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髙橋建築

パッシブハウス,日記・想い,耐久性・災害対策

JBNの災害対応住宅研究委員会が主催のセミナーを受けてきた。

地域で大きな災害を受けてその復興を支えてきた人たちが講師です。

行政と一緒に復興住宅を作ったり、今後の対策など考えてきた人たちです。

実際の災害を受けたからこそ、確かな情報。確かな対策をしてきた話です。

本当にためになりました。

数十年に一度というような災害が頻繁に起こってますね。

それでも甚大な被害ですが、数百年に一度というような大災害もあるかも知れません。

当社の住宅は100年200年持たせたいと思って作ってますから少なくとも数十年に一度という災害は普通に起こりえますし、数百年に一度と言う災害に見舞われることも十分あり得ます。

その研究会で災害対応住宅の内容をまとめてくださいました。

もちろん 地震に対しては耐震性を上げる。台風に対しては耐風性能を上げるなど基本的なこともありますが我々が気がつかない、実際の災害から気がついたそれぞれの情報が盛り込まれていました。貴重な情報です。

この知識技術がいかせて良かったなどと言うような災害がなければ良いと思います。

パッシブハウス,見学会・相談会・イベント情報

2022年11月12日(土)13日(日)は、数年ぶりの「国際パッシブハウス・オープンデー」です。

世界中のパッシブハウスの見学が出来るイベント

このイベントは世界で同時開催です。世界中のパッシブハウスが見られます。
日本のページ https://passivehouse-japan.org/event/15192/
世界のページ https://passivehouse-international.org/index.php?page_id=262

当社も参加 本庄パッシブハウス2022

当社も認定申請物件を公開します。まだ認定はとれてませんが認定取得予定です。

完成間近 現在急ピッチで工事中です。

ほぼ真南向き。日射がかなり入る場所なので、とても温かいおうちになりました。

写真はもう少し出来たら ブログに公開しますね。

パッシブハウスの性能公開

最終的にはどのくらいの数字で落ち着くか解りませんが、暖房需要、負荷とも余裕の値です。

気密性能は仮の値です。多めに入れています。

暖房はあまりいらないで住めそうな予感です。
エアコンは6畳用エアコンですがオーバースペックですね。(笑)
3畳用エアコンがあればそれでもいけそうです。

本庄市なので秩父より暖かい気候が幸いしているようですね。でも風は冷たいので外は大変ですけど。

見学の申し込み方法

受付アドレスです。ご記入をお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdGzHzRF2yB9QjoQ-HX6i23bdl2KT60P9Qj2d2USgmw0WJt1g/viewform?usp=sf_link

駐車場が少ないので入れ替え制となります。1時間に1組受付です。よろしくお願いします。

靴下ははいてきてください。
おトイレは使えません。
飲食は出来ません。
お子様はご一緒でも大丈夫ですが、注意してあげてください。
傷など付けてしまわぬようご注意ください。

パッシブハウス,断熱・気密

熱橋部分の計算についてです。

PHPPに熱橋の数値を入れますが、いろいろな部位があります。

例えばオーバーハング床

熱橋計算では入隅が不利な数字となります。それは面積を断熱の外側で拾っているから。

室内の暖かい部分の面積は大きくなるので当然のような気がしますが、そういう理解では少し違います。

左側がオーバーハング出隅 右側が入隅です。

暖かい空気に触れる部分が多いので熱が逃げそうなイメージがあります。
本当は実際に逃げる熱というより、ψ値の計算根拠の違いです。

出隅の外気に触れる長さは3.129m 入隅は2.871m もうすでに、この長さでエネルギーロスを計算してあるところから、このモデルでの熱損失を引きます。

外皮の長さから計算して、出隅は0.387W/mK逃げる 入隅は0.357W/mK逃げるがベースです。

そしてモデルの熱損失は 出隅が0.384W/mK 入隅が0.371W/mKです。

それぞれ引くとψ値です。

出隅のψ値は -0.003W/mK 入隅は0.014W/mKとなります。
これが熱橋の基本的な考え方です。

入隅は割と大きいですね。

パッシブハウス,断熱・気密

高断熱住宅になると壁や屋根が厚くなりますね。

日本の基準は計算が曖昧

日本の断熱基準では外皮の面積を計算するときに壁は柱の中心の面積で計算します。
屋根は軒桁の高さです。
床は床の仕上がり面ですね。

断熱の厚さを全く考えていません。

充填断熱と外張り断熱では断熱している位置が全く違うので、外気に接する面積も大きく変わりますが、全く考慮しません。


壁や、屋根の断熱が厚くなると、どうなるのでしょう?

高断熱になり外張り断熱などで外に大きく壁がでても同じです。当社のように高性能なネオマフォームの断熱材なら、90mm程度外に出すだけですが、グラスウールで同じくらいの性能を確保しようとすると200mm位出さなくてはなりませんね。

大分違います。

このグラウスール外張りと、充填断熱だけを比べたら 35坪くらいの家だと外皮面積が10㎡くらい違っちゃいそうです。(笑)

きちんとした根拠を持って計算しないともったいないですね。

パッシブハウスでは断熱の外側の面積

パッシブハウスでは断熱方法によらずエネルギー計算ができるだけ正確に出来るように 断熱材の外側で面積を計算すると言うことになっています。 赤が断熱材の一番外側です。

外の冷たい空気に接する面積を計算すると言うことです。これならきちんとした計算が出来そうですね。

計算ではできるだけ正確さを求めるのですが、使い方による差が大きいので、省エネな人と使い放題の人は全く違うので(笑)(笑)

パッシブハウス

今年の夏に見学会を行った小鹿野町の住宅が 「秩父パッシブハウス2022」としてパッシブハウス認定を受けました。

オーナー様 おめでとうございます。

ちょっと南西向きで 大きな吹抜があったので認定ギリギリです。

パッシブハウス基準はすごく難しい基準ですから、ギリギリでもすごいことです。ちなみにUA=0.22W/㎡k HEAT20 G3ですね。

冬の日射量の多い秩父で南西向きなのでこんな感じでしょうか?

今回の認定は太陽光発電がたくさん載っているのでPassiveHouse Plus の認定です。

パッシブハウス,日記・想い

私の基本的な考え方は、安全、安心、長持ちする家を作ること
温熱環境的には、一年中ストレス無く快適な住まいを作ることです。

快適な温湿度 ターゲットは?

快適な温熱環境を求めていますがどのくらいの温湿度をターゲットにするか?とても悩みますね。
夏と冬では快適と思う温度が違いそうです。
例えば夏に20℃では寒く感じるでしょうが、冬に20℃なら暖かいと感じます。
夏に25度なら涼しいですが、冬に25度では暑いですね。
パッシブハウスでは冬は20℃維持するエネルギー量を計算し 夏は25℃です。
私もこのくらいが現実的かなと思います。

お洋服で微調整 暑すぎる冬はエネルギー使います。

冬の20℃は少し肌寒いと感じる人もいらっしゃりそうですね。そんなときはちょっと薄手の上着でも羽織ましょう。
長袖着るとか薄手のカーディガンとか。22,3℃まで暖房するとエネルギーを食いますから、お洋服で調製したいですね。

22,3℃まで暖房すると動いている人は暑いですし、寝苦しいです。快適ではないですね。でも高断熱住宅を作った人は冬に暑いのがうれしくて、冬に暑いのは我慢します。(笑)

大体の皆さん最初にこういう状況で過ごします。ちょっと暑すぎる冬。それでも暖かいおうちでうれしい。
なれてくると、きちんと快適にしのげる温度までしか暖房せずに、お洋服で微調整。
パッシブハウスレベルだと20℃に維持するのと22℃に暖房するのでは1.5倍もエネルギー消費量が違ったという計算結果もありました。
それでも普通の家に比べればすごく少ないですけど。

冬に春の心地よい住まい方を実践しよう

春って気持ちいいですよね。爽やかでほんのり暖かい。ちょっと肌寒いときもあるかな?
そんなときは、お洋服で微調整しませんか? 肌寒ければ1枚羽織る。暑ければTシャツになる。
そういう感じで衣類で調整することも楽しいですよね。

おうちの中で春のような生活。
ちょっと羽織ったり、脱いだり

決して寒すぎず、暑すぎず。
高橋建築はそんな空間を目指しています。

パッシブハウスならほとんど暖房いらず

パッシブハウスの基準は20℃を維持するためのエネルギーを計算します。
1年間の暖房需要が15kWh/㎡ 35坪くらいの家だとパッシブハウスの計算床面積は100㎡くらいですから年間1500kWh/㎡の一次エネルギーです。ピンときませんね。

もう一つの基準がわかりやすいかもしれません。一番寒くて暖房が必要なときのピークの必要な暖房エネルギーです。
暖房負荷といいます。それはわずか10W/㎡。100㎡だと 10*100=1000Wです。一番寒いときに1000Wの暖房で20度が維持できると言うことです。

どういうことかというと、6畳用エアコンが2200W位なのでその半分と言うことになります。
半分だから3畳用エアコンかな?3畳用のエアコンがあれば35坪の家が20度の快適な温度になると言うことです。
それも家中。ちょっとは温度ムラがありますが概ねこんな感じです。
リビングも廊下もトイレも寝室もみんな20度近い温度。

朝をしのぐ技。

一番寒いのは朝でしょうか?
これはおすすめしているわけではありませんが、省エネの技ともいえるかもしれません。
この寒い朝をやり過ごせれば暖房はほとんどいらないかも。
寒い朝と言ってもパッシブハウスですから暖かいです。

そのときの朝の温度は 前日の天気次第。(笑)
前日お日様の恵みが受けられ室内が暖かくなっていれば、次の朝でもまあまあ暖かい。18度くらいはあるかも。
お日様ってありがたい!!

残念ながら曇りが続いていてお日様で温めることが出来なかったら15度を下回ることもあるかもしれませんね。
お天気が気になるんですよ。

この寒い朝をやり過ごせれば省エネですね。省エネ住宅の大先生の南先生はこれを【生殺しの温度】と言っています。(笑)素晴らしいネーミング
でも、パッシブハウスなら しのげそうでしょ。

冬でも、室内は春ですから。
一枚羽織って。 無理に暖房しなくても(笑)

でも、暖房したい!

でも、皆さん暖房したいんです。
ちょっと暖房するだけで家中暖かいのですから。
それほど暖房費もかからないですし。
せっかくのパッシブハウスだし!

「真冬に24度にしたって、他のハウスメーカーの住宅よりよほど省エネ。暖房して何が悪いんだ!」
そんな声も聞こえてきそうです。

当社のホームオーナー様でもそういう生活をされている方はいらっしゃいます。
真冬でもムンムンする暑さ!
常夏の国が好きなのかな?(笑)

おうちで、ハワイや沖縄を体感しているのか?(冗談です)

春を楽しもう!

パッシブハウスが一年中春を楽しめる住宅だと考えましょう。
そうすればそんなに無理に暖房したり、冷房したりする気持ちがわかなくなるかも。
あなたのパッシブハウスレベルの家は暖かいです。涼しいです。

無理矢理、快適温度の中心に持って行かなくても。
自然な環境で、成り行きの環境であまり温度が維持できない低レベルなおうちと違います。
無理矢理、冷暖房で温度を維持する。そんな家とは違います。

パッシブハウスなら自然の恵みで心地よいレベルになります。

たまにしのぎにくいときには、「今日はさむいね!」そう言いながら小さなエアコンを少し付ければ良いのです。
春だって ちょっと寒い日やちょっと暑い日があります。

それを楽しんでください。

一年中春を楽しめるパッシブハウスを作っていきたいです。
さらに技術を磨きます。

パッシブハウス

パッシブハウスレベルの高断熱住宅が増えてきました。G2レベルの住宅も増えてますね。

そういうお住まいに住む方が省エネかというとすべてがそうでない場合があるようです。

「暖かいおうちが出来た!」と喜んで 「おうちの中どこでも同じ温度、冬でも半袖半ズボンで過ごせます!」

という発信をたくさん見かけるようになってきました。

G2というだけで省エネですか?もちろんきちんと計画ていて日射取得などで暖房をほとんど使わないレベルなら省エネですね。

ですが、G2位の少しだけ断熱がされているレベルで、きちんと日射取得やや熱橋が計画されていなければ、むしろ増エネになる場合が多いです。(パッシブハウスから見ればG2は少しだけ断熱されているレベルという判断になる場合が多いです。)

HEAT20のサイトでも言われてますが、G2では全館連続暖房をするとエネルギー減少にならない。それどころか半袖半ズボンで過ごせるところまで暖房すると増エネになってしまう危険性も。

パッシブハウスレベルの計算がなされていれば、22℃まで暖房してもそれほどエネルギーが増えなそうですが、割と増えてしまいます。「秩父パッシブハウス2022」で計算してみると、私の試算では14.8kWh/㎡が21.8kWh/㎡になってしまいます。約1.47倍の増エネです。2℃しか高くないのにすごい増エネですね。

それではどうしましょう? 簡単です。 半袖半ズボンを改めて、長袖長ズボンにすれば良いのです。(笑)無理に半袖半ズボンの生活をして、エネルギー無駄にしてまで、高断熱生活を謳歌する必要がありますか?自慢する必要がありますか?

それよりも、生活を工夫して生活することにより少ないエネルギーで住むことの方がかっこよくないですか?

「ほとんど暖房してません」かっこいいですね。

私は18℃くらいで無理なく住むことが出来ないか考えています。パッシブハウスレベルでも暖房しないと18℃以下に下がることは割とありますがそれほどの頻度ではありません。そして少しの暖房で18℃くらいは保てます。

ちなみに先ほどの住宅を18℃でシミュレーションしてみると9.3kWh/㎡。なんと20℃の時の63%の暖房で住むことが出来ます。さらに一番寒い朝方の「生殺しの温度」を許容できれば暖房なんて全くいらないかも。これを上手く生活の仕方で楽しみながら実践できないか?

たまに15℃有りなら3.6kWh/㎡ここまで来ればほとんど暖房いらないかもという結果ですね。

それが出来れば、物価上昇や、エネルギー価格高騰も全く問題ないですね。

*「生殺しの温度」 断熱評論家の南雄三先生が展開している話。それほど我慢できない温度でもない温度。たとえば、朝方15℃を下回るような温度になろうともそれは朝忙しく身支度などしている一時のこと。それを上手くやり過ごせば、お日様は昇りすぐに快適な温度になる。この短い時間なら我慢できる程度の微妙な温度のこと。(理解が間違っていたらごめんなさい)

パッシブハウス,断熱・気密,耐久性・災害対策

私はパッシブハウスジャパンの理事を務めております。

定期的にコラムを書かせていただいているのですが今回は基礎断熱についてです。

床断熱 基礎内断熱 基礎外断熱

皆さんはどれが良いと思いますか?

私なりに考えていることを書きました。皆さんのお考えの参考になるとありがたいです。

パッシブハウスジャパン理事コラム

https://passivehouse-japan.org/journal/14759/

以下同じ内容の転記です。

基礎断熱を考える

 パッシブハウスジャパン理事 髙橋慎吾

 パッシブハウスを作るには、この断熱方法で無いとダメということはありません。

 きちんと断熱量が確保され気密ライン断熱ライン、防湿ラインがしっかりして、安全性が確保されていれば良いのです。これまでのパッシブハウスでも様々な手法がとられています。

 今回は基礎の断熱について考えてみたいと思います。これは私の個人的な考え方でパッシブハウスジャパンの公式見解ではありませんのであらかじめご承知おきください。私は5地域をメインに4から6地域で仕事をしているので寒冷地の方や、すごく温暖地の方は違和感があるかもしれません。

基礎断熱 床断熱 

 まず、基礎断熱にしなくてはならないのか?床断熱ではダメなのか?というところから。

 もちろん床断熱でもOKです。多くの実務者さんも床断熱、基礎断熱を両方とも試されていると思います。

 床断熱の利点は床下が暖房領域でなくなりますから暖房需要が減ります。床下の空間ばかりでなく、大きな熱容量を持つ基礎のコンクリートを温めなくてすむということも大きいです。大引きや根太などの熱橋を少なくして上手に断熱出来ればとても効果があります。しかし、玄関やシステムバス周りなど一部基礎断熱が必要な部分も出てきます。ここを断熱しないと台無しです。ハウスメーカーさんは床断熱が多いですが、やはり玄関やシステムバス周りは基礎断熱で対応しています。シロアリを問題にして床断熱を採用していると言う会社もありますが、一部基礎断熱を併用してしまっていると言うことはどういうことなのかとても理解に苦しみます。近年では絶対に基礎断熱を使わないと玄関土間も基礎上まで上げたり、システムバスも持ち上げたり床断熱に一貫して取り組んでいる会社もあるようです。すごいですね。

 床断熱だと給排水の配管が床下の外気になります。寒い地域では凍結の恐れがあります。温水配管も冷めやすくなりますから給湯の消費エネルギーも増えてしまうようです。また、メンテのための床下点検口も断熱しにくい。気密がとれにくいという欠点もあります。

 基礎断熱の場合は、水道配管は断熱空間なので凍結の心配は無いですし、温水も少し冷めにくいですね。そして実務者の皆さんならお気づきの通り、気密がとりやすいです。誰でも簡単に気密がとれてしまいます。様々なメリットデメリットがありますが、気密性能向上のためだけに基礎断熱を採用している人も多いのではないでしょうか?

基礎内断熱 基礎外断熱

 基礎の室内側に断熱をするのが基礎内断熱。

 基礎の外側に断熱するのが基礎外断熱です。

 基礎に断熱する場合はプラスチック系のボード状の断熱材が多いですね。繊維系やガラス発泡系のものもありますが圧倒的にEPSやXPSが多いです。

 それでは基礎の外側、内側どちらが良いのでしょうか?様々なご意見の中で一番取り上げられるのがシロアリの問題でしょう。プラスチック系断熱材はシロアリに食われて、シロアリの通り道となりやすいというものです。だから外側に断熱せずに内側の方が良いという方がいますね。確かに一見正しそうに感じますがここで疑問。内側の断熱材なら食べられないのか?蟻道を作られないのか?「基礎が完全で入られないから。」という人もいますが、飛んでくるものや人間が持ち込んだものについている場合も多いようなので絶対に大丈夫と言うことはなさそうですね。

断熱性で比較

 ここが重要です。我々が基礎外断熱にしている理由は主にここです。

 基礎の外張りの断熱と基礎内の断熱を断熱性で比較してみましょう。

 基礎の外側は空間がいくらでもありますからたくさん断熱できます。基礎の内側では、ユニットバスや配管などに断熱材が干渉することもあり、断熱しにくいです。玄関もそうですね。ある程度は断熱できるけど工夫が必要です。内側なら水の関係が無くなりますので、ネオマなどのフェノールフォームも使えるかもしれません。熱伝導率が低いので有利ですね。

 熱抵抗ではどちらが有利、不利かという明確な差は言いにくいでしょうか?

熱橋の違い

 しかし基礎外と基礎内断熱では大きな違いがあります。それは熱橋です。パッシブハウスレベルになると基礎内断熱の熱橋は致命的です。基礎内断熱しかしないと言うことは全く考えられないほど大きな弱点となります。

 まずは基礎外周から中通りの基礎梁の接合部。

わかりやすいように図示しました。

 ここは明らかに断熱ラインが切れてしまいますね。基礎立ち上がりに折り返しの断熱をしても基礎は熱伝導率が高いですから熱がどんどん伝わってしまいます。

どのくらいの差があるのか?

まずは断熱無し

このモデルは長さ3mの基礎。W150です。基礎に断熱がないと253.16W/mの熱が逃げています。内外温度差20℃です。

次に基礎内にパフォームガード(EPS特号λ=0.034W/㎡K)100mm厚

35.335W/m(3m)です。さすがに断熱材を貼ると効果がありますね。地上の基礎の面積が26㎡あると35.335/3*26=306Wの熱が逃げますね。パッシブハウスレベルだと致命的ですね。UA=0.3W位の建物でも大きな割合を占めるのが解りそうですね。是非計算してみてください。

折り返しを付けてみました。27W/mまで改善しました。

実際にはベース方向や土台方向にも逃げるのでこのようなT字基礎の部分の熱の損失は折り返しても少ししか効果が無いかもしれません。

外張りしてみると18.878W/m

単純な内張と比較すると効果は全く違うことが解ります。

折り返しありと比較しても全く違いますね。

そして大きな違いが基礎の温度が高いと言うこと。蓄熱材として温度が安定します。

基礎が熱橋として熱を損失させる部分になるか、蓄熱材として役に立つか大きな違いですね。断熱の入れる位置だけでこれほど違うなんて知っていましたか?

表面温度を考える

 そして表面温度です。

中から見えるところの基礎表面で一番低いのが12.5℃ですね。(青い字)

冬なら結露しないですみそうです。ですが安心してはいけません。内張の基礎断熱のリスクは断熱材の裏に空気が回ってしまうこと。基礎にぴったりと断熱材を隙間なく貼ることはとても難しい作業です。断熱材の裏の温度は1.174度(赤い四角)断熱材裏に空気が回り込んだらと思うとぞっとしますね。結露が起こりカビなど生えないと良いですがどうなるでしょうか?。少しの隙間なら空気が動かないのではないかと言う人がいますが少しの隙間ってどのくらいまで許容されるのでしょうか?

基礎外断熱の中から見えるところの表面温度は19.17度高いですね。

そして断熱材の裏側でも18.777度

土台部分の熱橋は?

基礎が冷たいと土台に熱が伝わるのは当たり前ですね。

土台の取り合いです。上半分が外壁土台があって下が基礎です。

内張の場合の5.1度 

かなり冷たいです結露しそうですね。基礎内梁断熱で床下エアコンのように屋内の空気を循環させるときには注意してください。最低でも基礎や土台に熱が伝わらないように断熱処理しましょう。

 そして次が基礎外張り断熱。

外張りが18.08度

全く違います。

マニアックな人ならψ値の差が知りたいでしょう。

その差は0.17W/m

これがどのくらいかというと、パッシブハウスを計算したことのある人なら困り果ててしまうくらいです。

現在当社で計画しているパッシブハウスは基礎外断熱です。

パッシブハウスの性能ですね。

しかし基礎内梁断熱のψ値の差を計算すると

なんと17.9kW/㎡ 3kW/㎡も増えてしまいます。

このレベルの建物になると0.1W/㎡削るのにすごい努力をします。削りに削ったところからさらに削減するのは大変ですね。それがこの一撃ですべての努力が水の泡。

大変なことです。

基礎の断熱量は他の部位とのバランスを考えよう。

 断熱しやすいのは屋根、天井です。次には壁。難しいのが基礎ですね。

 高断熱住宅は各部位を欠点の無いように断熱することが肝心です。屋根と壁をいくら断熱しても基礎がおろそかなら全くダメです。できる限りバランス良く断熱しなくてはなりませんね。

 当社では、基礎外、基礎内にダブルに断熱することが当たり前です。それでも壁などに比べると弱いです。コストや施工性なども考えながら今の断熱となっています。

シロアリのリスクは?

 外張り断熱でやり玉に挙がるのがシロアリリスク。

 温暖化が進む日本では、あらゆるところでシロアリが発生するようです。

 これまで当社では全く被害はありません。
基礎外張りの断熱材メーカーの話では施工マニュアル通りに適切に工事している建物では被害がないそうです。たびたび被害写真がネットなどで流れていますがそのほとんどが施工ミスによるもの。マニュアルに則って施工していないものですね。基礎内断熱でも、床断熱でも適切な施工でなければシロアリの被害はたくさん報告されていますから、どこで断熱すると言うよりマニュアルに従った適切な施工が重要と言うことですね。

パッシブハウスを作るために

 基礎の断熱の方法で性能が大きく変わることが解りました。パッシブハウスを実現するためには性能の面からも基礎外断熱を選択することが有利なようです。

 我々の仲間の多くが基礎外断熱を採用しています。

パッシブハウスを目指し性能を上げてくると、基礎外断熱以外は選択しにくくなります。

ほどほどの断熱の家でしたらコストを考え施工が楽な基礎内断熱の選択もありそうですが、私は10年後、20年後を見据えた家づくりをしたいので、パッシブハウスレベルにしやすい基礎外断熱を採用しています。

 基礎外断熱に全くリスクがないとは言いません。しかしそれ以上にメリットがあります。他の断熱方法もシロアリのリスクもありますし、熱的にたくさんのリスクがあります。

今までの住宅では床断熱がメインで基礎断熱はまだまだ少ないかもしれません。しかし、多くの実例が出来てきましたし様々な方法が試みられています。

 これからもさらにより良い方法が考案されていくことでしょう。今回は基礎断熱についてお話ししましたが、私がお話ししたことすべてが正しいということではなく思い込みや勘違いもあるかもしれません。ほかの良い方法もあります。皆さんも積極的に情報を入れ勉強し実践してみてください。私を含め一部の人の言動に惑わされることなく、自分自身の知識できちんと判断できるようになってください。ネットの曖昧な情報に踊らされることなく、きちんと勉強しましょう。

これからも皆で一緒に頑張りましょう。正しい情報、判断で良い家をたくさん作りましょう。

 

パッシブハウス,見学会・相談会・イベント情報

いよいよ明日7/16(土)明後日7/17(日)見学会です。
(プロの方はご遠慮ください。プロの方には有料でコンサルを承っております。)

手作りのちらしが明日の朝刊で小鹿野町近辺のみ入れる予定です。

今、新聞を取っている人少ないのですね。

ほとんど昔からとり続けている人だけで、若い人は少なそうですね。

ネットで情報が得られる時代ですから。新聞折り込みの効果はほとんどなさそうですが、地元でやっている工務店としてはたまには存在感を示さなきゃかなと思い、折り込みを入れることにしました。

ですが、予算を絞るためにデザインは私。そしてプリントパック。

印刷代は安くなりましたね。

とはいえ、折り込み代金は高いです。小鹿野近辺だけでもまあまあかかります。

今回は、パッシブハウスレベルの住宅の完成見学会がメインですが、そちらを見に来てくださった方を構造見学会にもご案内出来ます。構造見学会の現場は2世帯住宅の大きめな家です。
場所は近いので是非ご覧いただけたらと思います。
完成現場見学会の会場で地図をお渡しいたします。

完成現場見学会の方は、飛び込みもOKですが、事前予約が確実です。

ご予約フォーム

https://forms.gle/gvp1HbmhUsEC9FJ99

パッシブハウス

今回のこの物件はパッシブハウスの認定を目指してます。

高性能なパッシブハウスの認定に欠かせないのが「熱橋」の計算です。
『熱橋』とは文字通り熱の橋 熱が通りやすいところです。

構造に必要な木材などがあり、断熱材が連続できていないところなどですね。

熱橋の位置、長さを図面上で確認します。

このような場所が熱橋です。

2階の床を支える胴差部分もそうですね。

そのほかもたくさんありますが、企業秘密もあるので納まりの公開は出来ません。

外張り断熱あり

熱解析をしてみるとこんな感じですね。

外張り断熱をしてあるのでほとんど熱橋になっていません。素晴らしいですね。

断熱材で覆っているので構造部材の木材が弱点となっていないのが解ります。

これほど効果があるのに外張り断熱していない建物がまだまだ多いのは残念ですね。

私はどんなにきれいな素敵な建物でも外張り断熱していない建物には住みたくないですね。

外張り断熱なしもやってみた。

二つを比較してみましょう。

上が外張り断熱あり したが外張り断熱無しです。

高さ3mのモデルです。大体建物の1階分ですね。

青い文字がこのモデルの熱の流れる量。すなわち熱損失です。

なんと熱の逃げる量は3倍も違います。これだけでも外張り断熱ありとなしの 

圧倒的な違いがわかります。外張り断熱無しで高断熱と言っている人は怪しいですね。(笑)

そして赤い文字が熱橋。

0.009W/mKと0.107W/mKですから10倍くらい違います。びっくりですね。

UA計算では検討されていない。

このような計算はUAの計算では検討されていません。

先ほどの計算を見ればわらるように 一般部分の熱の逃げがすごく大きいので、熱橋部分と大差ないからなのです。

断熱がしょぼいうちは熱橋を計算しなくても影響が少ないと言うことですね。あらゆるところから熱が逃げていますから。

高断熱住宅ほど熱橋計算が必要

高断熱になればなるほど、熱橋の影響が大きくなります。

熱橋をいかに少なくなる納まりを作るかが我々の力なのです。

「熱橋計算なんていらないでしょ。」という人がいたら注意してくださいね。

それは、「熱橋を計算するほどの断熱をしていない。」と言うことなのです。

皆さんが工務店、設計者を見極めるのに聞いてみると良いですね。