのくらいになるのかという話です。

皆さんご存じのように、樹脂サッシのトリプルガラスでもU値は1.0W/㎡K程度。ちなみに一般的に使われているアルミ樹脂複合サッシのペアガラスは2.0W/㎡K以上です。
それに比べて 当社の仕様の例でお話しすると、壁は0.145W/㎡K 屋根は0.136W/㎡Kです。
壁や屋根と比べると高性能な樹脂のサッシでトリプルガラスでも、窓は6倍以上の熱の逃げやすさです。

しかし、窓の面積は壁や屋根に比べて少ないですね。
37坪のおうちの図面がちょうど近くにあったので一例を挙げると、
屋根が70㎡ 壁が190㎡ 窓は25㎡です。

窓は全体の10分の1くらいの面積です。
面積が小さいので影響が出にくいようですが、壁に比べて性能がとても低いので影響は大きいですね。
トリプルガラスのサッシでさえこれですから、せっかくの高断熱の住宅で性能の悪いサッシを選ぶのは命取りです。
当社レベルの住宅ではトリプルガラス以外の選択筋はありません。

窓の性能の影響が大きいのでできるだけ窓を小さくしようという考え方もあります。
しかし、日中でもお部屋が暗くなるとか開放性が下がるとか、通風が少なくなる,太陽熱のエネルギーも取り込めない、などのデメリットもあります。
ある程度の面積を確保するためにも窓の性能を上げざる終えないですね。

高性能な窓は金額も高いです。コストの問題もありますので、やたらと良い窓を使うと言うことはできませんが、バランスを考えた窓選びがしたいですね。